昼休み
初投稿✨
割と短文です。お気軽に読んでいただけたら幸いです。
Part1 昼休み
昼休み。購買で買ったパンを食べ、現在時刻は1時。5時限目開始時刻は1時半。つまり、今から30分間のんびりできる、そう普通の人なら思うだろう。しかし俺にはそんなことできるはずがない。なぜならあいつがいるから。
「あーにーさーまー。雪芽暇なんです!何か話しましょうよ!」
「ったく。お前それで俺の席来たの何回目だよ。他にも行くところくらいあるだろ?」
昼間から騒がしいこいつは、天崎雪芽、高校一年生。俺、天崎雪斗の妹である。
「まあまあ。いいじゃないですか。たった2人の家族なんですから!」
これを見て、まあ、あの2人、両親もなく2人で頑張って生活してるのね。それなのに、お兄ちゃんの方、妹の扱いが悪くない?と思った人には申し訳ないが、我が家は両親もしっかり生きている。要はつまり、日本語能力がややというかかなり低い、ただのバカである。おまけに扱いが悪いのは、俺とこいつは双子だから、年の差なんてあってないようなもんだからっていうのと、とにかくこいつがやかましいからである。もう少し歳が離れてて、性格も穏やかな妹だったら、多分こいつなんて呼ばないだろうし、今より数百倍は優しい対応をとる。
「雪芽、我が家には両親ちゃんといるだろ。まったく、お前はもう少し日本語を勉強しろ、ほんとに将来困るからな」
言いながら、娘に叱る父親みたいだな、俺じじくさいなと少し泣きそうになった。そしてそういうちょっとつっこまれるといたいところを、こいつは必ずついてくる。
「兄様、いつから雪芽のお父さん気取りになっちゃったんですか?なんかじじくさいですよ」
性格は違えどやはり双子である。発言に対して考えることが大体同じである。
「というかそれより、兄様人に日本語勉強しろって言ってますけどね、兄様は数学と理科を勉強するべきですよ!」
なぜこのバカが、ここまで堂々と俺に、数学と理科を勉強しろなんて言えるのか、それは、こいつがこの二つの教科だけ異常にできるからである。俺の記憶上、こいつがこの二つの教科で満点以外を取ったのを見たことがない。それはどんなに難しい模試の問題でもだ。ただ、俺も別に点数が悪いわけではない。毎度きっちり九十点以上はとっている。それにこいつ、俺に数学と理科をどうこう言う前に、もっと大変な問題を抱えているのだ。
「俺とお前にたいそうな差はないだろう。理科と数学においては。そこをどうこう言う前に、もっとさあ、国語とか、英語とか、社会を勉強しようか、雪芽」
「兄様。そこは突っ込んじゃいけないお約束ですよ。お約束くらい守ってください」
そう。こいつ、数学と理科はできるのだが、他が壊滅的であってな。英語なんか0点当たり前といった感じでテストを見せてきたりもする。というかそんな約束はした覚えないんだが…。
「知るか。約束なんてしてないだろそもそも。というかこんなことしてる暇があるなら英単語の一つでも覚えろよバカ芽」
ついバカ芽と言ってしまった。こいつ、名前とかけてけなされると面倒くさくなる。(アホ芽とかも反応する。)話を盛って親に言いだしたり、友達に急に話振ったり、本当に面倒くさい。まあ、高校生になったし、さすがにもうグダグダ言わないか。そりゃいくらこいつがバカでアホでも、成長くらいするか。
「兄様バカ芽って言いましたね?」
残念ながら俺の妹は成長なんてしていなかった。
「ひどいですよ兄様。ねえ、しろくん?」
そして突然人に話を振り出し始めた。おまけに相手は学級委員の三代だ。人柄がよいため人望がとても厚い。そんな彼のことだから、雪芽の話もちゃんと聞いてくれちゃうのだろう。本当申し訳ない。
「どうしたの?天崎さん。突然だったからびっくりしたよ」
「聞いてくださいよ。兄様が、雪芽の事バカ芽って言ったんです」
