27.暗い道
俺達はスタート地点から出発しようとすると、「お前たち人数多いから」と、先生に言われ懐中電灯をもう1つ渡された。
するとその懐中電灯を見て、白井理沙が言う。
「懐中電灯2つあるんだし、2グループに別れない?」
その言葉を聞き、心や竹男は賛成していた。
詩織は全く聞いていなかった。
「別にいいんじゃないかな、私たち人数多いし」
弥生が言った。
白井理沙は少し驚いていたが、直ぐに皆に向かって「グループ分けしよう」と、くじを出してきた。
最初からそのつもりだったのね。
俺達はそれぞれが引いてグループ分け始める。
「そろそろ出発してくれない」
先生が言った。
俺達は焦りながらグループを確認して、出発を少しだけずらしてそれぞれ出発した。
俺のいるグループは、俺、詩織、雄大の3人のグループだった。
懐中電灯は、雄大が持つ事となった。
そのため、迷子防止の地図も雄大に持ってもらうことになった。
詩織は怖いと、思いながら震えている。
それでも少しずつ俺達は進んでいった。
「あ、あのどっちか、手、繋いでくんない?」
詩織が怯えて少し泣きそうな表情で言った。
俺は雄大の顔を見た。
雄大も俺の方を向いていて、無言で俺両手塞がってるから、と訴えてくる。
「進一任せた」
雄大はにっこりと笑って言う。
━━こいつ……
俺は、詩織の方に近づく。
詩織が手を伸ばしてくる。
俺は手を拭き、手を伸ばす、一瞬俺は躊躇ったが、詩織の手を優しく握り、繋いだ。
ドキドキッ
俺の心臓がなる。
女子と手を繋いで歩く事なんて経験ないから、自分の歩き方がぎこちなくなっていくのを感じながら、俺は詩織に会わせて歩いた。
手が少し汗ばんでくる。
大丈夫かな、と思い詩織の方を見るとそんなの気にしてないほど怯えていらっしゃる。
━━凄く可愛い
雄大はさっきからニコニコしながら少し離れて歩いている。
ドキドキ
俺の心臓の音が少し大きくなる。
俺は意外と緊張しているらしい。
唇が乾燥している感じがする。
宿泊施設に戻ったら水分補給をしよう。
そんな事を考えながら、ゆっくりと進んでいく。
すると、詩織が俺の手をさっきより強く握ってきたので、周りを見ると、お墓の辺りに近づいてきていた。
詩織は、「むりむり」と言いながら、俺の方に寄ってくる。
━━やめて、俺の心臓が持たない
俺は女子とは話せるがこういうタイプの耐性はないようだ。
俺の心臓は更に加速する。
俺は優しく詩織の手を握り言う。
「大丈夫だよ、俺もいるから」
我ながら何でこんな言葉を言ったのか覚えていない。
でもその言葉のお陰か、詩織は少し安心した様子だった。
そして、雄大は忘れないでと言いたげな顔をしていた。
少しずつ歩みを進めていく。
光の通っていなかった、木々の横を過ぎ、お墓が見えてくる。
詩織の目には少し涙が潤んでいた。
俺は詩織に向かい、
「大丈夫、大丈夫だよ」
そう言った。
詩織は首を軽く縦にふり進んでいく。
途中、目をつぶってたのを俺は見逃さない。
「怖いよ、むりむり」
詩織はそう言いながらも進んでいく。
足取りはちょっとだけ早くなっていたが、お墓の隣を通りすぎる事ができた。
俺は雄大の持っている地図の内容を思い出す。
あの地図には、中間地点にお墓ここを越えたら後半分ってかいてあったな、と頭のなかで思い出す。
━━えっ、まだ半分なの!
俺の心臓持つかな、そう思いながらこの状況を幸せに思っている自分がいた。
俺達は進む。
すると、ものすごく暗い道にはいる。
地図だと難所☆っと書かれている。
━━何が☆だよ
詩織はさっきより暗い道を見て、首を横に振りながら俺を見てくる。
目が潤んでいて、泣きそうになってる。
「大丈夫だから」
俺はもう一度言って、詩織の手を優しく握る。
雄大が、懐中電灯を照らしても暗いと感じる。
すると急に電気がチカチカして、消える。
電池切れか、仕方ない。
俺は少し止まろうと言って、しばらく俺達3人は動かないでいた。
目が暗闇に慣れてきたので、進む。
詩織は懐中電灯が消えたことに更に恐怖を覚えている。
さっきから俺の手を凄く強く握っている。
━━ちょっと痛い
俺達は暗い道を越える。
すると……
「むりむり、これ以上むりだよ」
遂に詩織が弱音を思いっきり言う。
今まで我慢してたのには気づいていたが、ここで限界が来ちゃったか
一筋の涙が詩織の頬を伝っているのが分かった。
俺は空いている方の手でその涙を拭い、ニコッと笑顔を見せる。
詩織もニコッと笑った。
━━とても可愛い
その後、詩織は頑張るっと言ってくれた。
先はまだある。
そして、雄大が空気になってきている。
俺達はそのまま進んでいった。




