午前10時
そそくさと急いでいるわけでもなく朝食を簡単にすませて、母と父の部屋に入る。
「何をするの?」
そんな会話が聞こえる。でも後ろを振り返っても誰もいない。影が見えるようで見えない。
ため息を1つついていつも通りごそごそと漁る。何もなくても両親を殺した犯人の手がかりになるものを探す。
いくらたったか分からないほど気付いたら時間がたっていた。上の荷物を取ろうとした時…
ドサドサッ
「うわっ」
荷物が落ちてきた。
「いったいなぁ…。馬鹿っ」
怒りに身を任せてそこら辺にあった物を投げる。
「やべっ」
と同時に罪悪感に襲われる。片付けるの大変だなぁ。ため息をつきつつ、投げた物を拾う。
「うわっ。やけにぼろくさい本だなぁ、いつのだろ?」
パタパタと本の誇りを払いつつ何か書いてあるのに気付く。
「ん?」
その本には、『Vi・ArmerK』
そう書いてあった。聞いたことのない名前だった。中を開いてみると個人情報と思われるものがビッシリ書いてあった。
「え?」
『情報屋:ミレフィーラ・ユグネス,フィーア』
母と父の名前だ。一瞬で悟った。しかもそこには、ここら辺では有名な『Yukel,family』マフィアの名前があった。
「ママとパパはマフィアに属してて、情報屋だった…?」
思考がパニックで可笑しくなりそうだ。ありえない、ありえない。言葉がぐるぐる回ってわからなくなる。でも確かに分かることは、
「ユケール・ファミリーに手がかりがある…。」
そう分かると足が勝手に動いていた。