魔物を狩ります
12歳になりました
俺がこの世界に転生して早12年、時々俺はこれが夢で、現実は病院のベッドにいるんじゃないかと思ってしまう。
それでも、これは現実で、俺はこの世界で生きている。そして同時に悲しくなる。もう、地球の家族には、友達には会えないんだと....
なぜ俺がこんなことを急に思ったかというと、夢を見たからだ。まだ地球にいた頃の記憶、あぁ、元気にしてるかな恵里奈、あいつちょっと不器用なとこあるからなぁ。
因みに恵里奈というのは、俺の幼馴染みです。紹介は...まぁいいでしょう。俺はもう香山幸助じゃない、ゼレフ・エマリウスなんだから。
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いつもの日課を終えたゼレフは、あることを考えていた。
(そろそろ、俺も魔物を狩ってみたいなぁ。実力もついてるし、いろんな魔法使えるし、冒険したいし)
因みにゼレフの今のステータスは
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ゼレフ・エマリウス
ジョブ『武拳師』
属性 火・雷・光
攻撃68
防御63
敏捷79
魔力70
魔耐70
スキル:"武踏乱舞"固有スキル
"魔拳"固有スキル
武術 Bクラス
赤魔法 Cクラス
加護:女神エルヴィスの加護
装備:"焔雷の黒拳" 秘宝級
皮鎧 一般級
黒皮ブーツ 一般級
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新たに装備が増えて、かなり冒険者っぽくなっていた。
「....今日、父さんと母さんに頼んでみるか」
そう言ってゼレフは、どう説得するか思案しながら、家の中に入っていった。
そして夕食の時、
「父さん、母さん、俺冒険者になりたいんだ」
ゼレフの突然の宣言に父と母は、とても驚いた顔をして....なく、全く驚かずに、平然としていた。
「そうか....」
「そうなのね.....」
それどころか、ゼレフが言うことが、わかっていたような表情をしている。
(あれぇ?何か想像してたのと違うぞ~?)
ゼレフが何だか拍子抜けしたような顔をしているのを見て、二人はクスクスと笑った。
「あんなに冒険者の絵本を読んだり、魔物図鑑を読んでたりしてるのを見てたら....」
「朝早くから起きて鍛えてるのを見てたら....」
「「そりゃ気づくよ(わよ)」」
「え....じゃあ二人は、俺が冒険者になりたいの知ってたの?」
ゼレフが聞くと二人は呆れたような笑みを浮かべて頷いた。
「まぁ、そろそろ15歳まで後3年だしな」
「今のうちに、魔物を狩る経験を積むのはいいことだけど...」
「大丈夫だよ!俺覚悟は出来てる!だから、お願い!父さん、母さん!」
「じゃあ、条件を出そうか」
「条件?」
「家の西に、"クルトの森"があるから、そこで狩をしましょう、でも手前の平原だけね、森には入らない、それともうひとつ」
「父さんと行こう、万が一があったらダメだからね」
「?!じゃあ...狩をしていいの?」
「「ああ(ええ)」」
「やった!ありがとう!父さん!母さん!」
ゼレフは満面の笑みを浮かべて、準備をするために、自分の部屋に向かった。
その様子を見ていた二人は、ちょっと早かったかなぁと後悔していたが、やがてゼレフの努力を見ていたことを思い、大丈夫だろうと、二人も準備を進めた。
~"クルトの森"手前の平原~
ゼレフと、オルターは装備と準備を終えてクルトの森手前の平原に来ていた。
そこは正に平原だった。地球にいた時にはテレビ以外では見ることのなかった平原がゼレフの目の前にあった、その光景に、ゼレフは暫し、目を奪われていた。
(地球とは、全く違う。つくづくここが異世界だって実感するなぁ...)
