まくちゃんのハチミツとり
まくちゃんは、くまの男の子。
「ハチミツをとりに行こうっと」
まくちゃんは、びんをもって、森の中を、てくてく歩いていました。
広場で、うさぎのねねちゃんと、きつねのコンすけくん、たぬきのポンきちくんが、鬼ごっこをして遊んでいました。
まくちゃんに気がついたポンきちくんが、
「まくちゃん どこ行くの?」
と、声をかけてきました。
「ハチミツをとりに行ってるんだよ」
「ハチミツ? ぼくたちも行きたい!」
みんなもいっしょにハチミツをとりに行きます。
みんなで森の中を、きょろきょろさがします。
「あった!」
ポンきちくんが、大きな木をゆびさします。
みつばちが、ぶんぶんとびまわっています。
大きな木のうろに、ハチの巣がありました。
「ほんとだ! ハチミツみつけた!」
まくちゃんが、大きな木にかけよります。
うろに手をつっこみました。
とろりとしたハチミツがたっぷり。
まくちゃんは、ぺろりとなめました。
「おいしい!」
さっそく、ハチミツをびんにつめています。
ねねちゃんも、そばにきて、うろに手をのばしました。
ちょっとして、急にねねちゃんが、手をふりはらいました。
「きゃあ、今、なんかチクッとしたわ。ハチにさされたよぉ。いたいよぉ」
みんな、びっくり。
「だいじょうぶ?」
そう言うと、ポンきちくんは、かけだしました。
「あれ、ポンきちくん、どこいくの?」
まくちゃんが、きょとんとしています。
コンすけくんが、わらって言いました。
「あはははは。ハチじゃないよ。ぼくがねねちゃんに、ひっつき虫をなげたんだよ」
木のまわりには、草がいっぱいしげっていました。
ひっつき虫っていうのは、とげとげのある植物です。どこにでもくっつくので、ひっつき虫っていうんです。
「なんだぁ。もうびっくりしたんだからね!」
泣きべそをかきながら、ねねちゃんがぷぅっとふくれました。
そのとき、ポンきちくんが、たくさんのよもぎの葉っぱをかかえてもどってきました。
「ねねちゃん、よもぎの葉っぱは、虫さされにきくんだよ。いっぱいとってきたよ」
「よもぎの葉っぱをとりに行ってたんだね。でも、あれ、ハチじゃなかったんだよ。コンすけくんのいたずらなの」
と、まくちゃんが言いました。
「なーんだ。そうだったのか」
ポンきちくんは、ちょっとがっかりしたようすでしたが、
「あっ、いいことおもいついた!」
と、うれしそうに言いました。
「このよもぎの葉っぱで、おばあちゃんに、よもぎもちをつくってもらおうよ」
「よもぎもち? だぁいすき!」
「おいしそうだね」
「たべたい たべたい!」
みんな、おおよろこび。
「おばあちゃーん。よもぎの葉っぱとったから、よもぎもちつくってぇ」
ポンきちくんが、おばあちゃんに、たのんでいます。
「おやおや、よもぎもちかい。ちょっとまっててよ。今、つくってあげるよ」
おばあちゃんは、台所で、つくってくれています。
みんな、わくわくしてまっています。
「おまちどうさま。さぁ、できたよ」
みどりいろの、まぁるいよもぎもちが、いっぱいできあがりました。
「おいしそう!」
「いただきまーす」
たくさんのよもぎもちを、みんなおなかいっぱいたべました。
「あー、おいしかった」
「よもぎのいいかおり」
「そうだ! ハチミツもたべようよ」
まくちゃんが、びんのふたをあけました。
「あまいねー」
「おいしい」
よもぎもちをたべたり、ハチミツをなめたり、みんな、ごきげんです。
「ねむくなっちゃった」
「ぼくも」
「わたしも」
おなかがふくれると、みんなねむたくなったようです。
「みんなおひるねしておかえり」
ポンきちくんのおばあちゃんが、ふとんをしいてくれました。
みんなは、ふとんにねころがって、すやすやお昼寝をしています。
おひさまが、にこにこわらっています。