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 異世界から召喚された勇者の名は、『黒金真也』といった。

 呼びだした召喚魔法を生み出したのは私であるし、逆らわないようにしている精神魔法がきちんと効果を表しているかどうかも確認する必要があった。それには、会話をするのが一番だ。だから、喋りに行こうとしているわけだが…。

 「……あんなの放置でいいじゃん」

 「クルス。私が作った魔法なんだから、効果を確認しなきゃいけないの」

 「………」

 クルスはむすっとした顔をしている。仕事で人に会うのにクルスはあんまり文句は言わないのになと不思議に思う。でも考えてみれば、日本人だからと私が興味を持っているからだろう。

 「大丈夫。私が好きなのは、クルスだけよ?」

 仕方がないという気持ちでそう告げれば、驚いたような顔で見られた。

 まぁ、そうよね。私はあんまりそういう気持ちいわないもの。「好き」って言われて「私も」と言う事はあってもちゃんと言ってなかったものね。

 言ったら思いっきり抱きしめられて、とびっきりの幸せそうな笑顔を向けられた。

 何だか女性陣が見たら騒ぎそうなイケメンの笑顔だった。

 結局なんとかなだめて、『勇者』に会いにいった。会話を交わしながらそれとなく、性格を読みとっていったのだ。何度か会話を交わすのは魔法がきいているかと、『勇者』の性格に問題がないかの確認のためだったが、女性陣に睨まれたりしてしまった。クルスの事で女性に睨まれてるのはなれてるし、私に何かしようとしたらクルスに潰されるだけだから気にしないけれど。

 そもそも国に価値のある私を潰そうとすれば罰が下るのぐらいよっぽど頭が悪くなければ理解出来るでしょうしね。

 話した結果、『勇者』は『優しくて正義感が強い。そして国に逆らう気はない』という性格だと読みとれたわ。一応、警戒しないわけにもいかないから陛下は何かあった時のために『勇者』を殺す人材も『勇者』パーティーに入れるといっていたわ。

 『勇者』パーティーは国でも強い人を数名いれる事となったの。立候補者は女性が多かったのだけど、きちんと戦力面も考えて男二人、女二人+『勇者』のパーティーになっているわ。

 ちなみにクルスはリカードの勇者パーティーの候補だったらしいけど、上層部の人間達に『あれがナーシャ嬢の傍を離れようとするわけない』という意見で満場一致して却下されたらしいわ。

 クルスはパーティーとかでも私にべったりだものね…。








 

 『勇者』を召喚して、二年目の秋に『勇者』が『魔王』を倒した事が発表されたわ。

 『勇者』の功績はもちろん、召喚魔法を生み出した私自身の功績もたたえられたわ。私個人に『侯爵』の地位が与えられたの。領地ももらったわ。基本領地の仕事はクルスがやる事になってたわ。最も視察とかの時は「たまには外に出ないと駄目」と言われて私も連れ出されるのだけど。

 『勇者』はパーティーの二人の女性と恋仲になっていたようだけど、正直陣に組み込んだ精神魔法や肉体強化などの魔法がどれほど効果をなすかはわからないのよね。一応推測として4年弱ぐらいだと思うのだけど…、だからこれ以上国にいてもらっても正直邪魔なのよね。

 あと『勇者』ってば我儘で、『地球』に帰りたいけど二人と離れたくないっていってるの。ま、別にさ、地球に三人纏めて送ってもいいの。

 でもさ、考えてみてよ。

 『勇者』は知らないけど、地球に戻ったら『勇者』は一般人よ? 肉体強化も魔力もなくなって、普通の人間になるの。今この場に居る強い『勇者』に惚れたっていうなら、二人は惚れたままでいてくれるのかしら? それに二人とも若いのに、『勇者』についていこうと決断しているだなんて。自分の住まう世界とは違う現代日本にいきなり飛びこんでいって、生活出来るのかしら。『勇者』しか縋るものはないでしょうが、こっちで二年たってるの。日本でも二年経過しているとして『勇者』は行方不明で高校は留年か退学って形になってるかもしれない。『勇者』として生きてきた少年がいきなりそういう生活出来るのかしら。私はどうでもいいんだけど、弱くなった『勇者』を二人は好いたままでいられるのだろうかと疑問に思ったわ。

 『勇者』は帰りたいって、二人はついていきたいっていってるからいいわよね。って事で後の事は知らないけどって思いながらも帰した。

 それにしても日本は一夫多妻制ではないのに二人も平等に愛してるっていいのかしら? 

