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動画投稿サイトに住む悪魔

作者: 白夜いくと

 私は一つの感動的な動画に出くわした。それは、保健所から猫を数匹引き取って、世話をしているというものだった。その動画のコメント欄には、「この子達の世話代が必要です。これからもこの動画をどうか評価してください」と書かれていた。私はそれに悩むことなくグッドボタンを押した。その動画は数ヶ月で200万回再生されていた。何だか良いことをしたようで嬉しかった。

 

 ある日、私はあるニュースを見た。それは、「沢山の無惨な猫の死骸が公園で見つかった」というものであった。それを聞いて「世の中にはひどいことをする奴がいるもんだ」と憤った。

 

 その次の日、また新しい動画がアップされた。そこには猫たちが元気そうに畳に寝そべる姿があった。また、愛嬌のある姿で投稿者のレンズに向かって体当たりする姿もあった。残念ながら投稿者の姿は見えない。どんな人なんだろう。きっと動物の大好きな優しい人なんだろう。そう思いながら私はその動画にもグッドボタンを押した。良い気分だった。


 数ヶ月ぐらいで動画は20以上あげられ、総合再生回数は6000万回数を超えていた。金額にすると相当なものだろう。間に沢山広告も入るようになった。これで猫たちの生活費が賄われていると思うと、少し嬉しかった。「自分には出来ないことをこの人はやっている。その手伝いをしているんだ」という具合に。


 しかし、動画を見返してみるとふと疑問に思った。これらの動画はみな同じ部屋わしつで撮られて、レンズのアングルも似通っているのだ。ただ単に「素人だから」というには不自然だ。そこで私は人生で初めてコメントをしてみることにした。


 「いつも動画見ています。たまには遊具で遊ばせたりするのも良いんじゃないですか。そんな動画、見てみたいです!」


 数ヶ月経っても返信は無かった。「まぁこんなものか」と思い、私は少しの寂しさを覚えながらも、過去の動画を見続けた。不思議と新しい動画は投稿されなくなった。


 しばらくして、同じアカウントの投稿者が、「今度は子犬を数匹引き取りました。生活費が必要です。よろしければこの動画にグッドボタンをお願いします」と、新しい動画を投稿した。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] 良いですね。 投稿者はお金欲しさに……。 残酷な話ですがこういうビジネスをしている人が本当にいそうです。
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