カメを描いた
カメを描いた
うまく描けない
線が歪み
カメが歪む
その横に
さようなら
を書いた
よとなを間違えた
テーブル下に
丸く隠れて
クレヨンを
握りしめる
幼い悲しみで
不格好な一枚の
お別れの手紙が
出来上がる
手紙に涙が落ち
カメが涙を弾く
お別れが何故か
とても悲しい
傍で母が
僕が出てくるのを
そっと静かに
待っている
それでも僕は
気の済むまで
しゃくりあげ
隠れている
カメはずっと
頭を出して
さようなら
に乗っていた
テーブル下に
不格好な一枚の
お別れの手紙が
残された