 クルスは私が『勇者』を興味津々で見ていたから、そんな『勇者』が居なくなって嬉しそうだった。

 それからまた3年が経った頃、『召喚魔法を完成させた天才』として有名になっていた私を狙う輩が多くなってきた。どうやら近隣の大国の王が変わった事により、そういう方針になったようだった。このままでは戦争になるかもしれないとも言われていた。

 私を攫って、側妃の一人にしたいらしい。私という『天才』が欲しいだけのそんな言葉にはうんざりする。小国の同盟国にとっても私は国を豊かにするために必要な人材と認識されているから、護衛が増えた。

 10歳の息子のアシュター、8歳の息子のセルゲイ、6歳の娘のアルガータ、そして最近生まれたばかりの娘のレイ。

 四人にも私のせいで護衛が多くて、窮屈な思いをさせてしまってるなと思う。幼い四人は人質として価値があるのだ。

 アシュターとセルゲイ、アルガータの三人は魔力や武術の才能はしっかりクルスよりに育ったようで、才能はある。かわりに私のやってる研究は『…こんなんわかるわけないだろ』と言い放たれてしまった。

 私みたいに魔法を理解出来る人っていないのよね。クルスも頭はいいはずなんだけど、話してたらついていけてないし。そんなんだから私が『天才』なんて呼ばれるようになったのだろうけれども。

 私を攫おうとする輩は全員、クルスに排除されていた。

 本当、クルスって私の護衛じゃない前線勤務の仕事でもしてれば英雄にでもなってそうな強さだ。だって大国から送られた連中返り討ちにしてるし。他の護衛も動いてるけど、縛り上げて情報聞きだしてたしなぁ…。

 クルスってば笑顔で、恐ろしい事いって拷問染みた事してたし。

 というか、本気で多対一でも勝っちゃうあたり流石クルスだと言える。私を守るために動いてるクルスは正直かっこいいとは思うけど、いまだにやっぱり羨ましい。私って才能と魔力がなさすぎて魔法なんてまともに使えないのに…。

 今は今で、幸せな日々を送ってる。でも、それでも強くなりたいって憧れは前世から引きずっている。

 それならば、と試してみたいものがある。私が異世界転生なんてものが出来たのだから、魂は転生をするものなのだろう。それがどういう種族に転生出来るかもわからないし、一般に前世の記憶は残らないものであろうけれども。それを考えると日本人であった頃の私の前世も記憶がないだけできっとあるのだろうと思う。

 魔法は、前世では不可能とされていた事を可能とする力だ。

 魔法を使うだけの魔力や魔法の才能がなくとも、私にはそれを理解するだけの頭はある。

 魔力が少ない、魔法の才能がない。そう言われたことが悔しかった。そんな私を大切にしてくれる両親のために必死に領地をよくしよう、成果をあげようとした。もちろん、魔法について学ぶことが楽しかったのも理由だけれども、結局自分で組み立てても、自分で使う事が出来ないのだ。

 それは歯がゆい気持ちになって仕方がない。

 今の仕事は、他人が使うための魔法の改良や魔法具の案を出したりする事だ。自分のための新しい魔法を非公式に作ってみようじゃないかと思った。出来るか出来ないかではなく、やってみせようと思う。

 誰も生み出した事のなかった召喚魔法を生み出した時のように。

 『転生魔法』――――私が来世を記憶をもったまま送れるような魔法を。

 召喚魔法と同じく陣と詠唱を共に使った魔法になるだろう。陣には『前世の記憶を持てる』、『人間に生まれ変わる』、『この世界でまた生まれ変わる』、『私が死んだ際に詠唱と魔力提供を終えていれば発動』、『発動後塵も残さず消滅する』。それだけの情報を書き込めればとりあえずはいい。

