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どうしてこうも俺の妹はおかしいのだろうか  作者: 相田博葵(アイダハクイ)
4/5

天崎家

さて、この作品で会うのはお久しぶりかと思われますが相田です!

今回は、タイトル通り、雪芽と雪斗の両親が出てきます。

普通な両親か…と思う人はまずいないと思いますが、変わった二人です。

まず、設定がやばいです。雪芽と同等、もしくはそれ以上か…?というくらいパンチが強い設定にしたつもりです。

そして性格、これは当然のごとく変わっています。

まあ百聞は一見に如かずと言いますし、見てもらったほうがすごさは伝わると思います。

では、「どうしてこうも俺の妹はおかしいのだろうか」 天崎家、どうぞご覧ください!

Part4天崎家


さて、今日は日曜日。天気もいいし、外にのんびりと出かけるのもいいんだが、今日に限ってはそれができない。なんでかって?今日は両親が家にいるからだ。

基本的に二人とも夜遅くまで仕事をしているし、家に帰ってるのは日付が変わってちょっとしてから、でさらにそこから二時間ちょっとで家を出ていくので、基本的に会わないことが多いんだ。ただ、今日は珍しく朝から家にいる。だから俺もいるだけだ。別にマザコンでもファザコンでもない。ただ実を言うと、両親が大好きなのは雪芽なので、俺までいる必要なんてないのだが、いないといないで、若干怒られるしな、何でか知らんが。

「雪ちゃ~ん~。お父さんにコーヒー注いでくれないかな~?」

とまずは父さんが雪芽に話しかけているみたいだ。しかし、雪芽は父さんのことをなんでか知らんが毛嫌いしているので、

「嫌です!第一、雪芽はコーヒーの注ぎ方を知りません!」

ときっぱりと断る。

ただまあ父さんも39歳のくせして、見た目年齢は20後半だし、精神的にはもっと低いな。

という感じに粘りっこい人なので、

「コーヒーの注ぎ方くらいお父さんが教えてあげるよ~」

とまだ言っている。

「雪芽に変な知識を増やして雪芽の学力を落としたいのですか?この人間国宝級の頭脳を持つ雪芽に?何てことしようとしてくれるんですかパパは!」

あ、さっそくキレた。しかし雪芽は父さんに対して、怒りの沸点低いな相変わらず。というか自分で人間国宝言うなよ雪芽。

「ごめんね。お父さん雪ちゃんと違って頭よくないから、そこまで頭が回らなかったんだよ。じゃあ、文系教えるからさ、雪ちゃん」

いや、なんか反論しろよ父さんも!というか、あんた一応T大学首席で卒業してるじゃないか。それで頭よくないとか、日本国民がほとんどバカになるだろ。

「雪芽の嫌いな文系を出さないでください。そんな汚らわしい教科の名前を言う人なんて雪芽嫌いです。おまけに、勉強なら由梨ちゃんに教えてもらうので結構です」

由梨ちゃんっていうのは、母さんのことだ。(ちなみに旧姓は京間(きょうま))なんでか雪芽は名前で呼んでいる。

んでもって東大主席の父さんより頭がいい母親っていうのはな。まあ実を言うと母さんもT大主席なんだ。父さんの次の年の。んでもって、出会った頃だかによく勉強関係の勝負をしていたそうなんだが、父さんは一回も母さんに勝てなかったそうで。

「そうよ~きーちゃん。雪ちゃんの嫌がることしちゃだめよ」

まあなんとなく流れで分かっただろうが、きーちゃんというのは父さんのことだ。(ちなみに本名は颯紀(そうき))

あ、とうとう会話に入ってきたよ。母さん。しかし相変わらずの若々しさだな。実年齢は38歳なんだが、見た目だけじゃ20代前半似も見える美貌を持っている。俺たちが中学のときなんか、お姉さんと間違える人ばっかでな。まったく困ったものだよ。

「そうだ雪ちゃん、お兄ちゃん。この間模試が返されたって聞いたけど、結果は、どうだったの?」

あ、やばいな。雪芽、今回過去最低順位なんだよな。いやなんともタイミングの悪い時に帰ってきたな、母さんも。

あ、まあ最初のほうの会話で分かった人も多いだろうが、母さんは、雪芽を雪ちゃん、俺をお兄ちゃんと呼ぶ。

父さんは、雪芽を雪ちゃん、俺は名前で呼ぶ。娘の呼び方はまだしも俺たち一応双子なんだからな、母さん。さて、こういうのは先に言ったほうが楽だし、雪芽には悪いが、先に言わせてもらおう。

