1-4初仕事②
ーーーーバキンッ!
ちっ!何回目だよ。刀が折れるのは!
強すぎる!習っていた剣を全否定された気分だ。
カウンターを打とうにも流させてくれないし、避ける為に少し軌道を変えるのが精一杯だ。
唯一の救いは、あいつが連続で攻撃してこない事だな。1振りした後は、攻撃をされようとも動かないのは、本当にありがたい。
まぁ、鎧が硬すぎて刀が滑るんだが。
いっその事、野太刀でも造って叩き斬ってやるか............?
いや、はやまったら死ぬ。
何分経ったのかは知らないが、まだ集中力は切れない。
打刀で少しずつ削ってやる。関節部分を狙わないとならない訳だが............さて、どうしたものか。
..............................俺の能力は、人形限定では無く、知ってる物。イメージした物は何でも造れてるよな............。
なら..........................................
「伝説の武器とかも造れるのか...........?」
いつ、何処で誰がどうやって造ったか。どの様な力があるか、とかが分かれば造れるのか..............................いや、それは侮辱もいい所だな。
造った人に許可も取らずにコピーして。
使ってた人から武器を取り上げる。
既存の武器を造るのは辞めよう。
..............................そういえば、あいつ攻撃してこないな?
「作戦は、決まった、のか」
あ。そういう事。結構親切だな。そして自分が負ける筈が無いと思っている。
............なら、やってやろうじゃないか。
イメージするだけならなんとでもなる。
馬鹿力の奴を造ったり、音速並の速さで走る奴を造ったり、どうにでもなるんだよ。
特に............その鎧ごとお前を斬り殺せる刀とかな。
合図をして、刀を造る。
時間があるなら俺を大量生産とかも出来たんだがな............これは1体1の戦い。敵とは言え失礼だからな。
「あぁ、作戦は考えたよ。これが最後の攻撃だ」
「そう、か。ならば、こちら、も、本気、で、行こう」
こいつ、今みたいになる前はかなり立派な騎士だったろうに。惜しいな。
「..............................行くぞ。これで終わりだ」
「..........................................」
狙いは左肩からの袈裟斬り。
だがそれを悟られたら負けだ。他の所を見ておかないとな。
............普通の相手なら次にどう動くか分かるんだろうが、全然読めないな。まぁいい。どうせ動けば頭が真っ白になる。集中だ。
「..............................」
「.................................」
邪魔な音は消えた。
邪魔な景色も消えた。
必要の無い情報は体の動きを鈍くさせるだけだ。
「............................................................っ!」
「..............................来るが、良い!」
「............受け取れぇ!」
..............................っ!?
あいつも、袈裟斬り!
「がっ!?」
「......ぐ............」
..............................勝った。こっちも傷は被ったが、あいつ程深くは無い。
まだ、一撃位なら何とか振れる。
「............恩に、着る。操、られて、いたのだ。死ねば、呪いも、解ける。
何か、あったら、能力で、呼ぶが良い。力に、なろう..............................」
..............................何のヒントも残さずに消えやがった。どうやって呼び出せって言うんだー!!!
って、やばい。浅いとは言え、斬られてるんだった。ほっときゃ出血死だな。
「おい!ニギ!無事か!?」
「無事では無い。助けて............」
「ちょっと待ってろ!師匠殿、少しお下がりください。......は!」
おぉ~。壁がただの道路に戻っていく。お、レイラと師匠。............チッ主もいるのか。
「今のは気のせいじゃろうな。気のせいじゃな......」
あ〜。何か気が抜ける。操られてるって言ってたんだから警戒しなきゃいけないのに。
「こ、この怪我......頼む。治ってくれ............!」
頼むって、治してる本人が言うか?
「ねぇ、下君。さっきの人は?」
「成仏しましたよ。呪いを解いて、自由になったんです。まぁ、結果をいえば、勝ちました」
「ほ、本当かね!?あの悪魔を............」
「悪魔じゃない!......です。あいつは、立派な騎士だ」
「す、すまないね............」
あいつは、本当に騎士だった。言い方を変えれば、戦士や剣士もあるが............。
さて、とりあえず能力の使い方は完璧かもな。あとは慣れるだけ。
「レイラ、ありがとうな。傷が塞がれば充分だ。......これから、あいつを呼ぶ。危害は加えて来ないから大丈夫だ」
「あいつ......。ほ、本当に呼ぶの?」
「大丈夫ですよ、師匠。...........では、やります」
あいつの名前は知らない。何処で何をしてたのかも。
だから、イメージをする。
あの騎士を。操られていて力を制限されていただろうにも関わらず、あれ程強かったあいつを。
「............来い!」
こうして、新たな仲間が加わった。