 それで魔力が少なく魔法の才能がないなら、また現世同様頭脳でなりあがればいい。

 一度作りあげられる事が出来れば、可能なはずだ。

 私には陣に提供する魔力は持っていないが、クルスなら私の頼みならやってくれるだろう。それか適当な知り合いの魔力の多い人間に頼んでもいいかもしれない。もちろん、内容はばらさずに。

 この魔法が出回られたら困る。最も理解できなければ誰にも使えないけれども。それでも、陣ごと消滅させた方がいいわ。大体、私が私のためだけに使おうと思っている魔法を人に使われるのは嫌だ。それに意味を理解されたら、馬鹿な権力者が躍起になって使おうとするかもしれない。それは望ましくない。

 そう簡単に出来るものではないだろうが、死ぬまでにきっちり完成させようと思った。とりあえず、それが私の一生の目標だ。

 そんな感じで黙々と家で誰にも悟られないように研究していったわ。

 そんな風に進めた三年後。戦争が起こったわ。私を狙っての戦争で、私にも責任があるからなるべく多く戦力になるような魔法や魔法具の構想を練ったの。

 そのためもあってか、小国の連合軍は大国に打ち勝った。

 それからその大国は敗戦国となって、私を側妃にしようとかいってた馬鹿や戦争を進めていた連中は処罰されたわ。変わりに反戦派だった王子が王位をつぐことになったの。

 で、それを機に小国の同盟国――およそ6国は一つにまとまるべきだという結論に至ったらしいの。そちらの方が他の国がせめてきた場合対処出来るという事で。連合国家になるって事。今は6つの国が独立した状態だけど、時が流れれば連合国家ではなくひとつの国としてまとまるかもしれないわね。

 私が生きてる間にそうなるかはわからないけれど。

 それにしても時が流れるのは速いものね。私ももう27歳。前世と変わらないぐらいこちらで生きている。クルスに出会ったのが10歳のときで、それからもう17年かと昔を思い出すと懐かしい気持ちになる。

 最初はクルスは私の護衛に不満があったのに、べったりだもの。はじめて会った時は結婚するとは思っていなかったし…。本当にびっくりよね。

 『転生魔法』は流石にたった3年では完成出来ないわ。『世界の指定』は完璧なんだけど。『世界の指定』に関しては、『召喚魔法』を作ったのがいい経験になったわね。『地球で日本』まで指定できる魔法だものあれは。だからこの『世界』を指定するのは割と大雑把になら出来るのよ。『地球の日本』を指定出来たのは私がその世界を知っていたからだし、前世の情報からでも指定できるんだからそれぐらい出来るのは当たり前よね。

 次に『人間』っていう指定に関してもなんとかなりそうだわ。魔法学的な意味で『人間』を解析すればいけるわ。

 『前世の記憶を持てる』と『私が死んだ際に発動する』というのがむずかしいわ。この魔法陣を私とリンクさせとかなきゃいけないわけで、そこには『魂の情報』を術式として刻む必要があるもの。

 あと『使用後に塵も残さず消滅』は可能よ。そういう魔法陣はあるもの。術式は難しいけど出来るわ。

 とりあえず今後は『前世の記憶を持てる』と『私が死んだ際に発動する』を機能するようにすべきね。『魂の情報』を術式として刻む事が出来ればこの魔法は完成するわ。

 転生する時期も把握しときたいけど、これって次の転生が数百年後に指定するとしてその間魂はどうなるのかしら? 実際、この国が将来どんなふうに成長しているかとか気になるし、転生して今の時代と比較しても楽しそうなんだけどなぁ。

 そんな事を考えながらも、黙々と人に悟られないようにやってたけど、「ねぇ、ナーシャ。最近何の魔法作ってるの?」とクルスに聞かれた。カモフラージュに別の魔法の改良とかもしながらやってて他の人には気付かれてなかったというのに…、流石私と朝から晩まで一緒に過ごすクルスであった。