「あ、俺は全教科九十点越え、順位は五位」

まあ細かい点を言うのも面倒くさいし、これでいいだろ。

「おお、さすが雪斗、やっぱり安定してるな。この調子で頑張れよ」

父さんは割とまともな人なもんで、普通にほめてくれるというか、成績相応の対応をとる。ただ、母親は俺の成績に興味がないのか何だか知らんが、何も言わない。それで、

「お兄ちゃんのは分かったけど、雪ちゃんは?どうだった?」

やっぱり母親は母親で、相当雪芽のことが気に入っているみたいだ。

「え…。えっと…。その…」

あの口が達者な雪芽さんが、珍しくおどおどしている。いや、ビデオカメラにでも撮って後で本人に見せてあげたいね。

「どうしたの、雪ちゃん?」

やや心配そうな顔をしている。まあ、どうせ半分は脅しだろ。で、そう言われてなんか腹をくくったっぽい雪芽さんは、

「理数は100点です。ただ、英国社は10点です。総合は、200位でした…」

と、まあ滅多に見せない真面目そうな口ぶりで答えている。

さて、雪芽が滅多に見せない反応を見せたのはいいとして、今回それよりも問題なのは、母親の反応だ。

さっきから黙りこくっているが、どうしたものかね。

そしてしばらくして、

「やっぱり雪ちゃんは最高の娘ねっ」

となぜこの流れでその結論が導かれるのか、全く意味が分からないことを言い出した。いや、まあ母さんはそういう人なんだけども、な。

「正直言って、お母さんとしてはつまらないのよ、お兄ちゃんとかきーちゃんみた人。なんていうか、ほとんど全部完璧っていう感じの人?テストの点も全部似たり寄ったりで。でも、オールパーフェクトでもない人。だから、雪ちゃんみたいに個性的というか、変わった子がいいのよね、お母さん。それに、お母さん完璧人間だから、ちょっと欠点がある子がお母さんのツボなのよね~。それかもしくは、お母さんより頭いい人とかかな~」

さて、この発言の全てに突っ込むのは大変そうだが、俺自身の話などもあったりなので全部突っ込もう。

いや、まず根本的に、俺より成績が悪い雪芽があんなに好評をもらっておいて、なぜ俺はここまで悪口というか、文句を垂れられなければならんのか。おまけに、父さんのこともつまらないとか言ってるが、一応出版した本は全て一千万部の発行部数を誇る人気作家だぞ、父さん。あと、自分のことをちゃっかり、完璧人間とか言ってるが、まあ確かに事実ではあるんだから、もうすこしこう自重というものをしてほしいね息子としては。ちょっと欠点がある子がツボ、というのはまあ人によってはそうなのかもしれない。

勉強もできて、性格も穏やかで優しくて、何をやらせても完璧…っていう感じの女の子が、実は料理はすごい下手です…。っていう設定が好きな人とか多いらしいしな、実際。

ただ、雪芽の文系のできなさ、これはちょっと欠点がある子、のちょっとした欠点なんてレベルじゃない。双子入学の特別生徒だからいいものの、一般の高校にいたらこれ確実に留年だからな。それなのに、雪芽が母親と同じで文系が嫌いなところはそっくりだから、母さんも成績が恐ろしいのは知っていつつも、別に勉強させようとしない。そりゃ母さんは嫌いな文系もなんでかできてしまうからいいけどな、雪芽はそうじゃないんだからまともに勉強させろよ!と言いたいが、あの作家である父さんよりもはるかに上を行く語彙力、それにとてもじゃないが俺はかなわない。

さて、突っ込みとそこから出てきた下らん話も含めて、とりあえずひと段落したな。

すると突然、

「やっぱり雪芽由梨ちゃんのこと大好きですううううう」

と雪芽が母さんに飛びついた。

すると母さんも、

「雪ちゃんに大好きって言ってもらえてお母さん嬉しいわ~。お母さんも雪ちゃん大好き!」

と、見事なまでの娘愛とマザコンっぷりを展開させている。なんだこの親子。

そしてその光景をうらやましそうに見つめる父さん…。

あんたまさかこの中に入りたいのか?

というか雪芽、前俺と三代のことをBLだとか何だか言ってたが、今のお前の状況、母と娘という立場な故に一見GLなんてものは成立しない、一見そう思うのだが母さん、見た目が20代前半なもんでそれが不思議とそう見えちまったりする。

こういう関係になっているというか見える二人が自分の母親と妹なんてちょっと悲しくなるというかもう呆れてものも言えない感じになってきたので、部屋に帰ろうか、そう考えたとき、父さんがふと俺に、

「雪斗、いつも家を空けていてすまない。父さんはなるべく早く家に帰ろうとしているのだが、編集さんが厳しくて、なかなか仕事が片付かなくて。ただ、いつも気にかけてはいるんだ。家のこと」

