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二章 四月二十二日 木曜日

 ああ、太陽が眩しい。



「あたし達、どうなるのかな」

「大丈夫。もうすぐ誰か来るに決まってる」



 いい加減、腹が減った。俺の隣に腰掛けている天河も、俺と同じ思いを持っているに違いない。突き抜けるような晴天の中、太陽は中天に差し掛かかり、俺達は空腹と睡眠不足、そして極度の疲労で頭も身体もおかしなことになりかけていたらしい。


 押し黙る天河に声を掛ける気力も無くなり、対応を間違ったかと不安が芽生えてきたころ、俺達は探しに来てくれた大人達に発見された。

 宿舎に戻ると、当然ではあるが先生達に酷く怒られたのだが、俺は全部俺のせいだと捲し立てた。天河が何か意味のある言葉を言う前に、全て俺のせいになるように論陣を張っておいたのだ。



 ◇ ◇ ◇



 臨時の説教部屋の扉を開けると、天河のふくれっ面があった。先に解放されたはずの天河が、表で俺を待っていたらしい。

 今朝方まで見せていた弱い姿などどこにも見当たらなかった。ここにはただ、愛らしくも不貞不貞しくて図々しい、いつもの天河の姿があるだけだ。



「委員長君さぁ、どうしてあたしをかばうわけ? あたし、謝らないよ? お礼も言わない。だって委員長君、昨日あたしを泣かせたもの」

「え?」

「でも、あたしをかばってくれて嬉しかった。委員長君のこと、ちょっぴり本気になってもいい気がしたよ。……あたし、負けないから」



 天河の瞳が輝いていた。意味深な言葉はしっかりハッキリ聞き流してやるとしても、天河にいつもの元気が戻りつつあるようで、俺は嬉しい。



「天河?」

「ううん? なんでもない。なんでもないですよーだ!」



 騒がしくしていると、背後の扉が開き、学年主任の大目玉を食らった。



「お前達。何をしている。表に車を待たせてあるんだ、早く行かないか! 二人とも皆とは別行動だ。どう見ても元気が余っているお前達だが、お前達は病院で検査を受けてもらう!」

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