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天才だった自分に出来ること  作者: 海純/六郎
第一章 小学生編
31/56

ext.クリスマス・イブ

 俺の前で、ベルを鳴らして笑っている大人が1人。

 ついさっき、俺の部屋に入ってきた。

 その人物はクリスマス用に装飾された紙袋を渡してくる。

 せめて、サンタの衣装ぐらい来てよ

 その人物は、俺の兄で名前は、一ノ瀬文貴(いちのせ ふみたか)

 名字が違うのは色々とあるんだけど……長くなるから割愛で

 俺ら兄弟の歳の差は約14歳差だ。

 つまり現在の年齢は23歳か。

 趣味は、パズルや謎解きの制作で結構な量作っている。

 そんな兄からプレゼントと思われるが袋を受けとる。


「進一、中身見てみろよ」


 兄はニコニコと笑顔を向けていってくる。

 俺は少しため息混じりに息を吐いて、紙袋の中身を見た。

 ……

 中に入っていたのは、クリップで止めてある紙の束だった。

 俺はその紙をつかみ見る。

『兄貴が教えるマル秘コミュニケーション術』

 何だこれ……

 俺は取り敢えずそれをそっと紙袋に戻す。


「で、クリスマスプレゼントは?」


 俺は兄に向かって言う。

 兄は何を言っているのか分からないという顔をして、「それ」と紙袋を指差して笑ってきた。


 ……


 しばらく沈黙が起こる。

 兄弟の間に確実に冷たい空気が流れてる。

 まじで言ってる?


「まじで言ってる?」


 思った事がそのまま口からでた。

 兄は首を縦にふった。


「お前のプレゼント考えるのが一番大変だったんだぞ」


 そう兄は言った。

 俺はもうため息しかでない。

 俺まだ小4だよ

 そう思っていると兄が俺を見て、


「だって、お前にゲームあげてもやらないし、パズルあげてもその日の内に解き終わるだろ、だからそれ」


 兄は部屋隅で最近さわった形跡のないゲーム機と解き終わったままになっている、沢山積まれているパズルを見て言った。

 いや、だってあれ簡単だったし


「でも、何で兄さん特製のコミュニケーションガイド何だよ」


 俺は言った。

 本屋でそういう本を買うとか選択肢になかったの

 兄はポケットの中の財布を出して、俺に見せる。

 何も入ってない……


「俺、今金欠で卸せばあるけど……もう1人の方のプレゼントに金かけすぎたから」


 兄は言った。

 俺は一度兄のプレゼントの紙束を丸めそれで一度兄を叩いた。

 俺にも金使えよ

 俺はため息をはいて、近くにあったパズルを弄る。


「お前、それ俺が昔作った凄い解くの難しいやつじゃん」


 兄が少し嬉しそうに俺に言う。

 あ、これ小1の時に貰ったやつか

 俺はニコッと笑って言う。


「来年はこれより難しいやつお願い、兄さん」


「分かった、お前でも解けないの作ってやる」


 兄は真剣な目で言う。

 まぁ、来年に期待しよう

 その後兄が、「コミュニケーションガイドの感想頼む」と言ってきたので、俺はため息をついて紙袋を置き、兄を部屋から追い出す。

 時計を見ると、11時だった。


「俺、寝るから」


 明日は12月25日、家族といつも通りすごそう。

 俺はベッドに行き眠りについた。

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