命の先に、愛ひとつ
生まれたときはたった一人だった
温かい腕に抱かれてはいたけれど
命から生まれた命は一つだった
この世に生れ落ちて
泣いて笑ってまた泣いて笑って
そうやって人は成長してきた
成長するとまず知ったのは愛だった
母親と父親と祖父母と、或いは兄弟・姉妹と
自分に向けられた愛に甘えていた
もっと成長すると、まず知ったのは
この世の理不尽さだった
比べて比べられる世界が待っていた
愛がいつの間にか
私の中から周りから減っていった
疲れる日々の中
あなたに出逢った
愛が欲しいと全身で叫んでいたら
あなたに出逢えた
あなたが愛を教えてくれた
溢れる程の愛を
命の先に愛ひとつ
生まれたままの姿でもう一度あなたに出逢えていたら
命の先に愛ひとつ
この芽生えた愛をあなたに伝えられるかしら
命の先に……愛、ひとつ
お読み下さり、ありがとうございました。