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第16話 儀式

「必要なものは、満月の魔力。『恋人』『悪魔』『運命の輪』のカード。そして、6人の少女の命」

 三人の頭上に、『恋人』『悪魔』『運命の輪』のカードが出現する。

「さぁ儀式を始めよう」

 司祭の女は、祭壇に立ち呪文を唱え始める。

 原田は、棺の少女に近づくと儀式用のナイフ手首を切る。手首から鮮血が流れ、床の魔法陣に落ちる。その血は、意思を持っているかのように、魔法陣をなぞるように流れる。

 次々と少女たちの手首を切る原田。

 全ての少女の手首を切ると、六芒星の中央に立つ原田と小野寺。

 そして、原田は自分のローブを脱ぐ。一糸まとわぬ姿になる原田。続いて小野寺のローブを脱がす。原田と同様に、一糸まとわぬ姿になる小野寺。

 見つめあう2人。

 

「ちょっと、待った」と近藤の礼拝堂に声が響く。

 礼拝堂の入口には、息を切らした近藤が立っていた。

「邪魔しないで!!」と小野寺が叫ぶ。

 その言葉に、凍りつき、落ち込む近藤。原田と小野寺、2人だけを見ると、どう見ても、邪魔者は近藤だ。

 しかし、落ち込んでいる暇はない。儀式を妨害すべく、魔法陣へ突進する。


(あのバカ、出るのが早い)

 天井に潜んで、狙撃するつもりだった清水が心の中でつぶやく。


「邪魔するな!!」

 原田の背後に、巨大な『悪魔』のカードの図柄が浮かびあがる。

「気をつけて。悪魔を召喚したわよ」

 天井に潜んでいた清水が声を荒げる。

 立ち止まる近藤。

 直後、悪魔のカードから火炎が放たれる。間一髪のところで避ける近藤。床に火が付かないところを見ると、魔法の炎のようだ。つまり、相手に手加減はない。

「たかが、剣の分際で、『悪魔』にたてつくつもりか。身の程を知れ、雑魚が」

 召喚した『悪魔』を近藤に向ける。

 その悪魔の姿は、カードの図柄と同じで、山羊の顔に蝙蝠の翼、女性の上半身に、男の下半身を持つ両性具有の悪魔バフォメットに酷似している。大きさの近藤の倍はあるだろう。

 再び火炎。そして、それを避けると、悪魔は鋭い爪で、近藤を襲う。

 その時、天井から伸びてきた茨が悪魔の体を縛る。茨の先には、清水の姿があった。

「弱い者いじめは止めなさい。相手をするのは私よ」

 対戦車ライフルデグチャレフPTRD1941を構えた清水が砲撃する。爆音とともに反動でよろめく清水。

 威力は強力で、悪魔の肩の肉を一撃で吹き飛ばす。

「くっ」

 繋がっている悪魔のダメージは、契約者のダメージにもなる。苦痛で顔を歪める原田。

「あの女はお前に任せた。おれは、この糞ガキを始末する。儀式はそれからだ」

 悪魔は、茨を引き裂くと、清水の方へ向っていく。ステンドガラスを破り、外に逃げる清水。外に誘導し、外で戦うつもり。悪魔は清水を追い、壁を壊し外へと向かう。


「原田さん。一対一だね」

「だれがそんなことを決めた」と原田が言うと、礼拝堂の奥、祭壇脇の扉が開き、首なしの怪物どもが20体程、出てくる。

 一方、近藤は動じない。

『剣よ!!』

 近藤が叫ぶと、近藤の影の中から大剣の柄が現れ、影の中から背丈ほどの大剣を引き上げる。

 そして、迫ってくる怪物どもを次々と始末する。

 ある時は、頭からの一刀両断。ある時は、一振りで3体もの怪物を上下バラバラにする。

 まはや、どちらが怪物か、判らない。

 またたくまに、原田の放った怪物は全滅した。

 ふたたび、原田が苦痛に顔を歪める。どうやら、清水が与えているダメージも、相当なものになっているようだ。

「原田さん。もう止めるんだ。これ以上は無駄だ」

 近藤が原田に迫る。

 小野寺が、原田と近藤の間に入る。

「邪魔しないで。彼のが成功すれば、次は私なの。私の願いが叶うの」

「そのために、何人を犠牲にするつもりなんだ。そんなの小野寺さんらしくない」

「バカ。バカ。バカ。私のこと何も知れないくせに。それとも、あなたが、私の願いをかなえてくれるの」

「何にも知らないし、君の願いをかなえることはできない。でも、助けてくれって言われたんだ」

「誰によ。私はあんたなんかに頼んでないわよ」

「君の兄さんにだよ」

「嘘よ。嘘よ。兄さんは死んだのよ。あんたになんか頼むわけないじゃない」

「信じるか、信じないかは君の自由だ。でも、お兄さんとの約束は守らせてもらう」

 そう言うと、近藤は小野寺を通りすぎて、原田へと歩む。

「原田さん。もう終わりだ」

「そうみたいだな」

 原田は床のローブを拾い、身にまとう。

「刀を持っていない相手は襲えないか。司祭!ナイフをよこせ」

 そう言われると、司祭の女は、儀式用のナイフを、原田に投げ渡した。床に刀が転がる。 

 一対一で、やるつもりだろうか。

 近藤は大剣を身構える。

「君は、ずいぶん、甘いな...最後に良いことを教えてあげよう。あの女を信用するな。所詮、俺と同じ人間だ」

「どういうことだ」

 原田は床にある儀式用のナイフを拾うと...ナイフで自らの胸に刺した。



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