「兄様って、天崎君のことかな?天崎君が理由もなくそんなこと言うとは思えないんだけど、何かしたの?天崎さん?」
こりゃ人望も厚いわけだよ。こういうのは、ゲームで雑魚クエストが余ってるときに、「報酬とか関係なく、そこで困っている人もいるから助けに行かないと」
的なやつだな。現実で例えると、雪芽みたいなバカのくだらない話でも、「内容は関係なく悩んでいるんだから解決しないと!」ってことか。しかし、こんないい人の前でも嘘ついたり話盛ったりはしないよな、雪芽。
「雪芽は何もしてないです。雪芽の頭の良さに嫉妬した兄様の嫌がらせですよ。本当嫌になりますよ」
何が「嫌になりますよ」だ。お前の相手するほうがよっぽど、「嫌になりますよ」だからな。
「そうなの?天崎君?」
いや三代、真剣に解決しようとしているが、ただの兄弟のくだらない口喧嘩だ。
「いや、断じて違う。こいつ数学と理科以外の成績が本当に壊滅的だからな。そこを突っ込んだだけだ。決して嫉妬とかそういった感情ではない」
「ちょっと兄様。なに話盛ってるんですか。まさか、さっきまでの話の内容すら忘れてしまったんですか?バカですか?バカ斗ですか?」
話なんて盛ってない。それはお前のことだろむしろ。というか、案の定、自分で墓穴ほったなこいつ。
三代にもこれ以上迷惑かけるわけにはいかんしな。そろそろ解決しないと。
「お前今、俺の事バカ斗って言ったよな。これで同罪だ」
「あ、雪芽うっかりやらかしましたね」
「バカだなお前、というかそろそろ三代を解放してやれ」
「わかりました。でもしろくんも楽しそうでしたよ」
そんな訳あるか。
「三代、すまない。くだらない話に付き合わせてしまって」
「いや、いいよ。全然気にしてないし。僕にも天崎さんみたいな弟がいるから、慣れてるっちゃ慣れてるし」
(天崎くんも兄弟に苦労してるんだな~。僕と似た人がてよかった。というか天崎君のほうが対応上手だな、今度またゆっくり話したいな~。)
「天崎くん、今度一緒にゆっくり話してくれないかな、僕と」
「全然かまわないが…」
どういうことだろう。三代が俺と話すなんて。まあ、三代のほうが兄弟の扱い上手そうだし、コツとか聞きたいしちょうどいいか。
「よかった。それなら今度ね~」
(これで弟の攻略法、いいの見つかるといいな。)
「兄様、しろくんと仲良くなれてよかったじゃないですか!本当にいい人ですよねしろくんは。お兄ちゃんの紅宇ちゃんがうらやましいですよ」
「ああ、そうだな。俺も葉宇のほうの三代が弟だったらどんなに平和だろうか」
「あ、兄様まさか…」
なぜか顔色が悪い。俺変なこと言ったのだろうか。
「兄様男の人が好きなんですか?いや、そりゃ人それぞれ趣味とか個性とかがあるのはわかりますけど、それにしても兄様が男の人が好きなんて、雪芽、ちょっと妹でいられる自信がなくなりそ…」
「んなわけあるかこのくそおおばかやろおおおおおおお」
キーンコーンカーンコーン キーンコーンカーンコーン
俺の叫びと同時に昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。
さらば俺の昼休み。
やはり俺は静かな昼休みを過ごすなんて、儚い夢なんだな、このバカな妹がいる限りは。
どうしてこうも俺の妹はおかしいのだろうか、御覧いただき、誠にありがとうございます!
この作品、初投稿で非常に緊張しての投稿でした。読者様に、面白いと思っていただけたらほんとにありがたいな、と思います。
連載作品ですので、これからも、ほかの作品と一緒に、続きのほうも書いていきたいな、と思っております!
妹のキャラを強く出そうとしたんですけど、書いてみて最後に見てみたら、結構お兄ちゃんもキャラ濃いな、と思いました。でも、個人的にお兄ちゃん結構好きなので、どっちもキャラ濃く出していこうかなと思います。
次回、新キャラ出す予定なので、期待して頂けたら嬉しいです!