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【ネトコン12受賞!Webtoon予定】身代わり婚は死の香り? 〜妻が次々に死ぬ死神公爵に嫁がされましたが、実家よりも幸せです  作者: 新 星緒


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13・〔幕間〕 公爵閣下はケンカする

 ヴィオレッタを部屋まで送り届け、自室に戻ろうと廊下を歩いていたら、角から叔父上が出てきた。腕を組み、暗がりでもわかるほどに不機嫌な顔をしている。


「なにをしているんだ、リシャール」

 また、こんな時間にヴィオレッタに会うなと叱られるのか? 

 そう考えうんざりし、叔父上に対してそういう気持ちを抱いたことに、驚いた。


「ヴィオレッタがいたから出ていかなかったが」と叔父上。「なぜ、こんな時間にひとりで歩く訓練なんてしている。取り返しのつかない怪我をしたら、どうするんだ」

 そのこと?

 彼女のことで怒られると思ったのだが。

 ほっとはしたものの、不思議なことに、うんざりしている気分は変わらない。


「気を付けています」

「だが、階段から落ちたのだろう?」

「たまたま――」

「『たまたま』で死ぬ事故にあうことがある」と強い口調。

「わかりましたよ」

 そう答えて、叔父上の横を通り抜ける。


「おやすみなさい、叔父上」

 私はこれで話を終えたかった。そう伝えたつもりだった。

 だけれど叔父上が横についてくる。


「訓練することには、賛成だ。次からはランスか僕を呼びなさい」

「嫌です」

「は? どうしてだ」

「誰の手も借りたくありません」

「だからって」


 足を止め、叔父上を見る。


「これは自分で解決すべき問題です。他人の力を借りたら、ヴィオレッタに自信を持って求婚することができません」

「それは立派な考えだよ。でも、なにを企んでいるのかわからないダミアンがいるんだぞ。階段で突き飛ばされでもしたら、おしまいだ。ひとりでやるな。僕たちを頼れ」

「叔父上だって! ひとりで抱え込んで、私にはなにも言わないではありませんか!」


 思わず、口調が強くなった。叔父上が驚いている。


「気づいていないとでも?」勢いに乗って続ける。「都を出て以来、ずっとなにかに心を煩わせていますよね。叔父上は普段どおりにしているつもりでしょうが、差がわからぬほど私の目は節穴ではありません」

「別に僕は――」

「ほら! 叔父上は私を頼らない。なのに私に頼れというのは、説得力に欠きます」


 叔父上が私を本気で心配していることも、幸せを願ってくれていることも、わかっている。だけど足のことだけは、どうしても譲れない。

 妻たちが次々に不審死する呪縛を断つためには、生半可な気持ちではダメなのだ。



「叔父上が望むなら、爵位は譲ります。あなたが私に望むように、私はあなたに幸せになってもらいたい。でも」すっかり無表情になってしまった叔父上の顔を、しっかりと見据える。「そんな叔父上でも、訓練の件だけは絶対に介入してもらいたくないのです。では、おやすみなさい」


 返事を待たずに、歩き出す。

 叔父上は、ついてこなかった。

 私が拒んだことよりも、彼が抱えているものに気づかれていたことが、ショックだったのかもしれない。


 だが、これだけは譲れない。

 絶対に自分の力だけで、以前の体に戻るのだ。

 なにがあっても、ヴィオレッタを守れるように。




5/11(土)まで、毎日更新を続けます。

時間は21時です。

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― 新着の感想 ―
[一言] 思ったんだけれども、別に犯行現場にいる必要は無いよね。 有能さを買われるって事は、それだけ口が上手いってことだと思う。 書庫でヴィオレッタに対してすごい変わり身であの手この手で協力させようと…
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