第六話
短いです。
次は頑張ります。
結論。
ノーマは失礼な子だった。
口調こそ丁寧だが、言葉の端々に表れる毒が結構きつい。
しかも本人は毒を吐いていることに、気付かないようだ。
こちらがダメージをあからさまに受けている様子を見せると、慌ててフォローすることから、優しい子ではあるんだと思うけど……。
さて、それはともかく。
「やってきたぜー! ハジアの町!」
「ひ! どうしたんですかいきなり!? 気でも狂ったんですか!? それとも、もともとですか!?」
「あ、ごめんごめん。もうすぐ町には入れると思うと、ついテンションが上がっちまった。」
ようやく冒険者になれるしね。
決してノーマの毒舌に心が折られそうになって、それから解放されるからではない。
まあ、世間一般のドМにしたらご褒美なのかもしれないが……。
同じ毒舌キャラでも、沸点の低いキレキャラとかならよかったのに。
いつキレるのかひやひやしながらからかうってのが、マイフェイバリットシチュエーション。
それは置いといて、ハジアの町。
それは、森を抜けて大分(たぶん二時間ぐらい)歩いたところにあった。
これ案内なったら、絶対たどり着かなかったな。
「神」の奴め、適当な仕事しやがって……。
中の様子は周囲は防壁で囲われており、窺うことができないが、聞こえてくる賑やかな音からして、割と栄えているみたいだ。
「そうでしたか。そういえば、何か身分証明になるものを持っていますか? って、まだ冒険者ギルドに登録してないんなら、田舎者のススムさんが持っているわけありませんよね。すみません」
「いや、持ってないけどさ。もしかして、なかったら入れなかったりする?」
うん。
これぐらいの毒はスルーする。
ちなみに、ノーマには俺の出身は南部の閉鎖的な集落と教えている。
南部はそういう場所も多いので、大丈夫だろう。
「いえ、入るのには問題ないと思います。ただ、門の所で少し時間をとられるかもしれません。通行税もかかりますが、大丈夫ですよね?」
「いくらか持っているけど、いくらぐらいかかる?」
「えっと、徒歩の人だと、たしか大銅貨二枚だったと思います。町の基準硬貨はクルノダです」
ふむ。結構するな。
まだ余裕はあるが、早く仕事をしないとまずいか。
ああ、早く冒険者になりたい!
「了解。お、門に着いたな」
「はい。あ、トムさんただいま。相変わらず暇そうですね」
そう言って、ノーマは門番の男に話しかけた。
「お帰り、ノーマちゃん。もう少ししたら冒険者たちも戻ってくるから、忙しくなるさ。それで、後ろのお兄さんは誰かな? 見ない顔だけど……」
ノーマの微妙に失礼な発言も聞き流し、門番のトムさんは俺の方を見てきた。
やっぱりいつもノーマはこうなのか。
「彼はススムさんといって、森で私が野獣に襲われているところを、助けてくれた冒険者志望の田舎者です。南部の田舎出身で、身分証明もないそうなので、暇なんだからちゃっちゃと入門審査をしてあげてください」
「野獣が出たのか? よく無事だったね。しかし野獣か……、悪いが冒険者ギルドの方に報告してもらえるかい?」
「任されました。ススムさんの怪我の治療をしてから向かいます」
「頼むよ。それで……ススム君だね? 怪我をしているところ悪いが、入門審査をするから、ついて来てくれるかな? もちろん怪我がひどいなら、先に治療するが」
「ススムでいいですよ。怪我も大したことないし、すぐ入門審査を頼みます」
「そうか、じゃあちょっとついて来てくれ。ノーマちゃんも来るかい?」
「いえ。私はここで待ってます。だから早く終わらせてくださいね? 女を待たせる男は最低ですよ?」
「はは、了解了解」
そう言って、トムさんが歩き出す。
門にノーマしかいなくなるけどいいのか?
とりあえず俺は黙ってトムさんについて行った。
読んでいただきありがとうございます。