 出来るまでクルスにも言うつもりはなかったんだけど、クルスって私の嘘が通じないの。はぐらかしても「嘘でしょ? 俺ナーシャに嘘つかれたくないな」なんていってくるの。本当に、クルスって何でわかるんだろうと思う。基本的に私って感情が表に出ない人間なのに。

 結局まぁ、クルスに嘘をつくのは無理でした。ベッドに抱きかかえられて連れこまれて、問い詰められました。

 「ふぅん? 『転生魔法』ねぇ」

 「…全く、できてからいうつもりだったのに」

 私はベッドでぐったりしながら、ため息交じりにいった。ちなみにこのベットは天蓋付きベッドだ。大きなベッドで私を離したがらないクルスと毎日一緒に此処で寝てる。

 「ナーシャ、それ出来そうなの?」

 「…生きてるうちには出来ると思うわよ。でも他言無用でお願いね」

 「うん。ナーシャが隠したいんだろ? なら俺が言うわけないじゃん。折角のナーシャと俺の二人だけの秘密だし」

 クルスはそういいながら、笑っている。そして、ふとクルスが言った言葉に私は流石に驚いた。

 「ナーシャ、それって俺にも出来る?」

 「はい?」

 「だから、俺にもその『転生魔法』ってかけられる? 俺、ナーシャと来世でも一緒がいいし」

 さらっとそんな事をいうクルス。驚いて固まった私にクルスは続けた。

 「だって、来世だろうとナーシャが他の男のものになるの嫌だし。ナーシャが他の男と結婚とか考えただけで相手殺したくなるし」

 「…物騒な発言はやめなさい。あとさ、この『転生魔法』は流石に性別指定までしやったらややこしいから無し何だし、私が『男』に生まれ変わる可能性もあるんだからね? それに女同士、男同士で生まれ変わる場合もあるし、『転生』で『前世の記憶』をいれたとしても別人みたいになることも考えられるわよ?」

 さらっと言い放たれた物騒な発言に呆れながらも冷静に私は告げた。

 『転生魔法』で性別指定まではいれるつもりはない。そもそも私は現世で『女』だとしても前世では『男』だしどちらでも抵抗はない。大体『人間』って指定だけでも面倒なんだから性別指定までする気はないのだ。

 転生して私が男でクルスが女だったり、女同士と男同士にならない可能性はない。

 ついでにいえば、

 「世界の指定しかしてないんだから、近くに生まれるかとかもわからないんだけど」

 転生したとして出会えるかまずわからない。世界は広いわけだし。もしかしたら生み出した『転生魔法』に何かが生じて望み通りに転生出来ない場合もある。

 これは私が我儘で作っている魔法だからリスクがあっても自分自身にはかけようと思っている。でもクルスに『私と一緒にいたい』などという理由でリスクを背負わせるわけにはいかないととりあえず説明する。

 だって不測の事態がおこったらもしかしたら前世の記憶ありのカエルとかにでもなるかもしれないのだ。…下手にこういうのに手を出せばそういう事になる恐れもあるのだ。私はそれでもやってみたいと思っているからやるわけなのだが…。

 でも説明しても、

 「俺の心配してくれてんの、ナーシャ。俺は別にいいよ? どんなものに生まれ変わってもナーシャに会えればいいし。大体世界は広いとはいっても、安心して。絶対俺がナーシャを見つけるから」

 とにっこりと笑われた。

 何だかそんな風に堂々と言い放たれたら出来るかもと思ってしまったが、やっぱり一緒にやるわけにはと説明する。でもクルスが折れるわけもなく…、結局2人分の『転生魔法』を準備する事となった。

 仕方がないとそれは割り切った。だってクルスって一度決めた事を覆す事あんまりないし。

 それからまた二年がたった。『転生魔法』はあまり進んでいない。少しずつは進んでいたんだけど。

 その年は次女のレイが5歳になり魔力測定が行われたのだけれども、レイは私の血をしっかり引き継いでしまっていた。魔力が少なく、才能もない。加えてレイは私と違って『天才』と言われるほどの頭脳はなく普通な子だった。

