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○月×日
今日はあの子の家に遊びに行った。
家には数え切れないほど遊びに行っているけど、好きだと自覚してからは初めてだ。
見慣れた道も、いつもより綺麗に見える。
そして、見慣れた顔もいつもより可愛く見える。
「これやろー」
あの子は携帯ゲーム機をとりだした。
しばらく協力して敵を狩る。
ゲームは、一緒に寝そべってするのが好き。
ほんとはもっと近づきたいけど、不審に思われても嫌だから適度に離れている。
しばらくすると、あの子の動きが鈍くなってきた。
「眠い?」
「うーん、昨日遅くて……あ、ちょっと枕になってよ」
まっ、まくら!?
この子は私を枕にして寝るのか。
それなら、ここはやっぱり膝枕だろうか。
優しく頭とかなでちゃったり。
いや、思い切って腕枕とか!
うっかり偶然間違って、唇とかふれちゃったりしちゃうかもしれないね。
さて、どの枕に
「じゃ、おやすみー」
背中かあ……。
まあ寝そべったままの私も悪いんだけどね。
でも密着はしている。
そうだ、せっかくだし寝顔でも見ようかな……。
「って見れないじゃん!」
「な、なに?」
「なんでもないよ、おやすみ」
「おやすみ」
流石に真後ろに顔は向けられない。
しばらくすると、寝息が聞こえてくる。
本当に寝ちゃったんだ。
仕方ないなあ。
あ、心臓の音とか大丈夫かな、速くなってるの聞かれたりしてないかな。
背中に重さを感じながら、平常心を保つために一人でゲームを続けた。
結局、あの子は私が帰る時間まで寝てた。