conference note ; マーケティングがわからない
以前キリン先輩がターゲティングについて教えてくれた時、『誰に対して広告を出すか』の前に『誰に向けた商品か』を考えるのが先だと言っていた。
でも、あの時は確か……
「ターゲティングって、マーケティング用語ではなかったですか? どちらかと言えば、企画した企業側が考えることだと思うんですけど」
「そう、確かにジャンルとしてはマーケティングですね……それではここで、最初のクエスチョンです! 広告部がやっている『広告』を含むプロモーションは、何のジャンルに含まれるでしょうか?」
……世界のふしぎを発見するクイズ番組が始まった。
ご丁寧にテレテレテーン!と効果音まで再現してくれている。
正解発表の前には、この木なんの木気になる木でお馴染みのCMが流れるのだろうか。
先輩は広告もプロモーションに含むと言った。
つまり、ここで言うプロモーションは実演販売やイベントといった手段ではなく、広義での『販売促進』を指しているのだろう。
ということは、企業にとっての広告の役割がどのジャンルなのかを考えれば答えは簡単だ。
いざ僕が答えようとした時、思いついた途端に倉永さんが話し出した。
ここだけの話、僕は倉永さんの脳と口は直通なんじゃないかと疑っている。
「商品を売るための広告だからマーケティングなんじゃないの?」
「……ファイナルアンサー?」
「番組変わってるし!」
いかん、思わずツッコんでしまった。
あの司会者が正誤発表するまでの長い間、嫌いだったなー。
って、そんなことはどうでもよくて。
「で、答えは?」
さすが倉永さん、全く乗っかる気がない。
僕の行き着いた答えもマーケティングだった。
今回の動物園であれば、イベントという目玉商品をいかに多くの顧客に買ってもらうかが課題で、その架け橋となるのがマーケティングだ。
であれば、ターゲティング同様に広告もこれに含まれると思う。
「正解は、倉永さんの仰った通りです。広告もマーケティングに含まれます。そして……」
キリン先輩はそう言うとホワイトボードに向かい、黒と赤のマーカーを使い分けて何かを書きだした。
・製品(Product)
・価格(Price)
・流通(Place)
・販売促進(Promotion)
「それぞれの頭文字をとって4Pと言い、この4つが大まかに分類したマーケティング活動の基本です。一言でマーケティングと言っても、この販売促進に広告が含まれますし、とにかく幅が広いんです」
初めて聞く言葉だったが、内容を見ればどういうことか分かるくらい単純だ。
どれも商品を販売するために日常的に行われていることで、僕らのような買う側であっても見聞きした覚えがある。
マーケティングとだけ聞いた時はメーカーの考えることだと思ったのだけれど、こうしてみるとコンビニやスーパーなんかの小売店に置き換えられそうな気がする。
後で生協のコンビニでも見てみるか。