〜シの神の性格〜
ハニの神が水晶玉を見て呟く。
「だいぶ話がすれ違ってますねぇ。」
イロの神もそれに頷く。
「まあいいでしょ。この結末は変わらないんだから。」
「それもそうだよねー。」
やる気がない二人も、この後の進展が見たくて仕方がない。だから会議に出席して、瞬きせずに水晶玉を覗き込む。
そんな中、人一倍やる気に満ち溢れた、真面目な人が口を挟む。
「物語に気付いたんだから、シナリオはやっと再開されるでしょう。近いうちにやっとフィナーレですよ。」
「ったく。これじゃ俺が悪役じゃないか。」
「仕方ないだろ、シの神。最終的に最も活躍するのは君なんだから。」
ホヘトの神はシの神をなだめる。しかし本当は、活躍のかの字さえ羨ましくて仕方がない。
このグループをまとめているのに、財政管理なんてつまらない。せめてイロの神の書物管理の方がマシだ。
「哀れな狼の命を奪うって?あのなー、こっちだって好きでやってんじゃないんだよ。」
「うるさいなぁ。聞こえないじゃないか。」
「ハニの神はシャキッとしろ、シャキッと。」
ハニの神が火種となり、口論がまた始まる。
「今、いいところなんだよ。黙ってて。」
イロの神も参戦する。
「神様らしく、仕事しろ!」
ホヘトの神が反撃する。
「寿命縮むよ。」
シの神が呟く。
「神に寿命はないっ!何千年おんなじメンツだと思ってんだ!」
ホヘトの神が八つ当たりをする。
「叫ぶな。うるさい。」
ハニの神が冷めた口調で言い放つ。
「全く、あなたもですよ!」
ホヘトの神が最も忙しい。
「うるさい。」
イロの神も水晶玉に集中している。
「そろそろ諦めたら?」
「断るっ。」
シの神は認めないが、この四人の口喧嘩というより、ホヘトの神いじりも日常茶飯事だ。
「…さてと、仕事だ。あいつらも自覚したようだし。丁度よく、もうすぐ狼の試験の時間だ。追い討ちかけてくる。ホヘトの神の言うように、すぐにフィナーレだよ。」
くるりと周り、シの神は部屋を出る。
「バタンッ」
ドアが閉まる音がする。
さっきの勢いはどこへやら。イロの神、ハニの神、ホヘトの神はシの神が回った瞬間からドアを出るまで、シの神を見つめ、今もシの神が出て行ったドアの方向を見ている。
「相変わらずクールだよなぁ。」
「あいつ、何気にモテるんだって。」
「そうですか。でも妙に仕事ができるのが一番妬ましいです。」
ホヘトの神は水晶玉の前へ移動し、手を組んで早くも不機嫌になる。
「ホヘトの神は真面目だなぁ。」
イロの神は冷やかすように言う。
「そういえば、試験…か。」
「赤ずきんのような大物がいるのに、兎とか狐とか。民家に近づかないで小物ばっか食ってるからな。」
「そう考えると、こんなに早く試験が来るのも納得です。」
「そっか、若いよな。」
イロの神は水晶玉を眺め、言う。