第22話 魔女からのメッセージ
※本エピソードで第二章は終了です!
「ごめんなさい。どうしても気になって……。あの後半の書き込み。私、気付いちゃったんです──」
意味深な言葉。
「どういう事だ?」
今度は、リーさんが問いかけた。若干、表情が険しい。秋菜の言葉に、皆が、もう一度内容を確認しようと其々にスマホを開き始めた。俺も、秋菜のスマホを覗き込む。
◆◇
137:お客様名:透明な魔女
2020/06/08(月)00:00:00.00
ID:※※※※※※※※※
おはよう。
やじ馬が煩わしいからこっちで待つよ。
会うのが楽しみだ。ここなら誰も入れない。
しかも議事録を盗めば奴等の悪事を暴ける。
やれば社員が救われるオマケ付きさw
https://www.※※※※※※.com
妖精よ、騙されちゃいけない。
この世界は歪んでいる。
無理に直そうとすれば崩壊するよ?
◆◇
皆の聞く準備が整ったのを確認し、秋菜が説明を始める。
「この書き込み……。初めは、私も皆さんと同じ意見だったんです。わざわざ縦読みにしていた意味も……。恐らく、余計な邪魔を入れたく無かったんですよね……文面通りに解釈すると。だけど、それすらも罠だと言う事は、上段の文には意味が無いという事になりますよね。だから、私は下段の文について考えてみたんです……」
なるほど。確かに親会社のサーバーに誘導する事自体が罠だった以上、縦読みを促した上段の文には意味が無くなる。勿論、貼られていたURLにも。そうなると、残されているのは下段の文だけだ。秋菜は、ここにも何かメッセージが隠されている……そう言いたいのだろうか。
「そう思って下段の文の意味を考えている内に、ある事に気付いたんです」
「気付いたって……何を?」
問いかけたのは亜里沙さんだ。秋菜は、意を決した様に口を開く。
「この文章、もっと素直に受け取れば良かったんです。『妖精よ、騙されるな』。『この世界は歪んでいる』。そして、『無理に直そうとすれば壊れる』。つまり、これは上段の文に対しての警告。要するに『騙されるな、このメッセージは歪んでいる。無理に縦読みすると壊れる』。そう取れる様な気がするんです」
ふむ……確かに、そう取れない事も無い。秋菜は、更に続けた。
「そして、このメッセージの通り騙されない様にこの世界……つまり、上段の文面を歪んで解釈したら……。『世界は歪んでいる』のが正解なんです。歪む……傾く。要するに『斜め読み』しろと言う事なんじゃないでしょうか……?」
なるほど!
秋菜の説明を聞き、皆が一斉にスマホを確認した。先程の書き込みの上段をもう一度よく確かめる。
「──あっ!」
いち早く確認した萌くんが声を漏らす。秋菜の言う、斜め読み。俺も、覗き込んだ秋菜のスマホでその内容を確かめた。新たに浮かぶ、別の言葉。
◆◇
137:お客様名:透明な魔女
2020/06/08(月)00:00:00.00
ID:※※※※※※※※※
『お』はよう。
や『じ』馬が煩わしいからこっちで待つよ。
会う『の』が楽しみだ。ここなら誰も入れない。
しかも『議』事録を盗めば奴等の悪事を暴ける。
やれば社『員』が救われるオマケ付きさw
https://www.※※※※※※.com
妖精よ、騙されちゃいけない。
この世界は歪んでいる。
無理に直そうとすれば崩壊するよ?
◆◇
「──叔父の議員!」
縦読みで誘導された親会社……武山製薬。更に、その社長、もしくは会長の叔父。まさか、こんなメッセージが二重に込められていたなんて……。素直な秋菜だからこそ気がついたのかも知れない。
しかし、本当にいるのだろうか……? この会社の関係者……その親族に該当する議員とやらが。すると、いち早く別のPCで調べていたリーさんが呟いた。
「……いた! 武山製薬の社長……その叔父に当たる人物に議員がいる。しかも、よりによってとんでもない奴が該当しやがった……」
一見、罠に見せかけた『透明な魔女』のメッセージ。ここまでして伝えようとした人物の存在。
何者だ?
まさか、『透明な魔女』の正体?
それとも、黒幕が別にいるのか?
どちらにしても、重要な意味を持つ人物には変わりは無い。その事を理解しているからか、リーさんは神妙な面持ちでその名前を口にした。
「──該当した人物……そいつは民自党の大物議員。幹事長の堀部博之だ」
※本エピソードで第二章は終了です。様々な謎、フリードや魔女の正体。全ては第三章で明かされる予定です。更新ペースは遅いですが、読んで頂けると嬉しいです!
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