父さんは母さんみたく、雪芽も好きだが、俺のことも割と普通に接してくれる。味方的な一面もある。とはいっても雪芽のほうが、甘いな。

「大丈夫だよ、父さん。父さんが忙しいのはよくわかってるし、雪芽の扱いだって慣れたしな。母さんがいるとさすがに手に負えないというか何もできんがそんな日も年に数回だしな。それに、こんなくだらん家庭事情を気にして仕事が手に負えなくなったら、今よりもっと多くの人が困るだろう?だからこれでいいんだ。父さんは何も気にせずに仕事してくれたら、俺はそれで大丈夫だ」

さて、これで父さんの心配も払拭されたかな?本当は雪芽のこと、手が負えないくらいになっているのだが、そんなこと言って父さんの心配を増幅させるなんてそんな親不孝なこと俺までしたくないし。

「雪斗…。本当にお前はしっかりした子に育ってくれたな…。いや本当父さんも母さんも雪芽ばかりを可愛がりすぎてしまってな。雪斗がかなり可哀想な役回りにいつもなっていたな。そのせいで、父さん雪斗は将来悪の権化みたいなのになると思っていたんだが、全然違ったよ。雪斗はこんなにもまじめでいい子に育ってくれた。ただ、今さらながらごめんな、雪斗」

まったく。いまさら父親にこんな改まって謝られてもな…。なんて返せばいいか困るだけなんだが。

「いや、むしろ俺はこの育て方だったから、割と普通に育ったんだと思う。てか雪芽みたいに育てられてあんなんに俺絶対なりたくないしな。こういうのも変だが可哀想に育てられたことをどうこう思ったことはない」

まあ、雪芽を俺みたいに育ててちょっとは落ち着いた普通の子になるかと言われたら、まずありえんしな。これは育て方もまああるとしても、基本的には育てられた側自身の性格が影響すると思うし。

「そうかい。ただ、現に甘やかした雪芽の最終形態の面倒を見ているのは雪斗だからな。結局父さんは雪斗に謝らないといけないんだよ。だから、父さん今からでも雪芽を甘やかしすぎないようにするよ。そうすれば、雪斗の面倒も少しは減るだろう?」

確かにそう、今あのモンスタードーター(monsterdaughter(モンスタードーター))(今作った言葉だ。意味はmonsterparents(モンスターペアレンツ)の娘版ってとこだな。)を育ててるのは実質俺だ。そう考えるとやはり父さんに謝ってもらうのは正当な行為なのだろうか。

そういや今さら思ったが、父さん雪芽本人には雪ちゃんって呼ぶんだが、俺とか雪芽以外に雪芽のことを話すときは、普通に雪芽って呼べるんだな。そこは母さんより雪目に甘くないということか。

なんて娘の苦労を語る父親同士みたいな会話を親子でしていると、その会話の原因が入ってきた。

「パパ~。パパがいない間に雪芽ほしいものがたくさん増えまして~。それを買ってほしいなと思っていて~。総額五万円くらいなんですけど…買っていただけませんかね~?」

甘やかさないという話をしていた後にピンポイントでこの話を振ってくるとは…雪芽実はこの話聞いてたのか?

そして父さん…。俺に向かって任せろ的な目をしているが、俺にとってはむしろその目が心配だよ。と思った時に

「あ~雪芽あれすごいほしいのにな~。もう夜もあれのことを考えると眠れなくて落ち着かなくて」

眠れないのはともかくとて落ち着かないのはいつものことだ。それをうまくここで使うな。

そして父さん…。早速さっきの決意と目がぐらついているじゃないか。こりゃ押し切られて買いそうだな。いやそこを頑張ってくれ…じゃないとまた雪芽の世話が大変になる。

「えっとな雪ちゃん…。いくら父さんが雪ちゃんを好きでもでもそんな欲しいものを何から何まで買うことはできないんだよ…?」

がんばってるけどセリフが既にたどたどしい…。こりゃ本当に心配だな…。

「あ~あ~。雪芽パパなら間違いなく買ってくれると信じていたんですけどね…。やっぱりパパは由梨ちゃんと違って雪芽が嫌いなんですね、だから雪芽に冷たいんですね~。もういいです、雪芽はパパと一生口を利きません」

あらまあ雪芽さん…。だいぶ大事口にしちゃってますね…。ここまでくると嘘ともとれるような…。ただ雪芽さんの行動力なら本当にしそうでもある…。

「わ…分かったよ雪ちゃん。その、欲しいもの、父さんが買ってあげるから、そんな悲しいこと言わないでおくれ」

父さん…やはり雪芽に厳しくするのは無理だったか…。まあ仕方がない。俺の面倒ごとは増えるけど慣れていくしかないな…。ただ、その様子を見てくすくす笑う母さんが恐ろしすぎてそれどころではなかった、というのが俺の感想だ。父さんが雪芽に何も買っていなかったらどうなっていたことやら。そしてその日の夜。

