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第2話 失踪

 小野寺さんが学校に来ていない。それを知ったのは、部活の後、家に帰る直前だった。

 話を聞くと、家にも帰っていないらしい。

 学校内では、告白が原因ではないかということになり、彼女の友達たちから事情聴取を受けた。

 確かに、振った側も、気不味く学校に来にくくなる。

 しかし、夕方のメールを最後に、携帯の電波が届かないところに居て、友達にメールを出さないというのは、可笑しい。普通なら、気晴らしに、しゃべるか、食べるか、遊ぶかだろう。

 もしかして、僕の告白後、気分転換に、街に出て、事件に巻き込まれたのではないだろうか?

 自分のことばかり考えていて、小野寺さんのことは何も考えていなかった。俺はダメなやつだ。彼女を好きになる資格なんてなかったんだ。

 何かあったら、自分の責任だ。

 どうしよう、自分に何ができるんだ。

 自分にできることは、小野寺さんを探すことだ、逆に迷惑かもしれないが、家や学校でじっとなんかしてられない。

 僕はとりあえず夜の街へと飛び出した。でも、どうしたら良いんだろうか?


 彼女の好きな街、お店、学校外での友人、何も知らない。

 改めて、僕は彼女について何も知らないことを実感した。


 ヒントは、学校で彼女の友達から事情聴取を受けた時の言葉だ。

 少なくとも、自転車通学している彼女の自転車が、学校にも家にもないということだ。

 ストーカーではないが、彼女の自転車は見て判る。自転車を見つければ、少なくとも電車で都心に出たかは判るかもしれない。

 可能性は低い、でも、彼女がいきそうな場所で、地道に自転車を探すしかない。僕にはそれしか思い浮かばないのだから。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 昨日、彼らが消えたのは、この辺りか?

 長身で長い黒髪の少女は、大きなスポーツバックを背負い、手にはダウジング用のL字型棒を持ちながら、あたりを見回した。 

 場所は吉祥寺駅と井の頭公園の中間地点の梅○和夫の赤い家がある住宅街。そして...ラブホテル、いや、レジャーホテルの前だ。

「よおぉ、ねぇちゃん。さっきからホテルの側でうろちょろしてさ。相手でも探しているのかい? 相手いないなら、俺が相手してあげるよ」

 酔っ払いだ。焼き鳥で有名な「いせや」の本店や公園店が近いせいか、酔っ払いが多い。



「判ってる。これは、気配を正確に追跡されないように、意図的に撒いてる感じね。」

「出ていった感じはないわ」

「そうね。この付近に『扉』があるのは間違いないと思うわ」

「レポートなんて20分もあれば書けるわ。大丈夫。今日中には見つかるわよ」



「なぁ、ねぇちゃん。1人でぶつぶつ言ってないで、おじさんの相手をしてよ」と酔っ払いがしつこく、酒臭い息を吐きながら声をかけてくる。

「五月蠅い。私は今イラついているんだ。声をかけるな」

「何言っているの。こんな夜遅くにラブホテルの前に居てさ。生理のイライラ? おじさんと一発、すれば収まるよ」

「...」

 少女は、無言のまま、スポーツバックから大型の銃、「S&W M29」を取りだすと、その酔っ払いを撃った。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 今日は何時に鳴るのかな? 今日は何時に鳴るのかな?


 始まりの鐘は、今日何時? 終わりの鐘は、今日何時?


 今日は何時に鳴るのかな? 今日は何時に鳴るのかな?


 

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