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クウォーク大帝国 潮の楔  作者: 北見剛介


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7/11

友との約束

「もう行っちゃうの?いつもはもう少し長くいるのに」


「すまないね、ライサンダー。少しやらなくてはいけないことが出来てしまってね」


「そっかぁ・・・・」


もう少し色々な話を聞きたかったなぁ・・・・


「ライサンダー、これを受け取ってくれないか?」


「何、これ?」


「僕の故郷で作られたネックレス、首飾りだよ。まぁ、お守りみたいなものさ」


真っ赤に燃えるような色をしている紐の先には、透き通るような青色の石がつけられている。まるで海の色みたいだ。それにただの石なはずなのに、石そのものがピカピカ輝いているように見える。海にも、磨けばこういう風に光る石は落ちている。でも、それはあくまで太陽の光にあてた時の話。こんな風に自分から光る石は見たことがない。


「この石、プライエストの故郷でとれたの?」


「ああ。僕の集落ではこんな石がたくさんとれる。その石をこういう風に加工したりして、生活しているんだ」


「そういえばプライエスト。この前の手紙で一度故郷に帰ったって言ってたよね。プライエストの故郷ってどんなとこなの?」


「そうか・・・・ライサンダーにまだ話したことはなかったね」


「うん」


「僕がむかし、魔法使いの話をしたことを覚えているかい?」


「もちろん。伝説の種族で、不思議な力を使うことが出来たんでしょ」


「僕がいた集落は、その魔法使いの末裔が集まる場所なんだ」


「・・・・・・」


「驚いたかい?」


「・・いや、そんなに」


「えっ」


「そう考えれば、納得がいくなって。今まで聞いた話の中で一番詳しいっていうか、リアリティあったの魔法使いの話だったから。それに、プライエスト、初めて会った時から見た目が全然変わってないし」


「ああ・・・なるほど」


「見た目が変わらないのも魔法使いの末裔だから?」


「まあ、多分そうだと思う。僕の集落の中でもそれはまちまちだけどね」


「じゃあ、魔法とか使えるの?」


「使えないよ。僕はあくまでも末裔だからね。魔法使いじゃない」


「じゃあ、今までの旅の生活はひょっとして、魔法使いとして覚醒するため・・とか?」


「それも違う。ただ自分の興味が赴くままに旅してただけだよ」


そこまで言うとプライエストは真剣な顔になって、ライサンダーの方に手を置き、目線を合わせた。


「いいかい、ライサンダー。君はこれからの人生でいろいろなことがあると思う。楽しいこと、もちろんつらいことも」


「どうしたの、急に」


「いいから今は黙ってて。もしつらいことがあったら、自分が正しいと思うことをやりなさい。自分がすべきことをやりなさい。いいね?」


「う、うん。わかった・・」


「それと、このお守りを肌身離さず持つこと」


「ねぇ、なんかおかしいよ。急にそんなこと言って。もう二度と会えないみたいな言い方しないでよ!!またここに来てよ。また、俺にいろんな場所の話聞かせてくれよ!」


「もちろん僕もそうしたい。だけど今回はちょっと危険が伴う旅になりそうなんでね。万が一のことがあってはだめだと思って」


「なら行かなきゃいいじゃん!!」


「ダメなんだよ。これは僕にしかできないことなんだ」


そう静かに言うプライエストを見て、はっとなった。ここで俺が感情をそのままプライエストにぶつけたら、母さんの時と同じじゃないか。やっぱり俺はだめだ。体はでっかくなったし、泳ぎは子供ならだれにも負けないけれど、心は6歳の、あの時のままだ。


「そっか。ならしょうがないね。でも、一つ約束してほしい」


「なんだい?」


「絶対に生きて。生きて、ここにまた来て。今度は俺が料理作るから。料理の腕上げて、プライエストを精一杯もてなして、スイチョウに・・・・ファンプクに乗れるようになって、一人前の男になって見せるから」


「そうか・・じゃあ僕は必ず生きてここに来る、ライサンダーは僕と会うまでに一人前のシャガル族の男になる、そういう約束だね」


「おう!男同士の約束だ!」


二人はがっしりと握手を交わした。これは、男同士の約束、絶対に破ってはいけない。アズバンも昔、そう言っていた。


「あと、欲を言えばタレッサに告白できてればいいなぁ、なんて」


「は、はぁ?なんであいつの名前が出てくるんだよ。大体あんな暴力女、誰が好きになるってんだ」


「ホントかなぁ?」


意味ありげな笑みを浮かべるプライエストに、真正面から言い返せないのが若干悔しい。いや、待て。確かにタレッサはなかなか美人だ。すぐに手が出るという欠点さえ除けば、非常に良い女だと思う。だが、だからと言って、俺があいつのことを好きになんか・・・


「まぁいいや。とりあえず行ってくるよ!」


「お、おう。気を付けて!」


慌てて手を振って見送ったが、正直最後の言葉が心に残っていて、それどころではなかった。


「プライエスト、いきなり何言い出すんだよ・・・・・」


その後も、


「なんで俺がタレッサなんか・・・」


とぶつぶつつぶやきながら、ライサンダーは家に戻った。



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