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天才だった自分に出来ること  作者: 海純/六郎
第一章 小学生編
44/56

40.朝の時間

 朝早く起きた俺は適当に朝食を済ませ、何時もより少し早めに家を出た。

 何時もの時間ほどではないが同じ学校の生徒もいた。

 普段より、余裕があるから足取りが少し遅くなったいる気がした。

 交差点、目の前で信号が変わった。

 俺は、ハァとため息をついた。

 目の前の道路では多くの車がすれ違っている。

 カラカラと自転車の転がる音が聞こえ、そちらを見る。

 高校生だろうか、少し焦った顔をして立ちこぎで俺の目の前を過ぎていった。

 信号が変わる。

 さっきよりは少し速いペースで進む。

 すると、後ろから誰かが走ってくる音が聞こえた。

 そのすぐ後にランドセルに体重がかかり、軽くバランスを崩したが、倒れるほどではなかった。


「おはよう、進一」


 後ろを振り返ると雄大がニコッと笑って言ってくる。

 雄大はすぐに俺の隣に来て一緒に歩き始める。


「おはよう」


 朝だからか俺の声は何時もよりどんよりしていた。


「今日速いじゃん、珍しい」


「久しぶりに早起きしたから、やることないし」


「そうか」


 雄大は、さっきからずっとニコッとしている。

 朝から元気だなぁと俺は思ったが口にはしない。


「雄大は何時もこの時間に登校してるのか」


「うーん、今日は何時もより少し遅いかな」


 と雄大は、すぐに答えた。

 だからか何時も雄大は俺より早くに学校に着いている。


「俺、何時もクラスで一番最初に教室行くから、何かあの広い教室に誰もいない感じが何か面白いんだよ」


 雄大は楽しそうに語った。

 そんな感じに話していると、再び信号が目の前で変わった。

 今度は雄大と話していたからいつの間にか信号が碧になっていた。

 しばらく歩いて学校につく。

 俺たちは靴を上履きに履き替え教室へ向かう。

 教室には、弥生だけがいた。


「おはよう、御堂君、三嶋君」


 俺たちに気づいた弥生が挨拶をしてくる。

 俺たちはそれぞれ挨拶を返した。

 俺は自分の席に着いて、机の中に今日の一時限目から三時限目までの教科書やノートを入れ、ランドセルを後ろのロッカーへしまった。

 ロッカーはまだ殆どがからで、入っているものや整頓されているかで性格が分かり見てて楽しかった。

 俺は再び自分の席に着いて、筆箱の中を整理する。

 別にやる必要はないけどやることがないからだ。

 雄大の方を見る。

 雄大は、昨日の放課後と同じで三冊の本を机の上に置きそこから一冊取って、読書をしていた。

 弥生の方を見る。

 弥生は何かノートに書いていた。

 ノートの隣にワークの様なものがあったから勉強をしているのだろう。

 そんな風に二人を見た後、前を向くと俺の顔すれすれのところをランドセルが過った。


「御堂、ごめん」


 そう言った男子生徒は他の男子生徒と外へ遊びに行った。

 俺のとなりにランドセルが落ちているが放置して置く。

 そうして、時間が経って行き生徒の数が増えてくる。

 教室のあちこちから話し声が聞こえ、賑やかになってくる。


「おはよう、進一君♪」


「うぉ!」


 教室のあっちこっちを見ていたら両手を机にかけて、上目遣いで詩織が挨拶してきた。

 急な事だったからビックリした。


「おはよう」


 俺が挨拶を返すとにっこりと可愛らしい笑顔をして、詩織は自分の席へ向かっていった。

 ロッカーの方を見るとロッカーは殆ど埋まり、二ヶ所しか空いていない。

 ガラガラガラ

 教室の扉が勢いよく開き、息切れした心が入ってくる。

 心は黒板の上に飾ってある時計を見て、ニコッと笑った。


「セーフ」


 心が嬉しそうにそう言って席に着いていた。

 そんな風に過ごしていたら、朝の時間五分前のチャイムが鳴った。

 そのチャイムが鳴ってから一分後、所々に汗が浮き出た生徒たちが帰って来た。

 服の襟の辺りを掴みパタパタと扇いでいた。

 彼らの話ぶりから鬼ごっこをしてきたようだ。

 まだまばらに生徒が戻ってくるなか、生徒の後ろから矢上先生が入ってきた。

 矢上先生は挨拶を促した後、出席確認をして、朝の時間が始まった。

 今日も何時もとかわりなく学校が始まった。

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