 正直、泣いた。いや、だって明らかに私の血が遺伝した結果だったから。子供達の事は可愛がっているし、これからのレイの未来を思うと申し訳なくて仕方なかった。

 「ナーシャ、泣かないで。レイを馬鹿にする馬鹿は俺が潰すから」

 「母上、レイは可愛い妹ですから俺が守りますから」

 「うん。僕もレイに手を出す人間は徹底的にやる!」

 「私もー。手を出せないようにしなきゃね!!」

 上から、クルス、アシュター、セルゲイ、アルガータの言葉である。

 結果、そんな事をいった親ばかとシスコンは実際に可愛い末っ子のレイを馬鹿にした人間には徹底的な対処をした。そんなおかげでしばらくすればすっかり悪く言うものはいなくなった。

 本当にクルスの才能を継いで、アシュター、セルゲイ、アルガータは同年代の中でも飛びぬけて、めきめきと強くなっている。

 私も私同様非力な娘に何かあったら悲しいので、娘専用の反則的魔法具でも構想しようと考えた。ユニーク武器なんて歴史上ないに等しい。が、娘のためならやろう。ついでに娘が死んだ後に悪用されないようにこちらも死んだ後塵も残さず破壊にすべきだ。

 これは『転生魔法』にも必要なものだし、娘のための魔法具が設計できれば『転生魔法』にも役立つ。

 あとは作った際に、同じものを作れと言われないようにしとかなければ。やっぱり模写不可能、分析不可能は欲しい所ね。ふふ、出来たら私も偶然で出来たから同じものはつくれませんって言えばいいわよね。

 考えてるのは『魔法攻撃無効』、『物理攻撃無効』、『異常状態無効』だもの。こんな反則的アイテムを他の人間に使わせたりしたらどうなるかわかったものじゃないわ。

 まずこれは娘用なんだからクルスに大部分の作成は頼むわ。クルスは割と万能だから出来るだろう。ただ『異常状態無効』に関しては神子―――回復魔法の属性を持つ存在。普通神殿で隔離されている――にやってもらわなければならない。

 いっその事精神関与の魔法で『絶対にばらすな』と刻んでやればいいかしら? 娘のためだものね。そうしましょう。その魔法はクルスにやってもらえばいいわよね。

 まずは娘にだけ使える武器っていう術式を生み出す事ね。そして見た目は魔法具に見えない方がいいわ。普通につけても疑われないような髪飾りの形にしましょう。

 というわけで、省略するけど5年かけて私の最高傑作にしてレイのためだけの魔法具を完成させた。

 その頃にはまた子供がふえたわ。私って妊娠しやすい体質なのかしらねぇ? アシュターはもう20歳で、結婚もしたわ。もう侯爵家をさっさと継がせたわ。18歳のセルゲイなんて王女様と恋仲になってるの。16歳のアルガータは今公爵家の息子に夢中になってるわ。10歳のレイは魔力と魔法の才能がない事に嘆いてたけど自分に出来る事を必死にやろうとお勉強を頑張ってるの。それでね、レイの魔法具作成中に生まれた子が今4歳の双子の兄妹のフィンとリリスなの。

 『転生魔法』よりもレイの魔法具に力をいれていたから少ししか進んでないのよね。でもレイの魔法具作成でヒントを得られたから出来るはずなの。

 結局、『転生魔法』が完成したのは、それから6年後。

 私が40歳になってからの事だった。長かったわ。陣と詠唱の準備をするのも大変だったわ。私で13年もかかったんだもの。でも一応完成した事は達成感があるわね。

 それからすぐにクルスに魔力提供と詠唱をしてもらったわ。だって、結局人なんていつ死ぬかわからないもの。前世の私も予想も出来ない場面で死んだんだから。

 誰にも悟られずに『転生魔法』は完成したの。

 死んでみないとどういう結果をもたらすかはわからないけど、とりあえず人生を全うしてから結果を確認しなきゃと私は思うのであった。








ナーシャ。

前世からの頭脳チートの天才。TS転生者。

でも女な事はなんだかんだで割り切って受け入れる。家族は大事でも研究の方が大事な子。前世で喧嘩が弱かったから強くなりたかったけど、そっち方面の才能は皆無。六児の母。

