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エミリオ-4

ハッセン公爵やガイ様だって、ザッハマインなんてなんの関係もないのに、危ないってわかってて、あっちに行った。

でもって、ザッハマインでは悪い奴らを倒したり、街の人を助けたり……。


なんかよくわからねーけど、そういうことするんだろ?

それが当たり前って感じで、さぁ。


リーリア姉様なんて普段はおとなしくて、つついたら泣きそうなくらいか弱く見えるのに、あそこで身内を「ご武運を」って言って送り出せるんだもんな。

気迫っていうか、生きることの姿勢が、自分とは違うって、めちゃくちゃ思った。


それでも今日の朝までは、自分もねーちゃんたちのことで動揺しまくってたから、ガイ様の出立とか、リーリア姉様のその迫力とかも受け流せていた。

けど、実家に帰って、とーちゃんたちとしゃべってたら、じわじわっと「あぁ、なんか違う」って感じた。


貴族と庶民って、こういうとこが違うんだなって。


俺は、これから何事かが起こったら、逃げて助かればいい庶民じゃない。

問題を解決して、他の人を助けて、それが「当然」の貴族なんだって。


こわい、と思った。

やっぱり貴族の養子になんて、なるんじゃなかったって。


でも、いったん貴族の養子になってしまったら、そうそう抜けることはできない。

俺は、ここで、誰かを助ける側の人間にならなくちゃいけないんだ。


……腹をくくったつもりだったけど、実際なんか難しそうな話を持ち掛けられそうになるとびびってしまう。

もうちょっと猶予期間くださいって気分になる。


嫌なことも聞かなくちゃいけないって、そういやこの間も思ったんだっけ。


「実は、わたくしが働く文化部では、小翼の参内が禁じられたの。かわりに、王子宮で働くことになったわ」


「え。あー、そうなんですか」


ものすごくシリアスな表情でリーリア姉様が言う。

え、なに?それだけ?

めちゃくちゃ身構えたんですけど、それって俺にはあんまり関係ないよね?


王子宮ってのが、なんか問題なのか?

リーリア姉様、やたら重々しい雰囲気だけど。


王子宮、王子宮……?

って、あぁっ!!


そういや、ファラン商会の下働きの子が、ハッセン公爵家のご令嬢が王子にプロポーズされているって言ってたよ!

それ聞いた時は「へー、あのおっちゃんの子どもって、王子の嫁になるのかなぁ」くらいに思ってたけど、あれってもしかしなくてもリーリア姉様のことだったのか?

だってハッセン公爵の娘って、リーリア姉様だけじゃん。


たしか、王子はやたら積極的で、しょっちゅうプロポーズしているのに、令嬢は自分では魔力が足りないってお断りしているって言ってたよな。

「魔力差恋愛よー!!」って、下働きの女の子はきゃぁきゃぁはしゃいでいたけど、本人にとっちゃ深刻な話だよな。


貴族って、何をするんでも魔力が必要とされるし、ちゃんとすることしないと貴族ではいられない。

王族なら、よけいだろう。


王子が、リーリア姉様としか結婚したくないっていうなら、ちょっとくらい魔力が足りなくても許してもらえるかもしれない。

けど周囲が許しても、リーリア姉様はそういうズルを受け入れられる性格じゃない気がする。

人生苦労しそうなタイプだもんなぁ、リーリア姉様。


あれ、けどリーリア姉様って、ガイ様といい感じだったよな?

あれはやっぱりただの兄妹愛なのか?

それとも王子が無理矢理リーリア姉様に迫っているのか?


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