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二章 四月二十三日 金曜日

 結局のところ、俺がアイツに連絡できたのは家に帰り着いてからだった。



『なあ、スタンプラリー、どうだったんだ? それ、面白いのか? 教えてくれよ』

『お前、どうかしたのか? 大丈夫か? 連絡待ってる』

『忙しいのか? 風邪でも引いてるのか? 心配してやるから、一言ぐらいくれよ』

『元気なんだよな? 何もないんだよな? 大丈夫なんだろ?』

『何かくれよ、頼むよ』



 ……。電源を繋ぐ。アイツから無数にメールが届いていた。

 どのメールも短文ばかりで、新しいメールになればなるほど、書かれているその内容はおおよそアイツの言葉とは思えないものだった。

 慌てて俺は、アイツに言い訳めいた返事を送信する。



『連絡できなくてごめん。電池が切れていたんだ。俺は元気だし病気でもない。怪我もしてないよ』



 いつもなら返事なんか返ってこないはずの時間。でも、直ぐに返信が来た。



『タヒねよ。死んでしまえ。お前は私をどれだけ心配させれば気が済むんだ。私はお前なんか嫌いだ。大嫌いだから、お前に一生付きまとってやる。感謝しろ』



 酷い文面だったけど、きっとアイツは今、悪態をつきながら泣くか笑っている。俺にはそう思えてならない。そしてアイツは俺のことを、他の誰よりも大切に想ってくれているのだと確信できた。

 そうとも。俺がこんな目に遭っても連絡一つ寄こさず、そもそも今現在どこにいるのかもわからない実の生みの親である俺の母さんよりも、アイツは俺のことをこんなに大事に想ってくれている。俺は本当に嬉しかった。

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