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二十話 避ける ③

 左に身を捻って、後ろへ跳んで。今度は前に出て危なっ! 頭下げないと! そして、上げてジャンプ! 今度は、あれ? おしまい?


「よしよし。これで一応はレベル一クリアってとこか」


 え! クリア!? 私、私ついにやったんだ!


「シオンさん、クリアってことはこれで避けるの修行終わりですか!?」


 やった! ついに私は避けるの修行をクリアした! ああ、長かった。一週間もずっとこの修行やってたし。それがようやく終わり次の修行へ。ふふっ。次の修行は何かなー? そろそろ攻撃のをしたいなあー。


「あ? クリアしたのはレベル一だろ。レベル十クリアまで続くに決まってんだろ」

「レベル十!?」


 え……。この一週間ずっと必死こいて頑張ってクリアしたのがレベル一で、この修行を終えるにはレベル十をクリア? はは。無理無理。終わる気がしない。はぁー……。


「武器への抵抗は無くなって来てるよ。頑張ったねミッちゃん!」


 ああ。心が洗われる。この笑顔で褒められるなんて幸せ。しょうがない。もっと褒められたいし頑張るか。


「だから、ボクは次の指導したいな。うーん。何教えようかなあー」


 リンさんは次の指導へ移るのか。でも、避けるをやりながらの指導って何になるんだろう? 


「なら、丁度いいし避けるも一旦止めて次行くか」

「え!」


 避けるの修行も止める!? やった! これはやっぱりついに攻撃の修行が来るはず! なんだろうなー。格闘技かな? それとも魔法かな?


「次は防御だな」

「……ですよねー」


 はいはい。知ってた知ってた。逃げる、避けるって来たんだから次は防御ですよねー。攻撃なんて来ないですよねー。


「不満そうだな?」

「……そんなことないですよー」


 別に不満なんてないですよー。ただ次は攻撃が来るかなー? なんて思ってただけで。別に


「逃げる、避ける、って来たんだから次こそは攻撃を教えろやゴミカス腐れ師匠! とか思ってんだろ?」

「そんな! ゴミカス腐れ師匠なんて思ってないですよ!」

「それ以外は思ってた訳か」

「あ……」


 は、嵌められた……。なんてズルい手を使ってるんだか私の師匠は。これはゴミカス腐れ師匠と思われても仕方がない。このゴミカス腐れ師匠。少しは女神師匠を見習え。


「はあ。……ああ! ああミイナにずば抜けた反射神経や動体視力とか避けることへの才能があれば! 自分の身を自分で守れるだけの力があれば! あれば、それがあれば今頃は物凄い魔法や武術の奥義を教えてやれてるのに! それこそ今頃世界最強に……」

「分かりました! 分かりましたから止めて下さい!」


 ぐっ……。人が気にしてることをグサグサ言ってくるのはズルい。


「やればいいんでしょ! やれば!」

「なんだその態度は? (才)能無しのくせに」

「(才)能無し!?」


 (才)能無しって! 酷い! 酷すぎる! でも、事実だから言い返せない! 悔しい! どうすることも出来ないこの怒り! これが俗に言うやり場のない怒り! うがー!


「ミッちゃん。防御は大事だよ。ちゃんと出来るようにならないと痛い目に合うよ」

「そうですよね。やらないといけないですよね。頑張ります」

「おい、なんだその反応の違いは?」


 リンさんが言うこと正しいし、やらないといけない。リンさんが言うならカラスだって白だしシオンさんだって聖人だ。


「うんうん! 頑張ろうねっ!」

「はい!」

「でも、お腹空いたからご飯食べた後でね」

「あっ、はい」


 あっ。頑張るのは今からじゃなくてご飯の後からですか。まあ、しょうがない。ちょっと早いけどもうお昼だしご飯食べに行こう。冒険者ギルドの格安飯を。


「なら、飯食い終わったらまたここに来いよ。俺はそれまで日光浴してるから」

「本当好きですよね。日光浴」


 いつでもしてますよね。まあ、気持ちいいから分かりますけど。


 一人気持ち良さそうに日光浴を楽しむシオンさんを置いて、私とリンさんは冒険者ギルドへと向かった。

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