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1人の魔法剣士とその家族達  作者: 化原優介
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1-1 入団

今日は、休日ということもあり以前から気になってたある施設に行こうとしていた。


「まぁ、何持ってようが、変わらんとは思うが......気休めにな」


子どもの頃に剣を少しだけかじった程度ではあるが、その時に貰った小刀を懐に忍ばせる。

これから行く施設はおそらく、アレに関係がある。あの鬱陶しいニュースを止める為にも1度見ておきたいと思った。


あまり離れていないので、すぐに到着した。

一見、ちょっとした山だが、出入口がある。


『あなたは、誰ですか?私達の事を知っているのですか?』


カモフラージュされてあるスピーカーから、声が聞こえてくる。

これはまだ想定済みだ。驚く所じゃあ、無い。


「厳密に言うと知らない。ただ、最近のニュースの話題になってるよな?道路の陥没。家の破壊。そういった事にかかわっているのは、把握している」


まぁ、多分殺される事はないと思うが絶対ではない。

手を小刀に添えておく。


『............入ってください。1度話しましょう』


スライド式のドアだったらしく、音も無く開いた。

ドアのすぐ近くにはフード付きの黒いローブを纏った背の低い奴がいた。


「付いてきてください。主は、1番奥に居ます」


「了解。あ、別にやる気は無いんだが......いや、無いからこそ。これを預かってくれ」


戦う意思がない事を伝える為に、小刀を差し出す。

それを受け取ってもらえた。ここまでは計算通りだ。


しばらく進んで行くと、急にローブが立ち止まった。


「ここが主の部屋です。くれぐれも、粗相の無いようにお願いします」


ローブは、失礼します! と行って部屋に入った。

それに続いて、俺も入る。

部屋にあるのは、3つだけだった。机と椅子と照明。これだけだ。


「君が、私達の正体を知っている者か.......ふむ。なかなかどうして.........。

レイラ。この者と、少し戦ってみなさい。面白い結果が出るだろう」


あれ、いきなりバトル?聞いてない。道路を陥没させるような奴らと戦って勝てる訳がないだろ!?......よく見たらこいつジジイだな。

............くそ、何か、断りづらい。


「.......では、この小刀はお返ししますね。付いてきてください」


「あ、あぁ。わかった」


今度は主とか言うジジイも付いてきてる。

体感で2分位歩いてそこに着いた。

ドアがスライドされると、普通の学校が余裕で入る位の広さで、石レンガが敷かれていた。


「君は......剣術をしていたようだね?刀を使うか、剣を使うか。そして、長さはどのくらいが良いかね?」


このジジイ......何もんだ?あ、いや。歩き方だけで見分ける奴もいると言うしな。ここはお言葉に甘えてーーーーーーー


「刀で、打刀の範囲であれば嬉しいですね」


「ほう、打刀かね?......この位で良いかね?」


何処からかわからないが、取り出した金属を刀に変えやがった。

ジジイとはいえ、主と呼ばれるだけのことはあるんだな。いや、そもそもコイツらを束ねる奴だ。普通の人間と比べたら駄目だな。


「あぁそれと、ここでは、地上と動きの勝手が違う。気をつけたまえ。では............始め」


「は?って!?」


いきなり炎の塊が飛んできた。あのジジイが言った通り、ここで回避をしようとしたら、イメージより遠く跳んで、肩から着地してしまう。


「ほぅ。あわよくば、消してしまおうと思っていたのだが............私の予想は当たりすぎて困る。どうだね?レイラとコンビを組んで日本を守らないかね?」


「ッ!主よ!何故私がーーーーーー」


「上の者達の事は知らぬが、私達の支部では最低2人以上で任務に当たる事を義務付けておる。レイラはいつまで門番にとどまる気だね?」


............何だか知らんが、話が勝手に進んでる気がする。

それにしてもこのレイラとか言う奴、パートナーがいないから門番になってたのか。

