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カメムシ

作者: ゲルマガ

カメムシってしってるか?あの触ると臭くて親指の爪ぐらいの大きさの。いい加減家の中にも居られないし外に出ようとドアを開けたらあいつに会ったんだ。口から変な英語のスラングのようなものが咄嗟に出た気がする。正直覚えてない。いきなり現れたターゲットには驚くのは生物として当然の反応だと思いたいなぁっ私としてはね。逆に聞きたいな、驚かない奴がいるのかと。いいやいないね!みんな絶対おどろくね。表面上では驚いたりはしなくてもっ!こころの中では驚くって信じてるから。だって玄関出てすぐだぜ?玄関出てすぐは無いわ。

こんなしょうもない事を頭のなかでどっかの知らない誰かさんに言い訳をしてるような時間は無いんだが。

 とにかく焦った私は玄関のドアをすぐにしめ、鍵を掛けてドアに背を向き左に体を向け通勤路を200メートル走って行くと右手に見える馴染みのパン屋(名物はカルフォルニアロール寿司だ)の前の道を進んだ先にある最寄り駅を目指す。icカードの残金がいくらあるのかは把握していなかったが、中には入れてしまえば後で駅構内でチャージができる。急いでいたがどこか少し心の余裕ができたのは良いものの肝心の電車は来てはいなかったのは残念だ。走って駅のホームに着いたせいで息切れしていたためか、周りからの目線が妙に痛い気がした。

 だが心の余裕ができた事で思い出した事がある。今日は会社は休みだし、今の私の格好は上下揃いの灰色のストライプの入ったスーツ姿ではなく灰色のストライプなのは一緒だがパジャマ姿だった。しかもナイトキャップつきの。それと鞄の代わりに枕を手に持っていた。

どうりで普段のスーツなら息切れしてようがスマホから目を離さない彼らの視線を感じるわけだし、逆に目が合えばいつも向かいのホームから挨拶をしてくれる幼馴染は今日に限っては挨拶どころか目線の一つも向けてくれないわけだ。 私はなるべく気配を消しつつ改札にいる駅員さんのもとへ向かった。駅員さんの半笑いの顔を眺めながら改札を出る手続きをし駅を出た私は馴染みのパン屋の店主に会わないように気を使いながら家の前に着いた。今日はついてないなぁと思いながらドアノブに手をやり引いた時に思い出す。あの時のカナブンの行方を。そしてウチの犬は虫を食べる悪癖がある事を。


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