シャナル王子-2
僕の部屋をせっせと整えてくれるリアを見ると、リアは気づいてにこっと笑ってくれた。
なんかさぁ。
リアがすぐそばにいてくれるのって、ほんと嬉しい!!
今のやりとりって、新婚さんみたいだった!!
こうしてずっと顔を見ていられたらいいのになー。
今日はとりあえず帰っていいよっていったのに、リアもシスレイもそのまま王子宮に来てくれて、今は僕の宮で働いている小翼から、仕事のレクチャーを受けている。
ちょいちょいリアがいたころとは、変わっていることもあるしね。
リアは今日、ちょっと顔色が悪くて、目も赤い。
きっと昨日泣いてたか、寝れなかったかなんだろうな。
無理ないか。
リアは、ハッセン公爵もガイ・ハッセンも大好きだもんなぁ。
ふたりがいなくて心配で、寂しいんだろう。
僕がいなくても「まぁ、そうなんですか」って言われそうだけどね。
今回みたいな事態だったら、心配はしてくれるだろうけど、寂しいとは思ってくれなさそう。
……っく、今だけだし!いつかきっと、僕のほうが好きって言わせて見せるし!
本当なら今日はいったん帰らせたほうがいいのかなって思う。
でも、帰らせるのも心配なんだよね。
それに、リアが傍にいてくれるっていう誘惑には勝てなかった。
ここで寝て休んでっていうのは、無理だろうな。
僕が寝るのにつきそうのなら、お願いすれば聞いてくれるだろうけど、リアが体調悪そうだから体を休めてっていのは「勤務中ですので」って断られそう。
こういう時、ハッセン公爵ならスマートに、リアに眠りなさいって言えるんだろうな。
ガイ・ハッセンも、なんかうまくやりそう。
経験値の差だよね。悔しいな。
僕を大切にしてくれるのって、リアだけだから、人を大切にするのってどうしたらいいのか、よくわからない。
ガイ・ハッセンなんて、ハッセン公爵やリアにいつも大切にされてるっぽいもんな。
そんで人を大切にしたいときはどう行動したらいいのか学習して、リアをうまく喜ばせて、リアに好かれているんだ。
ああいうの、すっごいズルだと思う。
僕がガイ・ハッセンに勝てるのって、魔力量だけっぽいもんな。
顔も天使っぽいって女性にウケはいいけど、子どもとしての評価で、男としては微妙そうだし。
そもそもガイ・ハッセンも美形っぽいしね。
リアはいっつも「お兄様はかっこよくて」って言ってるし、侍女とかの官の噂話にもよくあがってる。
くっそ、滅びろ。
あと勝てそうなのって、王子っていう地位くらい?
王様にもなろうと思えばなれるけど、そんなのぜんぜん興味ない。面倒。
リアが王配になりたいっていうなら、速攻でなるけどね。
なんなら今すぐにでも!
まぁリアは、ぜんぜん興味ないっぽいから無意味だけどね。
リアは自分の能力に対してすごくシビアだから、「王配になるなんてとんでもない!」ってノリだし。
王族はリスペクト対象でしかないんだろうな。
自分がなるなんて夢にも願っていなさそう。
そもそも王になるってことを、こんなにかるく扱うことを怒りそうだ。
「王とは、大いなる責務を果たす偉大な人です!」とか。
うわぁ、言いそう。ダメだな。
リアが王配になりたいっていうなら、ガイ・ハッセンに勝てる要素になるのにな。残念。