いや待て、日本を守る?私達の支部?つまり、こいつらは日本中にいるってことか。多分。


「.........でしたら、この者が私に勝てたら組むことにします。それで良いですか?」


「え、まぁ......いいぞ?」


あ、やばい。言ってしまった。勝ったらこいつらの仲間にならなきゃいけないのか。わざと負ける.........のは、どこぞの親父に禁止されてるしな。

......勝つか。

その為にはまず、ここの動き方を掴まなきゃな。


「よし、いつでもこい」


「言われなくても!」


先程と同じ、炎の塊を飛ばしてくる。

初見ならまだしも。いや、初見で不意打ちにも関わらず避けられた技をするか?普通。

今度は軽いステップで避けてみる。.......成功。


「なっ!?だったらーーーーーー!」


今度は水か?炎より範囲が狭い水?......だとすれば、速さを求めたか。

今度は軽く右斜め前にジャンプーーーーーー成功。

でも、ちょっと遅かったか。服が破れちまったな。


「な、何で戦いの素人が初見で、しかもこの空間で私の魔法を避けられるんですか!?」


「レイラ......と言ったかい?戦いの途中でその隙は致命的だよ?そこの主?とやらも言ってたろ?俺は剣術をしてるんだよ。そろそろここにもなれたし............行かせてもらう」


あぁ、思い出した。この感じは......当時ライバルだったやつと戦ってた時と同じ。3年前か。胸の高鳴り。次に何処にどのように動けば良いのか分かる。楽しい。

俺の剣術は本来、攻めには向いてない。攻めはカウンターと決まっているが、俺の師は無視をしてた。というか、無理矢理カウンター扱いしてた。

つまりーーーーーー


「そんな、水の刃を受け流すなんて!」


そう。受け流す。本来はそこからカウンターに持って行くが、俺と師匠はそれを繰り返す事で相手に近づく。

右、右、左、上ーーーーーー


魔法とはいえ、核がある。そこだけを狙って刀を斜めに寝かせてやればいい。元々、刀は力比べに向いてない。流すか避けるかして、斬るんだ。

剣とは違って、純粋な技術だと俺は思っている。剣はどちらかというと叩き斬る方だが、刀は切断だ。攻めに特化している。

だからーーーーーー攻めなきゃな!


「芸のない奴だな。そんなので俺を止められると思うのか!あと5メートル!」


あぁ、俺は戦いを望んでいたのか。

だから、何時もつまらなく感じていたのか。


炎の塊を避けたら4メートル。


水の刃とやらを避けたら3メートル。


カマイタチを使ってきたか。無駄。2メートル。


水を凍らせて多数飛ばしてくるか。狙いが甘い。1メートル。


ここまで来れば、もう俺の間合いだ。


「ここは無難に..............................峰打ち御免」


「あ!......あぁ..............................」


「おぉ、的確に頚動脈に当てておるな。お主、かなりのやり手と見るが何者じゃ?」


「いやなに。ガキの時に師匠とやんちゃしてた高校生だよ。それに、ここをステージに選んだそちら側が悪いと思うがな」


「うむ......して、お主の名は?」


名を聞くならまずは自分が名乗れってんだよ。それにしても、こいつはほっとかない方がいいよな。不本意だが担ぐよりは......俗に言う、お姫様抱っことやらしかできない訳だが...まぁ、こいつ多分女だから良いだろ。

さてーーーーーーーーーーーー


「俺は、し............いや、ニギ・エドウィンと呼んでくれ。長いようならニギでいい。師匠から貰った名だ」


「そうか。では、私。夏茅 双弓次(なつがや そうきゅうじ)からスカウトさせてもらおう。

貴殿。ニギ・エドウィン殿に我が支部で尽力願いたいが、いかに?」


「謹んでお受けします。レイラと共にこの支部で尽力致しましょう」


本音を言うとこのジジイに敬語は使いたくないんだがな。

レイラは寝てるが、まぁ、コンビ結成だ。何をするのかは聞いてないが、

面白くなりそうなのは間違いだろう。

やってやるさ。

やんちゃな戦闘狂のガキと元門番。

この変なコンビで、日本を守ってやる。

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