父さんは雪芽にぴったり五万円渡してそれで喜んだ雪芽は母さんとともに寝室へとかけていった。

そして俺もそろそろ寝ようかなと思ったころ、

「おい、雪斗」

と父さんに話しかけられ、封筒を渡された。開けると中には十万円が入っていて、

「雪芽に父さん結局甘かったし、あと雪芽はどうせ母さんにもなんかもらっているだろうしな」

久しぶりだな、俺と雪芽が平等、いやそれ以上に扱われたかもしれないのは。

としみじみしていると、

「いやこれ、いつもの生活費だぞ?今日の流れ的に父さんが雪斗を平等に扱ったみたいになってるけど、いつも朝から家にいるときに渡しているやつってだけだぞ?」

と言われて我に返った。俺もとうとう頭がおかしくなったのかな?こんないつものことを特別にとらえるなんて。

「あ、兄様騙されましたね?ふふふ~。これなら騙せるかな程度に思っていたのですが、本当に騙せるとは…。由梨ちゃんが笑っちゃったんでばれたかな?って思ったんですけど結局騙されましたね~」

「お兄ちゃん…。まさか最後まで気づかないとはね。というか気づくそぶりもないなんて…。お兄ちゃんにも欠点あったのね~。お母さんお兄ちゃんのことちょっと見直しちゃったわ~」

「いや雪斗本当にすまんな。でも父さんもお前が騙される姿がちょっともてみたくて、つい…な」

いやなんかぞろぞろ出てきたし。なにこれ?俺騙されたの?この変人奇人の集まりみたいな家族に?おまけにこの感じだと脚本というかシナリオ考えたの雪芽だし。ただ…

「おい雪芽。どうせシナリオ考えたのはお前だろ。さすが、双子なだけある。俺がはまりやすいようにうまく作られてた。ただ、目的はなんだ?俺が騙されるのを見てけらけら笑いたかったってか?」

まあ、こいつのことだしそんな気しかしないよまったく。

「ち、違いますよ!兄様が最近元気なくて…それで雪芽兄様に少しでも元気になってほしくて、それでも何も思いつかなくて…毎日悩んで出た策がこれだったんです…」

さて、なんか嘘くさい気しかしないんだが。というか絶対嘘だろ。

「お兄ちゃん!ダメでしょ!そんなあからさまに疑いの目を向けるなんて!雪ちゃんがどれだけ心配したのか分かってるの?ほら、雪ちゃん泣いちゃったじゃない!」

あ、泣いてやがる。まったく、対応に困る妹だな我ながら。

しかし、本当に心配してくれたとしたら悪いことをしたな。

「雪芽、その…すまん。でも心配するな。お前の兄さんはそんな弱くない。おまけに、今日のお前がやってくれたことでまあ元気になったしな」

と一応謝っといた。じゃないとまじで母さんに殺される。

「兄様。ちょっと雪芽失望しました。まさか同じ人に同じ手口で二回も騙されるなんて…」

といって振り返った雪芽は、全然泣いてなかった。

「お兄ちゃんったらマヌケね~。二回も騙されるなんて~」

「雪斗、今日父さんは世界で一番面白い瞬間を見た気がするよ」

ここにきて、二回騙されたことにようやく気付いた俺は、なんだかもう疲れ果てて、怒る気も起きず、そのまま寝た。

そして翌日の朝。

「じゃあね、雪ちゃん、お兄ちゃん!」

「じゃあな、雪ちゃん、雪斗。元気でな」

とそれぞれ言った後、

「「また近いうちに会いましょうね~。」」

と声をそろえて出勤していった。

この時俺は、今までで一番、帰ってきて欲しくないと思ったのであった。

「どうしてこうも俺の妹はおかしいのだろうか」 天崎家、ご覧いただきありがとうございました。

一日に二作投稿という初の試みでしたが、なんとか投稿できました。(どっちも既に八割方書いてましたけどね(笑))

さてでは作品の話…

大学を一応T大学という風に濁したんですけど、国立の国内最難関と言われる超有名大学です!という最大のヒントをここで出しておきましょうか。

二人そろってそこを主席卒業なんて…。

我ながらありえない設定にしてしまったかな…とちょっと反省です(笑)

雪芽は文系が嫌いな設定なんですが、バリバリ文系がやりそうなことを今回させてしまいましたね。

でも、何かのため!と割り切れば雪芽ならできそうですよね。

ただそれを設定にすると、テストも割り切ればできるだろ!となりそうなので、できそうだね~という笑い話にとどめておきます(笑)

まああとがきもこの辺に、また次話もしくは次回作でお会いしましょう!


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