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4.

佳人に促されて店にいく。

てっきり一旦外へ出てどこかの店に行くのかと思えば、併設されたショップに用があるらしい。

「いらっしゃいませ、伊藤様」

「ああ、渡辺さん。ごめん、忙しい時に。頼んでおいた事お願いしてもいいかな?これなんだけど」

これと言われて紹介されたわけなんだが、自分は今から頼まれごとされるんだよな?扱いが雑なような気が…

店員さんがこちらをじっと見る。それからいい笑顔になった。

何だ?

「お任せ下さい。最高の仕上がりにして見せますわ」

ここには女物の服がセンスよく陳列されている。それらの服に使用されている素材やそのディティールが一目見るだけでもかなりの物というのが判る。服、いやこの店自体のこだわりとプロ意識が従業員に店全体にと表れていた。そう、ここはインポートブランド専門店。フランスのファッションウィークで常連な某ブランドの店だった。

あ、あのワンピースはお嬢様に似合うかもしれない。

その時、佳人から何かを含んだ笑みを向けられた。

ん?

「それじゃあ、篁。悪いけど先に着替えてくれる?話はそれからするよ」

え?着替える?お前じゃなくて?

「それでは、渡辺さん。これ右山(うやま)篁っていうのだけど、よろしく頼むね」

「はい、勿論です伊藤様。我々スタッフにお任せ下さいませ。それでは右山様、こちらへ」

案内されたフィッティングルーム、ここまでくればもう嫌な予感しかない。

「只今よりこちらの服に着替えていただきますね。サイズは伊藤様よりお伺いしております」

け…佳人ぉぉ。お前は俺に何をさせようとしてやがりますかね。それより何よりいつ俺のサイズ知ったよ。いや、あいつの事だ見ただけで判るとか言いだしそうだ。それは女限定だろうが。俺は女じゃねぇ。女の服、今から着せようとかお前と一緒にしないでくれ。く、美人な店員ににこやかにされると何も言えなくなる俺は絶対へたれだ。くそ。え?あ、いやそんな、まてまてまて、脱がすな。

「ちょ、あの渡辺さんでよろしかったでしょうか、その、すみません。着替えは自分でしますので」

「あら、初めてだとお伺いしてましたもので。失礼いたしました」

絶対失礼したような顔してないよ、あなた。残念ねって顔しないで。凄くドキドキするから。いや、それならいっそのこと付き合いませんか?彼氏いる。そうか、そうなのかって。ダメでしょう、彼氏いるのにはしたないことしたら。仕事?仕事なら仕方ありませんねって、違うと思うのは俺だけ?

「何かお着替えの事で解らない事がございましたら、お声掛けくださいませ。お手伝いさせていただきますので」

丁寧に礼をして出ていく渡辺さん。

いえ、なるべく全て自分で着ます。ええ。

恐ろしい程サイズがぴったりだった。佳人って変な執事スキル持ってるなと感心してしまった。鏡は怖くて見れなかった。

外に出ると、佳人が待ち構えていた。笑われた。

「何か?俺は笑われる為にこんな事をさせられているのか?」

「いやいや、ごめんごめん。顔を整えれば似合うと思うから、渡辺さんブース少し借りるね」

「ええ、お似合いですわ、右山様。どうぞごゆっくりお使い下さい」

無理やり佳人に連れられたブースでメイクをされた。ご丁寧にシェーブまでされた。精神ががりがり削られていくのが判った。再起不能。

「で、佳人。ここまでするには何か理由があるんだろう?なんだ」








「彼女になって」














こいつまた何言い出しやがった。


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