9.大西方厄争乱
《上へ下への大騒ぎ?》
up:さて、なんか場所が飛びましたね。
down:しばらく戦争するらしいです。
up:何か重大なことに関わってくるんでしょうか。
down:おそらく主人公に影響を及ぼすんでしょう。
up:(いや、あの作者だから案外何も考えてないか……?)
《アルメジア大陸西部》
「全員隊列を組んですすめ!隣と歩調を合わせるのだ!敵を殲滅せよ!」
その言葉と共に、付近の人々が前へ前へと移動する。弾幕は絶え間なく放たれ、その歩みを止めることは不可能かに思われた。
「ひるむな!敵の攻撃は多い。だがしかし全て防いでしまえばよいのだ全員踏ん張れぇっ!」
そこに立ちはだかるのはこれまた大群である。自らの3倍はあろうかという巨大な盾を持ち敵の間断ない攻撃を見事に防いでいた。
それは、後に大西方厄争乱と呼ばれることになる西部の戦いである。
そのことについて語る前に、まずはこのアルメジア大陸の地理について説明しよう。
アルメジア大陸には、東部に世界最大のダンジョン「ハルバル」が存在する。実に一つのダンジョンで大陸の三分の一を占めるという大きさであり、そのためこの大陸では古くからダンジョンから溢れ出た魔獣との戦いに明け暮れていた。
中央部のダンジョンと直接隣接する部分には、南北に細長く位置するクウェーリエ共和国がある。ダンジョンに潜る探索者たちが集まることで屋台が立ち、テントが置かれた。
それが店となり、宿となり、街となり、ついには国になったのだ。
この国はダンジョンの攻略を目指しているため、基本的に温厚である。もちろん怒らせた場合は自国にいるダンジョン探索者込みでボコボコにされるが。
外交問題にしようにも、ダンジョンが面している土地なんて誰も欲しくない。そう。クウェーリエ以外は。
まあともかく、そのような経緯で国が二、三個滅んでからはどの国もおとなしくしている。
その西にはクウェーリエで手に入るダンジョンの利益を得ようという国々によって争乱が起きており、所有国が定まっていない灰色の戦場がある。
さらに西へといくと大きな大国が存在する。南西部に位置するこの国、「マイトルーベルク王国」は古くから南の暖かい海で取れる魚や南方との貿易によって栄えており、大陸最強の海軍、水の楽団を保持する国家だ。
なお、この国は文化的にも栄えており、流行を追い求める観光客などで賑わっていたりもする。
ブランクエリアに面しておりながらもその影響を跳ね除ける国力を持ちながらも戦争をしないのには理由がある。
わざわざ戦争を起こす必要もないほど栄えている上に南北方向で見た中央部にそびえるノースブルク大山脈を越えると採算が合わないからだ。
よってこの国はかなり平和な国として知られている。……別に治安が良いとは言っていないが。
マイトルーベルク王国の北部、ノースブルク大山脈を越えるとそこには巨大な森林が広がっている。ブランクエリアとノースブルク大山脈に囲まれたこの地を開発しようとする物好きが現れなかったためである。
ここは、東の海、ダンジョンに次ぐアルメジア大陸第三の秘境として知られており、内部の様子は明らかでない。
さらに西へと進むと小国群が存在する。その昔、ノースブルク大山脈での巨大な魔獣の災害によってこの付近にあった大国の首都が滅んだことが原因している。
首都は防衛しやすい山の麓にあったのだが、■■■(ここは読み取れない)によって滅ぼされてしまったのだ。
それによって王族が全滅して以来、独立していった各貴族たちによって小国が乱立している。時に奪い合い、時に協力し合うこの場所はブランクエリアに次ぐ危険な地だ。……よくマイトルーベルク王国は滅びなかったものである。
この地は、当時の国の名前を取って「クロステリウス小国群」と呼ばれている。
さて、さらに西へといくと二つの大国家が南北に位置する。国境付近の地図をみてみると、二つの国の領地がまだらに入り乱れていることがよくわかる。
この二つの国は昔っっっっっっっっからとっっっっっっっっても仲が悪い。
そのため、国境付近では辺境領を持つ貴族たちのいざこざが何回も起きており、領地が毎年のように変わっていくのだ。取っては取り返されを繰り返した結果、国境付近ではどこがどちらの領なのかまっっっっっっっったくわからない(そろそろくどい)。
どうも土地にがめつく、国境付近では二つの国の領地に入っては出てを繰り返すため関所が多いったらない。
おかげでこの場所を通る人は年間でみても数えるほどしかいないという。
北の国の名をアードンハルム、南の国の名をケルクミッドと言う。
そのさらに西。大陸の中央部最先端には少し尖った形をした半島がある。
ここに位置するは半島国家ベルボット。マイトルーベルク王国同様、北や西との交易で栄えた国だが、国土はかなり狭い。その分離島は多く持っているので海を重視している。
さて、そんな国々たちの微妙な均衡をぶん殴ったのがこの度の大西方厄争乱である。
ことの始まりは火山の噴火により南の海に新しい島ができたことである。
それだけなら問題ないのだが、問題は場所であった。マイトルーベルク王国と、ケルクミッド皇国は南部で非常に近い位置にある。そして、2つの国の重要な要塞都市も築かれていた。ここを奪われると、南部と中央部の連絡に支障をきたすことがあるレベルのものだ。
だが、その2都市の喉元に刃を突き立てられるような位置に島ができた。冷戦時のキューバ島のようなものである。
付近の国々の思惑は、以下の通りである。
その海を領海とするクロステリウス小国群の一国、ミンタウ国は、現在進行形できたからやってきた3つの国に滅ぼされかけているところで、この島を使った起死回生の一手を狙っている。
そのミンタウ国を滅ぼそうとしている三つの国は、完全に滅ぼした上でより多くの領土を得ようとこの島を狙っている。
さらに、マイトルーベルク王国とケルクミッド皇国は狙われては大変だとこの島を手に入れようと動く。
アードンハルム帝国はケルクミッド皇国の喉元を取らなければまず間違いなく舐められるため、これまた必死だ。
そんなこんなで、7つの国の思惑がひしめく島で、戦いが勃発してしまった。
これが、大西方厄争乱である。
up:ただの紹介だけやん!
down:この程度のことで2500とか貯まるんですね。
up:本来は一話で終わらせる予定だったらしいですよ。
down:なんなら参加国も二つだけだったんだとか。
up:計画性皆無……
down:あと、お知らせですがこれにて黒カフェの方もストックが尽きましたので、落ち着くまで更新停止となります。
up:……(意味深)