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短編:詩&エッセイ

そこ

作者: 尖角

空を見上げても、

そこには手の届くことのない青空があるだけ。


広がっている。 どこまでも果てしなく。


それと同時に、私の虚しさも増していくばかり。



強く、 ただ強く(おも)う。


――もし、私がもう少しだけでいい。 強かったなら。



あの時、一歩でも踏み出せていたら、

こんなにも惨めな思いをしなかったのかな?

もし、私が後悔なんて言葉を知らなかったのなら、

今でも、今までと同じように笑えていたのかな?



見失った将来。 暗闇はさらに暗闇に。









わかるかな? この私の気持ち。


手を伸ばしても、努力をしても届くことはない。


もともと、天と地ほどの差があって、無意味だったのに。

なのに、そんなことにも気付けず、馬鹿みたいに我武者羅に進んできた。


今なら、はっきりと言える。

成功しなかった努力など無意味だと。


だって、そうでしょ?

確かに、後悔から学べることもある。

確かに、失敗したからこそ分かることもある。


だけどね、わかって前向きになれるのは、

その人にとっての“次”の目標があるから。



残念だけど、私にはそれがない。


精一杯、頑張ってきた。

これでもか!ってくらい努力して、

誰にも笑われずに済むように、頑張ってきた。


けど、私には、そこから立ち直る術がない。


次のステップなんてない。

私にとって、これが最初で最後のチャンスだった。



だからこそ、報われない努力など無駄だと気付けた。





成功するから意味がある。 失敗したら意味がない。


失敗したら、私のような人間には後悔しか残らないから。




後悔しか残らなかったら、そこから学べることは特になく、

自分をただひたすらに責め続けるばかりの奴隷になるほかない。




要するに、私は死ぬまで自分を恨み、憎むしかない。



――なんで、あの時……。














わかるかな? 私の、こんなにも惨めな気持ち。



初めから、蛙は蛙らしく、ひっそりと生きていればよかった。


大空なんて、私には本来、必要のない大きすぎるものを知るよりも、

ただ、地味に、誰にも気付かれることなく死んでいく方がよかった。



この気持ちって、きっと、たぶん、敗者にしかわからないんだろう。



光が見えて、夢を持って、それに向かって努力して、

そして、絶望を知って、希望って何?ってなって、それで…それで……。







どうすればいい? 何も見えない。



私の将来も、私の心も、私自身の姿さえもがわからない。



ねぇ、教えて? 私って誰? なんで生きているの?


ねぇ、教えて? 私って何? 笑い方さえ、思い出せない。


























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