31.水族館
水槽の中に入った光が魚たちの鱗に反射して、水槽内を輝かせている。
魚の種類は全く分からないがそこそこ楽しい。
俺はそう思いながら班員の後ろをゆっくりついて、水槽を眺めた。
竹男と雄大は、魚について、熱い語り合いをしていたが俺には着いていけないので話に入らないようにした。
女子たちは「あの魚綺麗」などと言って目を輝かせていたから男子の俺が入るのはやめとこうと思った。
だから俺は一人でゆっくり眺めることにした。
後ろで腕を組み、歩く。
水族館は進んでいくほど暗くなっていく。
何故なら進むにつれ深いところに生息している魚がいるからだ。
俺は、巨大水槽みたいなところにガラスにへばり着いたエイを見ていた。
「進一、何見てるの?」
心があまり大きくない声で言ってきた。
周りの事を意識したのだろう。
「いや、このエイここから全然動かないから何、考えてるんだろうって思っただけだけど」
何か少し変な喋り方になった。
心はそれを聞き「そっか」と言って先に行ってしまった。
本当にこのエイは全然動かない。
自分が水槽という小さな世界にいることに気づいて、何も出来ないと思っているのだろうか、それとも動きたくないと思っているのだろうか。
ズキンッ
あぁ、ダメだここにいたら変なこと考えそう。
俺は少し先に行っている班員の方に向かった。
暗い。
多少の明かりは有るものの先は見づらい暗さだ。
詩織は大丈夫かと思って見たら弥生達が着いているので大丈夫そうだった。
暗いそのフロアに淡い光がある。
俺はそれに吸い込まれるかのように向かった。
それはクラゲの水槽だった。
ふわふわと右へ左へ揺れている。
小さなクラゲがいれば、大きなクラゲもいた。
小さなクラゲは動きが活発で見てて楽しかった。
大きなクラゲはゆらゆらと動いていたので癒しに感じた。
しばらく見た後に移動する。
結構面白い魚たちを見れたと思う。
暗闇から抜ける。
明るくて目をパチパチと動かす。
光に目がなれた。
順路に沿って進むとそこにはアザラシがいた。
クリクリとした目が凄く可愛かった。
二つの水槽を円柱のような水槽で繋いである感じだった。
円柱水槽を通るときのアザラシが見てる俺達の方に何かアピールをしているのも凄く可愛かった。
ちょっと進むとイルカの水槽があった。
さっきのアザラシもそうだがこのイルカたちは、ショーもやっているらしい。
時間的に見るのは無理そうだった。
いつか見てみたいな
イルカは思ったより可愛くて、凄く癒された。
ふと時計をみる。
集合時間まであと十分もなかった。
時間が経つのは早いな
俺は少し早足で集合場所まで向かった。
途中で班員と合流した。
お土産屋のアザラシのぬいぐるみを女子三人が欲しそうに見てたのを俺は見過ごさなかった。
集合場所に着いて班員が全員いるか確認する。
雄大はいる。
竹男もいる。
女子は、弥生はいる。
詩織もいる。
心もいる……あ!
白井理沙がいない。
弥生が探してくると戻って行ったので俺はリュックを下ろし弥生を追いかけた。




