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「では、エミリオのお義兄様は、上級庶民の方ですのね」


デザートのはちみつタルトを食べながら、わたくしたちはエミリオのお姉様であるエリザベス様とお義兄様になられたマリオ様のご結婚のお話を聞いていた。


おふたりのなれそめは、まだ幼かったころにマリオ様が悪い大人にお金を脅し取られそうになっていたところを、エリザベス様が助けたのがきっかけらしい。

エリザベス様に一目ぼれされたマリオ様は、それ以来エリザベス様に好意を示され、やがて二人はお互いに想いを交わされたそう。

けれどマリオ様は商業学校に通ったり、おうちのお仕事を学んだりとお忙しく、いつもエリザベス様のお傍にいるわけにはいかなかった。

だから、この度マリオ様が成人してご結婚できるようになるまで、エミリオがエリザベス様を守っていたそうだ。


「そうです。義兄は、食料品をメインに扱う大きな商店の跡取り息子で、けっこう面倒見のいい男なんですよ。エリザベスの弟である俺のことも目をかけてくれて、勉強や礼儀も教えてくれていたんです。まぁマリオも忙しい男ですし、忙しい合間を縫って教わっていただけなんで、いたらないところばかりなんですが」


「いいえ。エミリオはマナーも言葉遣いも悪くないと思っていましたの。もちろん、これからのお勉強は必要ですけど。そう、お義兄様が教えてくださっていたのね」


不思議だったことが、ひとつ解明された。

上級商人の息子が指導していたのなら、エミリオのマナーや言葉遣いが、下級庶民とは思えないほどきちんとしていることは不思議でもない。


「ありがとうございます。リーリア姉様に褒められたと言えば、マリオも喜ぶと思います。……ただ彼は武術はからっきしダメだったので、俺も武術はひたすら我流なんですけどね」


エミリオが肩をすくめる。

その大げさな態度に、わたくしはくすくす笑ってしまう。


「商会というのは、どちらの商会なんだい?」


「ファラン商会です。こちらのお屋敷とも取引があるんですよ。その縁でハッセン公爵からお声をかけていただいたんです」


「ファラン商会か…。この王都でも有名な商会だな」


「はい。貿易にも手を出しているんで、マリオからは、いろいろ面白い話も聞かせてもらえるんですよ」


「なるほど……。それは興味深いな」


お兄様はエミリオの顔を探るように見つめられた。

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