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ユリウス王子-3

うぬぼれではなく、俺は女の子に人気がある。


そこそこ整った容姿と、次期王というレア感で注目をあつめ、王子としての責任感からくる礼儀正しさで評価を高め、生来の雑さが「気さく」という思いがけない好評を得ているようだ。


気さくというより、何事にもあまり興味がないだけなんだが。


物心ついたころから、心ひかれるのは、機械ばかり。

目の前の魔道具がどのようにしてつくられているのか、どうすれば思うような機械が作れるのか、そんなことばかり考えている。


王の養子となってからは、さすがに次の王にもなることだしと、王族らしいふるまいを心掛けてはいるが。

しょせん張りぼてなんだよなぁ……。


避けられない義務でなったとはいえ、引き受けた以上、王子としての役目をまっとうする気はある。

だからサラベス王やスノー様を手本にそれらしく振る舞っているが、目につくものかたっぱしから興味を抱いてしまう工学関係とは比べるまでもなく、王族としての仕事に興味はもてない。


他人への判断も、善悪、好悪は別として、基本的に工学関係で熱く語れるかどうかが評価基準になっていたりする。

それゆえ、身分や仕事の能力、魔力量で他人を判断することがなく、「気さく」だと言われているんだよな。


実情は、ただの工学オタクだ。

期待を裏切って申し訳ないのだが、なかなか本心は変われない。

王子らしさを装っても、張りぼては張りぼて。

どうしても人間よりも、工学のほうに惹かれるんだよな…。


なので、近しい人間は、女でも俺のことをふわふわした目では見ない。

「いいやつだけどねー」という評価ならよいほうで、「あのオタクっぷりはひくわー」というやつもいる。

自分も似たような工学オタクのくせにな。

まぁこっちも、相手が男だとか女だとかいうよりも、工学の知識や技術、オタクぶりで評価してるけどな。


しかし、あまり親しくない女の子、特にまっとうで真面目な女の子や、肉食系の女子には人気がある。

こちらも「王子」として、それらしくふるまっているのだから、そこを評価してもらえるのは安心感があるのだが。


リーリア・ハッセンは、もろに真っ当で真面目なお嬢様だ。

俺のことを好きになるタイプの子じゃないか。


なに、ぽろっと「かわいい」とか言ってるんだ。

いや、本心ではあるのだが。

こういう一言で一気に舞い上がった女の子が、壮大な俺との恋愛を妄想し、大騒動になったのも一度や二度じゃないってのに……。


おそるおそるリーリア・ハッセンの様子をうかがう。

が、リーリア・ハッセンは、顔色ひとつ変えるでもなく、


「ありがとうございます」


と、生真面目な顔で、礼を言う。


よかった。

俺が彼女に気があるとか、誤解されたわけではないようだ。


とはいえ、こうもあっさりと流されても、拍子抜けなのだが……。


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