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一話「四人の新人」

「じゃあまずは自己紹介、よろしくね」


ギルド『ナスタリック』のギルドマスターである女性、エルマ・ユジーがニコニコと笑いながら言う。

ファンタジーに詳しくない者でも、彼女の尖った耳を見れば、かろうじてエルフであることが分かるだろう。ちなみにエルマはハーフエルフであり、外見年齢は二十歳前後に見えるが実年齢はおいなにをするやめ





「…じゃあ、俺から行きます」


と、一番右端の少年が最初に発言した。





「南方の村、ガンドル村出身のルード・エフェリズ。武器はランス。よろしくお願いします」


白髪に赤のメッシュの入った、黒目の少年。

彼は軽く頭を下げると、じゃあ次、と言いながら隣にいる獣人ハーフビースト少女にちらりと視線を送る。




「っ、ふぇっ!?…え、あ、ああああ、あの……ラーマ・ラディマウンテッド、です…、ハンマー使い、で…っ、え、と、姓で分かると思います、が、ジヌ村、育ちで…だから、あの、えっと…、よろしくお願いしますっっっ!!」


ジヌ村とは、辺境の山奥の村で七世帯しか住んでいない小さな村である。一番近い村に行くにも馬で三日かかるため、ほとんどが外の世界を知らない。独特の文化が根付いており、住民の話す言葉も訛りが強い。

…ちなみに、近親結婚や同性婚が認められている珍しい村である。


とにもかくにも、茶髪の三つ編みを揺らし、ぴょっこりと生えた犬耳と尻尾をせわしなく動かしながら小さく次どうぞ…とラーマは呟くように促したのだった。






「…ガルファウン・ルゲ。ガルとでも呼べばいい。武器はソード。以上」

深い青色の髪を短く切りそろえた美少年は、それだけ言うと翡翠色の鋭いまなざしを隣の少女に向けた。






「はーいっ!!ユジア・テルルーです!北方のコールララ街出身です!見ての通り小人族スモーリアンで、一家は代々家政婦業やってまーす!!よろしくおねがいしますっ!」

ガルの鋭い眼光に物怖じもせず、つやのある紫がかった黒髪をくるぶしまで伸ばした、丸い金色の瞳を持つ小さな少女はその場で一回転する。外見も相まっ

て幼女にしか見えない。


「えーっと、ユジアちゃん。得意武器は?」


エルマがかがみこみ、ユジアに目線を合わせて尋ねる。








彼女はにっこりと笑い、元気よく答えた。




「体術です!」






体術。




その答えに、ギルドの面々はざわつく。


「…ま、マジかよこいつ……」


ルードも思わずつぶやき、ラーマも口をあんぐりと開けて耳をぴょこぴょこ動かしている。


















「ハッ…、面白れぇ」


「…」


ただ、ギルド所属のエルフらしき少年とガルだけが、冷静にユジアのことを見つめていたのであった。

用語解説


種族…枝分かれしていて複雑だが、大雑把にまとめると、人間ヒューマン獣人ハーフビースト小人スモーリアン巨人ラージアン妖精エルフに分けられる。


武器…モンスターを狩るときなどに使う物。学校での修練などで自分に合うものを見つけ、ギルドに就職したのちにその種類のものを使う。


ガンドル村…ルードの故郷。南方の規模の割と大きな村で、季節に合った果物を上手に栽培して生計を立てている家庭が多い。


コールララ街…貴族たちの多く住む、都会の街。賑やかで観光客が多い反面、小さなスラム街が至る所にあったり、奴隷、人身売買などが絶えない。

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