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シャナル王子-5

けどやさぐれていた僕も、リアがへらへら笑って側にいてくれたせいで、ちょっとだけ変わった。


側にいるのは「仕事です」、僕を大切にするのは「王子を尊敬しているからです」って生真面目に言うリアだけど、リアが仕事の枠をこえて僕のために動いてくれているのは、わかってる。

この間の検査みたいに、目に見える出来事として僕の前に示されることもあるけど、そうじゃないちょっとした視線や気遣いだって、リアは僕を「人間」として扱ってくれているってわかるんだ。


リアが側仕え補佐として僕の側にいてくれた2か月で、僕の人生設計は大きくかわった。

こんな王城さっさと逃げようって思っていたのに、ここを勝手に出て行ったら、リアは許してくれないだろうなって思って、あきらめた。

リアも二言目には「貴族としての義務を果たすべき」って人だから、王子って責務を放り出したら、軽蔑されそう。

暇つぶしにいじめようとした相手が、自分をしばる強力な鎖になるなんて意外だったけど、リアに出会えたのは幸せだから、まぁいいか。


リアに「感謝しています」とか真顔で言われるのって、悪くないし。

……うん、あれは悪くない。

っていうかさっきのリアの言葉、すっごく照れたけど、こっちのほうが「ありがとうございます!」って気分になった。

「グラッハの国民として」っていうのはちょっと余分だったけど。

リアにかわいく「お願い」って言われたら、魔力充なんていくらでもするんだけどな。


こんなこと言ったらリアに嫌われるから考えるだけだけど、ザッハマインの件はラッキーだった。

ガイが王都にいなくて、リアは僕のところで働いてくれる。

このチャンスに一発逆転を狙うぞー!

リアの新しくできた弟のことも気になるし、いろいろ探りいれなくちゃだよね。


とりあえず「お仕事がんばってます!」ってアピールして、明日あたりお泊りをねだってみようっと。

リアを放っておいたら、今日も明日も寝なさそうだし、ここは僕がお子様なのを利用して、一緒に寝てっていおう。

人の体温とか寝息って、眠気をさそうしね。

王城にきてしばらく寝つきが悪かった僕も、リアが傍にいてくれたから寝れるようになったし。


「シャナル王子。にやけていないで、厚生部で魔力充をお願いします」


あちこちで謝罪させられてイライラしているハウアーがひっくい声で、言う。

いつもなら何回かは聞こえてなかったフリをするところだけど、リアにできる男アピールしている今の僕は違うよ。


「わかった。すぐに行くよ!」


にっこり笑っていうと、ハウアーは珍しく絶句していた。

次はたぶんリアです。

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