「父さん、ここには、どんな魔物がいるの?」
「この平原には、Fクラスの魔物の"スライム種"
いるんだ。今日はそれを狩って、解体の練習もしようか」
"スライム種"は、比較的無害なスライムもいれば、有害なスライムもいる。だが、討伐クラスはFクラスはであり、今のゼレフならば、安全に余裕で倒せるだろう。
「解体も?」
「あぁ、ナイフの扱いに早々に慣れておけば、けがはしないからね」
(ゼレフには、怪我をしてほしくないしね)
「わかった。父さん」
二人が会話をしていると、前方からスライムが、表れた。
「スライム!」
「よーし、初の獲物だ。頑張れゼレフ」
「はい!」
ゼレフはスライムに向かって駆け出した。そのスライムは、青いぽよぽよした丸い流線型のボディをしていた。見た目だけならかなり愛くるしい姿だが...それは魔物、ゼレフは躊躇わずにスライムにローキックを喰らわせた。
「はっ」
「みー?!」
スライムは可愛らしい鳴き声をして、吹っ飛んだ。そして、暫くうにょうにょと動いていたが、やがて動かなくなった。
"ピコーン レベルが上がりました"
(ん?レベルってなんだ?家の鑑定石で見たときは、俺のステータスにレベルなんて表示なかったはずだけど)
"各種身体能力向上、初のレベルアップボーナス&初の魔物討伐ポイントボーナスが与えられました。おめでとうございます"
ゼレフの頭の中に直接声が響いているようだ。オルターには、聞こえていない。
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ゼレフ・エマリウス
レベル1
ジョブ『武拳師』
属性 火・雷・光
HP158/158
MP200/200
ST198/200
攻撃70 2up
防御65 2up
敏捷81 2up
魔力72 2up
魔耐72 2up
スキル:"武舞踏乱舞" 固有スキル
"魔拳" 固有スキル
武術 Bクラス
赤魔法 Cクラス
加護:女神エルヴィスの加護
装備:"焔雷の黒拳" 秘宝級
皮鎧 一般級
黒皮ブーツ 一般級
スキルポイント100
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"レベル0からレベル1になったことで、あなたのステータスを何時でも見れるようにしました。
更に、レベルアップボーナスで、魔法箱が、使えるようになりました。
因みに、先程のスライムはまだ生きております。
ティム可能ですが実行しますか?"
(は、はぁぁぁぁぁぁ?!どうなってんのこれ?何これ?!つかティムって何?!)
"ティムとは、倒した魔物を服従させることです。ティムしますか?するならばスライムに近づいて、ティムといっください。"
(一体何なんだこれは...?いきなりレベルアップだの、ステータス何時でも見れますだの、ティムできますだの、色々ありすぎて混乱するけど、まぁ、地球とは違うんだし、ここは異世界。割りきるか...)
ゼレフの理解は早かった。
そしてゼレフは、先程のスライムに近づいていき、呪文を唱えた。
「ティム」
すると、ゼレフと、スライムに、何かの繋がりが出来たような光の糸が見えた。それはやがて消えていった。
その様子を見ていたオルターは、かなり驚愕していた。初の魔物討伐で、安全に出来て安心していたら、突然息子が驚いた顔をして、暫くしてから、自分の倒したスライムに近づき、ティムしたのだ。
(どうしてゼレフがティムを、知っているんだ?
もしかして、僕の書斎の中から見たのかな?
まぁ、多分そうだろう)
オルターは、一人で納得していた。
その間ゼレフは、スライムをティムしていた。
「これがティムか、何だか繋がりができたみたいだなぁ」
"スライムをティムしました。名前をつけて下さい"
「名前?」
「ティムした魔物を、自分の従魔としての証だよゼレフ」
「父さん、いつの間に...」
(な...ま....え...)
「ん?何だ、頭に直接声が...」
「それが従魔との繋がりだよ。ティムし、従魔となった魔物とは、"念話"が可能になるんだ」
「へぇ、じゃあ...お前の名前はブルーだ!よろしくな、ブルー」
(ブ...ル...ー)
するとゼレフの目の前にステータス画面が浮かんだ。
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ブルー(ブルースライムレア種)
レベル1
ジョブ『ゼレフの従魔』
属性 水・闇
HP50/50 ×10up
MP20/20 ×10up
ST60/60 ×10up
攻撃30 ×10up
防御20 ×10up
敏捷40 ×10up
魔力20 ×10up
魔耐30 ×10up
スキル:吸収 Eクラス
溶解 Eクラス
青魔法 Fクラス
黒魔法 Fクラス
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スライムのステータスは意外に高かった。しかも、レア種だった。
(こいつ何てステータスしてんだよ....しかもレア種って、俺めっちゃラッキーじゃん!てか何か強くなっとるしどゆこと?)
"スライムをティムした為に、主たるゼレフ様と魂の繋がりができたため、ステータスが向上したのです。つまり、ゼレフ様の魂の大きさが、このブルーに影響を及ぼしたのです。通常は二倍程度のステータス強化なのですが、ゼレフ様の力が強すぎて、通常の十倍のステータスになりました"
(いや、なりましたって....すげーな俺)
「父さん、今日は帰ろう。ブルーを母さんに紹介したいし」
「そうだね、初の魔物討伐が、初の魔物ティムになるなんて、リベリアも喜びを通り越して驚くだろうね」
そして、ゼレフは新たにスライム(レア種)の、従魔ブルーを仲間にしてエマリウス邸に帰宅したのだった。あ、オルターもね?
その夜、リベリアが喜色の悲鳴をして、ゼレフとブルーを存分に抱きしめたのだった。
なお、ゼレフは、ちゃんと堪能したのだった。
(何がとは言わない)