表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/104

【赤い糸編】 プロローグ その1 

「ここは一体何なんですか。悪い夢でも見ているんですか」


 近藤信也は、異形の怪物が街を徘徊し、人間を襲うこの奇怪な世界について、黒髪の女に尋ねた。


「良く判ったわね。ここは夢の世界」

「夢の世界。夢か。そうだよな。こんなの現実なわけないもんな」


 ほっとして、緊張が切れたら、背中の傷が痛み始めた。


「それにしても、傷が痛いとは、ずいぶんリアルな夢を見るもんだよな。自分だけなのかな、それとも夢の中では痛みがないっていうのが、嘘なのかな」

「知らないわ。傷が痛いのは、半分現実だから。ちゃんと傷治療しないと、現実世界でひどい目にあうわよ」


 この女が言っていることの意味が判らない。夢だから滅茶苦茶とも考えられるが。


「何を言っているんだ。さっき、夢の世界って言ったじゃないか」

「ここは、現実の世界であり、夢の世界でもある、人々の思いが具現化する『あいの世界』」



 ◇ ◇ ◇ ◇


「ねぇねぇ、小野寺。『死の鐘』って噂、知ってる?」


 朝の教室で久保恵は、ミディアムヘアの可愛い友人である小野寺瞳に話しかけた。


「知らない。知りたくもない」と小野寺は目を閉じ、耳をふさぐ。


 小野寺が怖い話が苦手なことを知っていて、話しかける久保だ。

 こんなことで、話が止まるわけがない。


 久保から見ると、ここまで反応が良いと話がいがある。

 そして、小野寺は、弓道をやっている時は凛々しいのに、こういうところで、子供っぽい仕草をする。

 このギャップが、久保にはたまらない


「自分にしか聞こえない鐘の音が聞こえたら、もうすぐ死んじゃうんだって」

「どうして死んじゃうの?呪い」


 小野寺も怖いなりに聞いている。


「鐘の音が聞こえると、生きたまま死者の世界に連れて行かれて、殺されるんだって」

「......どうしたら、避けられるの」


 たいてい、こういう都市伝説には回避方法があるものだ。

 口裂け女ならポマード。ドラキュラなら十字架に、ニンニクだ。


「魔法を使うのよ。ポケットの中にタロットカードがあって、『カードの名前』を叫ぶと、魔法が使えるようになるんだって。それで怪物を倒すの」

「なんか、急にゲームみたい」


 小野寺は、急に怖くなくなった。


「でも、噂なんてそんなものでしょ。途中から、とんでもない回避法が追加されるのは。でも、話には続きがあるんだ」


 先程まで、耳を塞いでいた小野寺が聞き耳を立てている。

 久保は、小野寺を焦らす。


「生き残っても、死神が現れて、結局殺されちゃうんだって」


 ◇ ◇ ◇ ◇


「はぁ~」

 近藤信也は、演劇部の部室で深いため息をついた。


「先輩。好きな人ができたんですね」と後輩の山村美紀がツーサイドアップの髪を揺らしながら声をかける。

「えっ?」

「誰だってわかりますよ。私は、今恋患い中ですって顔してますもん」


 噂好きの人懐こい後輩。

 こいつに話したら...部活中、いや学校中に知られることになりかねない。


「そんなことないよ」

「先輩。嘘つくの下手なんですから。嘘ついても駄目ですよ」

「...」

「先輩。恋の悩みなら、私に任せてください。悪いようにはしませんから」


 その割にしては、いつも失敗してるじゃん。という言葉が頭をよぎる。

 しかし、彼女居ない暦=年齢の自分よりは、ましであることは間違いない。


「私の占いによると先輩のモテ期は幼稚園で終わっています。」

 山村は、近藤の手相を見て断言した。

「誰が、お前の手相占いなんか信じるか!!!」

「冗談ですってば、先輩。私、凄~く良くあたる占い師知っているんです。告白する前に行ってみては、どうですか?」


 山村に連れられ、試しに行ってみた。

 そこで得た答えは、

『僕と彼女は赤い糸で繋がっているということ。

 世界は、自分次第で変わるということ。

 そして、僕は新たなスタートラインに居るということ。』


 告白することにより始まると言う。


「運命の赤い糸ですよ。めちゃくちゃ良いじゃないですか?先輩の人生の中で、これ逃したら、次はないですよ」と山村が興奮気味に言う。


 それにしても、解釈が、どうとでも取れる答えだ。

 人生、初めての告白。

 乙女じゃなくても、人生の転換期なのは間違いないだろうけど。


 読んでいただき、ありがとうございます。

 設定・プロットをあまり書かずに長編を書いたのは初めてなので、修正が入りまくりです。

 知り合いに指摘された箇所を直したので、以前よりましになっていると思うのですが...

 良い点は残し、悪い点は直すように頑張っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