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天才だった自分に出来ること  作者: 海純/六郎
第一章 小学生編
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36.先生

 とある日の朝、それはおきた。


「えー、皆さんこんにちは。このクラスを担当していた森谷先生が病気になってしまったと言うことで臨時でこの私がこのクラスを担当することになりました。矢上(やかみ)です。よろしく」


 と、明るい笑顔で一人の若い男性が言う。

 クラスメイト達は色々な反応を示している。

 あるものは英隆先生は大丈夫かと心配したり、またあるものは新しい先生をキラキラした目で見たり、またあるものは全く興味無さそうに友達と話すものもいた。

 矢上と名乗った教師は高身長で足が長くスラッとしていて、顔も世間一般に見てそこそこなイケメンで雰囲気も爽やかだった。

 数人の女子は先生をガン見している。

 ━━まぁ、あんな怖いおっさんの先生からこんなイケメンに変わったらそんな反応になるよな

 そして女子の中には先生に色んな質問を投げ掛けている者もいた。


「先生は彼女とかいるんですか」


 急に大声で質問する女子もいた。

 矢上先生はほとんどの質問を苦笑いで返答していた。

 ━━あ、彼女はいないらしい

 そんな感じでバタバタと朝の時間を過ごした。

 その後ゆっくりと授業を過ごし5時限目の『学活』の授業となった。


「えっと、今日の学活はみんなにテストとアンケートを受けてもらいます。先生がみんなと早く仲良くなるためにこれはやります真剣に受けてください」


 矢上先生がヒラヒラと紙を揺らしながら言う。

 クラスメイト達は、それぞれが「嫌だ~」と嘆いていた。

 それでもテストは配られる。

 テストは、算数、国語、理科、社会、英語の五教科が混じっているテストだった。

 テストを見てみると最初はそこまで難しくない問題が多かった。

 例えば算数の部分では簡単な計算が多かった。

 しかし、テストを進めていく内に問題の難易度は上がっていった。

 最後の方に至っては、まだ習っていない所や中学生レベルの応用問題が出てたりしていた。

 ━━勿論全部解いたけど……

 まだ小学四年生にやらせる問題にしては難しいように感じた。

 そのテスト中に先生がニヤリと口角をあげ悪どい笑いをしていたのと何か関係があるのだろうか。

 ━━まぁ、何か裏がありそうだが……

 テストが終わり次にアンケートを行った。

 アンケートの内容は、テストの出来についての自信はどうか、矢上先生への第一印象や英隆先生の授業方法など様々な質問が書いてあった。

 俺は全ての解答欄に「特になし」とかいて、提出した。

 ━━別にどうでもいいと思ったから

 そんなこんなで授業も終わり帰宅時間となった。

 今日は掃除当番だったので教室の隅にある掃除用具入れから箒を出して掃除を始める。

 掃除当番は男子三人女子三人の六人で行う。

 俺以外の男子が帰ったせいで滅多に話さない女子に文句を言われたが知らん。

 雄大に掃除を手伝ってもらい直ぐに終わらせた。

 床に目立ったゴミはなくなったしこれでいいか。

 俺は自分のランドセルを背負って帰ろうとしたが、俺の足は止まった。

 掃除当番ではない弥生が教室に残って、黒板の掃除をしていたからだ。

 俺は少し早足で教室に戻り、黒板掃除の手伝いをする。


「弥生はいつもこうやって残って黒板の掃除してるのか」


「う、うん。皆黒板は掃除せずに帰っちゃうから」


 弥生は少し照れながら答えた。

 それでもなれた手つきで掃除を続けていた。

 その手つきから毎日掃除をしていたことがよく分かる。


「凄いな、弥生はしっかりしてて」


「え、全然すごくないよ。勉強の出来る皆の方がすごいよ」


 弥生は少し寂しそうにそう言った。

 俺は何も言える言葉が浮かばず黙りしてしまった。

 その後、掃除を終わらせて帰った。

 心の中で何かもやもやと嫌な予感がした。

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