召喚魔法を完成させた褒美に個人に貴族の地位を与えられた。

召喚魔法を完成させただけでも、普通の人からはありえない事なのに『転生魔法』だの娘のための『規格外な魔法具』だのまで生み出してしまう。

ちなみにナーシャの研究話についていける人間は現状いない。

現在:40歳(『転生魔法』完成時)


クルス。

魔法や剣術面のチートっぽい人。ナーシャが大好きでたまらなくて『転生魔法』なんてどんな結果を生じるかわからないものを『ナーシャと離れたくないからかけて』などと言いだす。

多分、この人転生しても勘とかでナーシャを見わけそう。

子供たちも可愛がってるけど、ナーシャの方が大事で仕方がないので子供そっちのけでナーシャの傍にいたりする。

現在:43歳(『転生魔法』完成時)



アシュター

ナーシャとクルスの長男。家をさっさと継がされる。結婚をしているが子供はまだいない。

研究ばかりの母親と母親第一の父親だが、ナーシャとクルスの事は慕ってる。というか、ナーシャとクルスが仲良すぎるのもあって家族仲は凄まじく良い。現にブラコンシスコンで下の弟と妹を可愛がっている。

クルスの血を受け継いでいて、魔法や武術の才能は高く、連合国家内でも結構強い方。頭は悪くはないけど、流石に母親ほどの頭脳はない。

目の色だけ母親よりだが、髪や外見はクルスより。

現在:20歳(『転生魔法』完成時)


セルゲイ。

ナーシャとクルスの次男。幼いころから知っている一つ下の王女に昔からアプローチされまくった結果、恋仲になる。

現在王宮の騎士団に勤めていて、実力は高い。アシュター同様、頭は悪くないが母親の頭脳は受け継いでいない。

両親が仲良すぎる事に呆れてるものの、家族の事は好き。特にレイは非力なため守らなきゃと思ってる。ついでに両親の影響で恋愛結婚に昔から憧れてたりする。

顔立ちはナーシャよりだが、髪や目の色はクルスから受け継いだ。

現在:18歳(『転生魔法』完成時)



アルガータ。

ナーシャとクルスの長女。公爵家の子息に一目ぼれして猛アタック中。押せ押せで、むしろライバルは蹴落とす勢いの子。多分父親に似たのかと思う。

こちらもクルスの才能を大いに受け継いでおり魔法や武術の才能は高い。頭脳は母親から受け継いでおらず、兄二人よりも頭は悪かったりする。

両親見て「私も私だけを見る人と結婚する」と昔から言い張っていた。妹のレイを可愛がっている。

髪と目の色をナーシャから受け継ぎ、見た目はクルスの遺伝なのか美人に育ってる。

現在:16歳(『転生魔法』完了時)


レイ。

ナーシャとクルスの次女。ナーシャの非力さを大いに引き継いでしまった子。魔力がなく魔法が使える才能がなく、頭脳も母から受け継いでおらずしばらく落ち込んでいたが、今は頑張ろうと強く生きてる子。

家族の才能に嫉妬を覚えないわけではないが、家族の事は大すき。見た目は美少女。

現在、ナーシャの作ったチート装備を身につけているためあらゆる攻撃を受けない。

現在:10歳(『転生魔法』完成時)


フィン&リリス。

ナーシャとクルスの三男と三女。双子。現在4歳。

二人とも割とそっくり。ナーシャよりの顔立ち。現在魔力測定前なため魔力保持量はわからない。ただ同年代の子供よりもフィンは頭の回転が速い。同じ年の双子のはずなのにリリスの方が年下に見える。

現在:4歳(『転生魔法』完成時)




『転生魔法』は思いついたけど、正直いれるか迷ったのですよねぇ…。

でも思いついたし書きたいので書きました。


一気に書いたので矛盾点・誤字などありましたら報告ください。

とりあえず次で終わり予定なので、はやめに次回も公開すると思います。



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