5. 強キャラは強キャラでも死にかけな強キャラ
《上へ下への大騒ぎ?》
up:ふう。酷い間に合いました。
down:へーソレハタイヘンデシタネー(棒)
up:うう……あなたが犯人でしょう……
down:知りませんよ?普段から調子に乗ってるから天罰が落ちたんじゃないですか?
up:ぐふぅ。
down:それでは、本編どうぞ〜。
【それよりお主、喋らないのか?】
「にゃぁ……」
そうなんですよ。この姿になってから猫の鳴き声しか出ない。母猫(仮)はしゃべってたよな。
【まさか、喋り方を知らないのか?いや、特異種ならありえるか。おい、鳴き声にに思念を載せるのだ。語りかけるように鳴いてみろ】
「にゃ、にゃう……」
あれ?しゃべれた?
《獲得を確認……個体名・なしが秘宝能力『思念会話』を獲得しました。》
【行けたではないか。さすがだな。】
「にゃ、にゃおにゃお」
【我はこの地の残骸である。大昔に封印されてしまってな。ここで朽ち行くことになったのだ。もう肉体は残っておらず思念だけが残留しているがもう数日保たないであろうな】
「にゃ?にゃう?」
【まあそうだな。とは言っても問題はないぞ。もう何百万年と生きてあるからな。ただな、我が生涯をかけて作ったこの迷宮を信頼できる者に託したかったのだよ。】
「にゃ?にゃう?」
【そうだ。我はそこのダンジョンマスターだったのだがな。配下に裏切られて封印されてしまったというわけだ。
この迷宮は我が生涯をかけて作り込んだもの。あのようなやつに渡したくはないのだ。
だが封印のせいで誰とも会うことができん。そこに何故か貴様がやってきた。
どうだ?我の後を継いでダンジョンマスターになってはくれないか?】
むむむ。確かに可哀想なこの人(?)の気持ちもわかるのだが、猫カフェの夢があるからなぁ。ん?まてよ?
FAIさん。ダンジョンマスターって何ができるの?
A:質問を受諾……解答を作成……ダンジョンの制御、改造、支配及び内部の配下からの力の供給です。
ということは……!
「にゃ、にゃうにゃう。」
【ふむ。なんだ?】
「にゃんにゃにゃいにゃ。」
【ふはははははは。そのようなこと問題ない。好きにするが良い。お主に渡った時点でそれはお主のものなのだからな。】
いいやつじゃん。もう直ぐ死んじゃうのか。残念だな。
「にゃ、にゃお。」
【本当か!感謝するぞ。】
それから、私はこの元ダンジョンマスターと様々な話をした。
とくに、ダンジョンの細かいことはFAIさんも知らない。
FAIさんは情報の解析が主な仕事であり、ダンジョンマスターしか知らないようなことは当然知らないのだ。この世界の基礎知識とかは別だけどね。
ちなみに、私が異世界から来たことも話した。
曰く、異世界人はほとんど現れないらしいが、現れると目覚ましい働きをするらしい。また、寿命も長いと言われている。
ちなみに、人間ではなくエルフやドワーフなどの亜人に転生した者もいたようだが、なんせ数が少ない上に本当かどうかはわからないらしい。
また、魔物に転生したという例は聞いたこともないらしい。
まあそうでしょうね。きっと私の猫好きがここまで作用したんだわ!ええ。そうよ!
そして、4日後。
【ふむ。明日が最後かの。】
「にゃんにゃうにゃ。」
【寂しがるでないぞ。我はこの4日間とても楽しかったぞ。】
「にゃ。」
【そうだ。お主に名前をつけてやろう。いつまでも名無しというのは残念だからな。】
「にゃうにゃ!」
【ふむ。そうだな……ハンナ。お前の名前はハンナだ。】
「にゃ、にゃお。」
【気に入ったか?】
「にゃ!」
これで名無しも卒業だ!とうとう名前を手に入れたぜ!
【そして我が名はアルストと言う。我が名をお主の苗字として渡そう。だから我のことを忘れないでくれ。】
そうして、私はハンナ=アルストになった。この人(?)には感謝である。一生忘れるものか。そう思った。
次の日。ダンジョンマスター、いやアルストは居なくなった。静かに、消滅したのだ。
死体はないので埋葬はできないが、お祈りだけはしよう。なんせ私の名付け親だしね。
さて、それじゃあダンジョンいっちょ取ったりますか!
up:これで第一章は終わりですね。
down:はい。ここから第二章になります。
up:作者はいつも一章まではサクッと終わらせるんだけどそこからが長いんだよな。【キョウ運】もそうだし。
down:まあそうですね。あ、あと猫語にルビ振るのは字数制限的に大変なのといちいち振るのが面倒なので次回から消します。ご了承ください。
さ、それじゃあ次回予告いっくよー。
up:次回予告!
それで、出口はどこなのよー!!
次回 洞窟は洞窟でも複雑すぎる洞窟
down:次回投稿は9月5日です。