閑話 キ助の多事雑言
「キ助さん。聞きたいことがあるんだけど」
近藤は、キマイラのキ助に質問をした。
「何かね。少年」
相変わらず、キマイラの態度はでかい。
「なんで、原田は僕と小野寺さんの『赤い糸』を切らせたんですか」
「そんなことか。知ってるけど。そんなこと、作者に聞くのが早いだろ」
「え!!そんこと言っていいんですか?」
「良いんだよ。どうせ、閑話だろ。それに作者だって、ストーリーの中で書けなかった説明・設定を書くために、閑話を作ったんだから」
「普通、そういうのって、上手く、物語の中で、語るんじゃないんですか」
「しょうがないだろ。作者の腕がいまいちなんだから。本当はワイに語らせるつもりだっけど、ワイの出番が少なくてな」
「口調も変わっていますね」
「関西弁のケルベロスと被らないように、時代劇口調のキマイラにしたのは良いけど、時代劇口調が書けなくてな。エセ関西弁にしたみたいだ。それも徹底できなくて、いろんな訛りが混じっている。まぁ、ワイは外人だから良いんだけど...」
「...とりあえず、本題に戻りましょう」
「それを理解するためには、『魔法。』の設定を知らないといかん。」
「まず、タロットカードの『恋人』と『悪魔』の図柄を見てみよう。
『恋人』は、真中少し上に天使、その下に男女が並んでいる。
それに対して、『悪魔』は、真中少し上に悪魔、その下に鎖に繋がれた男女が並んでいる。
まず、構図的に、『恋人』と『悪魔』は似てるじゃろ。
そして、悪魔に捕まっている男女は、『恋人』たちと同一人物なんじゃ。
そこから、強引に、『悪魔』は『恋人』を支配できるという設定を作ったんだな。」
「はぁ...」
「『恋人』をコントロールするうえで一番の障害は、
『運命の赤い糸』で繋がった、近藤、お前だ。
『恋人』は恋人といるとき、最大の力を発揮する。
お前の影響で『恋人』をコントロールできなくなることを恐れたんだな。
だから、原田はハサミ女に、『赤い糸』を切らせたわけだ。」
「作者も、いきあたりばったりじゃなくて、それなりに考えていたんですね。原田兄が、原田妹になったのは、どうなんですか?あれも、説明なしだったじゃないですか」
「痛いところ付くな。ハサミ女のつぶやきの最後に、原田が妹の体を髪の毛残らず食べたとあるじゃろ。死体が見つからないのも伏線だな」
「そんなの誰も気が付きませんし、伏線だと思いませんよ」
「食べることにより、原田は妹一体化。わざわざ生の転生先を用意する必要がなくなったんだ。6人の女性が必要だったのは、別の体を作ろうとしたからじゃ」
「生である必要があるんですか?」
「この場合は、鮮度良いというべきかな。ゾンビみたいに朽ちたのは不味いだろ」
「原田は、そもそも何をしようとしていたんですか?」
「単純に、別の体を作り、そこに転生させようとしたんだな。転生の転は『運命の輪』、生は『恋人』が対応している」
「何で、『恋人』が生なんですか」
「『恋人』の図柄と意味を思い出せ。『恋人』はS○Xの象徴なんだ。S○Xといえば、子作りだろ。新しい生命の誕生だ。だから生」
「きの気のせいか、小野寺さんと原田は、S○Xしようとしていたように見えたんですが」
「その通り、S○Xしようとしていたんだよ。
お前の登場が10秒遅かったら、18禁になるところじゃったぞ」
「それは...いろんな意味で困ります」
「赤ん坊として、別の個体で生まれ変わらせるのであれば、生贄は必要なく、小野寺と原田のS○Xだけで良い。
そうすれば、優奈は原田と小野寺の子として転生した。
しかし、それだけでは原田は納得せず、成人としての肉体に転生させようとしたんだな。
そのために用意したのが、6人の生贄。
ただし、かなり無茶な転生なので、強力な触媒である生の優奈の体が必要。つまり、死体を食べる必要ですな。
整理すると。
原田の体に転生させるには、カードの力と、優奈の体を食べるだけでOK.
小野寺の子として転生させるには、カードの力と、小野寺とのS○XだけでOK.
成人の個体として転生させるには、カードの力と食べること、小野寺とのS○X、肉体用の生贄が必要」
「うん?小野寺さんのお兄さんは、どうやって生き返らせるつもりだったんですか。体は灰になっていると思うのですが。その場合は、遺灰を食べれば良いんですか」
「そんなの簡単じゃよ。原田兄は、小野寺兄を生き返らせる気なんてなかったんじゃよ」
第2章再編により、閑話を分離しました。
いろいろとすいません。