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天才だった自分に出来ること  作者: 海純/六郎
第一章 小学生編
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37.席

 次の日、普通に登校すると教室の黒板の周りにクラスメイトが人だかりになっていた。

 俺は何があるのか気になってクラスメイトを掻き分けて黒板の前までいく。

 そこには謎の紙が貼ってあった。


「新しい席順か」


 その紙には、新しい席順が書いてあった。

 おかしいな席替えは少し前にしたはずだし、何より生徒の誰も知らない急な席替えだった。

 でも朝の時間に先生から何か話があるだろうと思い、自分の席だけは確認しておく……

 一番前!?

 俺は多少ショックを受けながら、気付いたらその紙をじっくりと見ていた。

 そして俺はある程度この席順の法則?的なものに気付いた。

 多分これ成績しかもテストの点順になっている。


「え、私後ろ……黒板見辛くなるから嫌だな」


 隣で声がした。

 その声の主は弥生だった。

 弥生は、はぁと一つため息をして詩織や心のほうに行ってしまった。

 俺も紙の前にずっといるわけには行かず、後ろの方へと抜けた。

 抜けたところに雄大がいて、「よぉ」と挨拶してきた。

 俺は挨拶を返した後に雄大に話しかけた。


「雄大、黒板に貼ってある紙見たか、新しい席順みたいなやつ」


「あぁ、見たよ。あのテストの点数が高いやつほど前の席になってるやつだろ、普通逆だと思うんだけど」


 雄大はそんな風に言ってきた。

 雄大もその法則に気づいていたみたいだ。

 でもなんでその法則に気づいたんだ。

 俺は、クラスメイトの点数をある程度把握してるから分かったけど……


「何で点数の高いやつほど前の席ってわかるんだ?」


 心の中の声が漏れた。

 すると雄大は「ふふん」とドヤ顔しながら言った。


「それは俺がクラスメイト全員の点数、全部知ってるからだぜ」


 俺は少し固まった。

 その後、俺は無言で雄大の肩に手を置き、囁くように言う。


「何を犠牲に聞いたんだ」


「な、いや皆優しく教えてくれたんだよ」


「本当にか、しつこく聞いたんじゃないのか」


 俺が言うと、雄大はギクッと言って「多少は……」とぶつぶつ何かいっていた。

 まぁ、人の点数を覗いて見たり、テストを受け取ったリアクションで点数を知ってる俺よりはましだけど。

 そんなやり取りをしている間に朝の鐘がなる。

 それと同時に新しい担任の矢上先生が入ってくる。


「ほら、全員席つけ~朝の時間始めるぞ~」


 その声を聞き生徒達は一斉に席につく。

 それを見た後に矢上先生はうんと頷いて、教卓に手を置き話し始める。


「皆ももう見たと思うが、席替えをする。この席で確定だ。変えることはしないのでそこはよろしく。じゃあ新しい席に変わって~」


「先生!」


 先生の発言の後に弥生が手をあげて先生を呼んだ。


「どうした、出雲」


「あの、黒板が見辛いので前の席の方がいいんですけど……」


「それはダメだ。これは決定事項だから、諦めなさい」


 弥生の発言に対し、先生は直ぐに早口で返答した。

 俺には少し刺のある返し方に聴こえた。

 弥生はうつむいていた。


「では、席替え始め、さっさと移動して」


 先生はそう言って手を叩きながら生徒達を焦らせた。

 生徒達は皆焦って移動し、ものの五分で席替えが完了した。

 俺は前の方の席で、頬杖をつきながらため息をした。


「はい、ありがとうございます。この席順は昨日皆にやってもらったテストの点数順です。点数が高ければ高いほど前の席になります。次回は二週間後にやるので、皆さんも前の席を目指して頑張ってください」


 先生は爽やかな笑顔をして言った。

 俺にはその笑顔が歪んでいる様にしか見えなかった。

 この先生苦手だ。

 そうして朝の時間は過ぎた。

 休み時間に入り、しっかりと誰がどこの席か確認する。

 皆の席の場所は俺の後ろの席が雄大でその隣が理沙、その少し後ろの方に竹男と心と詩織が固まっていて、弥生が後ろの方の席だった。

 俺はまた何か嫌な予感がしていた。

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