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「リア!来てくれたんだね!会いたかった!!」
シャナル王子はちょうど休憩時間だというので、面会を申し込むと快諾された。
そして王子自らが、出迎えてくださった。
ふわふわした金色の髪がよくお似合いのシャナル王子は、前世のわたくしの研究によれば「弟属性」の「純粋無垢」「天使ショタ」に分類されるお方だろう。
同じ弟属性でも、子犬のような健やかなかわいらしさを持つエミリオとは異なり、すこし甘えた言動をなさる少女めいたかわいらしさをお持ちだと思う。
けれどもちろん男性であり、やんちゃなところもおありである。
王子はご自身の私室であるリビングルームにわたくしを通してくださり、ソファに腰掛けるよう命じられる。
リビングルームには管理部や保安部の官吏たちがひかえているので、小翼見習いで彼らよりずっと下の地位にいるわたくしが彼らを差し置いてソファに座るのは気が引けるけれども、これもいつものことなので、わたくしは命じられるままにソファに腰かけた。
「ふふっ。久しぶりの、本物のリアだぁ」
王子はわたくしにぴったりと寄り添うようにソファにお座りになり、わたくしの髪をひとふさつままれた。
「この髪形も、リアによく似合っているね。熱で髪の流れに変化を加えたのかな。華やかな雰囲気も、リアに似合っているよ」
「ありがとうございます、シャナル王子」
不思議そうに髪を見つめながらおっしゃる王子の顔がどんどんわたくしの首筋に近づいてきて、吐息がかかりそうになる。
まだ8歳の子どもとはいえ、この距離間はすこし恥ずかしい。
わたくしはすこしずつソファに腰かけたまま後ずさり、王子との距離をとろうとした。
するとシャナル王子は立ち上がったかと思うと、わたくしの膝の上に乗ってこられる。
予想外の行動におろおろし、王子をお止めしようと口を開く。
けれどわたくしが静止する前に、王子は真剣な表情でわたくしを見つめながら、
「だけどリアがかわいくなりすぎるのも心配だな。リアを好きになる男がもっと増えそうだ」
「王子。リーリアの膝から降りてください。御戯れがすきます」
シャナル王子の側つきを勤めるハウアーが、見かねていさめてくださる。
ほっと胸を撫でおろしたのもつかの間、王子はハウアーの言葉を無視して、わたくしの首に腕をまわし、あまえるように胸に顔を寄せた。
「いやだよ。戯れなんかじゃなくて、僕はリアをお嫁さんにするって決めているんだ。ちょっとくらいあまえたっていいだろう?」