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とても怪しいラブコメ短編集  作者: 流離の風来坊


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第三回目の講義:ダイオウイカ(異世界転生/転移)(歴史)

削除した楽屋ネタのオチが残っていますがお許しを。

 異世界から帰った勇者アレスは母校の医学部棟にある図書室に足を運んでいた。

 すると棚に変わったタイトルの英文本が置いてあった。分厚い本だ。


 どれどれ、発行は……英国アカデミー。えらい省庁が出した本だな。

 パラパラとめくってみると、いつしか専門外の本なのにのめり込んでいた。


「こ、これは面白い! せっかくだから紹介してみよう」


 彼は臨時で講座を任されており、いいネタが出来たとまさかの医学部で披露してしまった。

 異世界帰りの彼にとっては学生たちの前で90分間も専門を講義するというのが性に合わず、こういったネタを話すのが好きだった。


 アレス(日本名・櫻井誠(さくらいまこと))は二回の講義で好きなことを話して悦に入っていた。早くも頭の中には第三回目のネタが浮かんでいた。聴講していた学生らには全員に単位と最高評価を進呈してあげよう、そんな風に思っていた。


(でも三回も医学と関係ない講義をやっちゃうと教授(大学附属病院・院長)から叱られないかな)


 少し不安だった。すると後ろから女子学生が追いかけてきた。


「先生」

「やぁ、早乙女さん」

「先生の講義、他は退屈なのに、先生のは面白くて好きです」

「そ、そうかい(まぁ自分の趣味だし)」


「先生は小説を書いてみたいと思いませんか?」

「小説? いや、僕は書いたことがないし、書こうとも思わないけど」

「ふふ……、今夜空いてます? 居酒屋で小説のアレコレをお話しますよ」


「え……、研究所が閉まったら、その後は空いてるけど、小説?」

「はい、小説です」

「でも大丈夫かい? 僕だって男性だから、彼氏が居たりしたら申し訳ないよ」

「大丈夫です。私、もう結婚してますもの」


 これが僕と早乙女恋(さおとめれん)さんとの出会いだった。


 ちなみに僕は情けないことに下戸であり、大学生時代からお酒はサッパリ、従って合コンは付き合いで二回ぐらいしか行ったことがなかった。社会に出てからも飲み会は殆ど苦痛、来客との接待でも受けたくないのに上司から『行ってこい。酒なんか飲み続ければ慣れる』と言われ強制されていた。結局、下戸のまま今に至る。


・・・・・

・・・・・


【第三回目の講義:ダイオウイカ】


ダイオウイカの非公式最大全長は27メートルだったそうですが、

見た感じはもっと有りそうな気がしています。


挿絵(By みてみん)

↑ カナダ・ニューファンドランド。全長27メートルのヤツ


正式な最大記録では19.8メートルです。それでも驚愕な大きさです。


マッコウクジラのところで書きましたが、

ダイオウイカなどの巨大な軟体動物は自身の遊泳力だけでは体を支えきれない事が多く、海底へ沈降していってしまいます。


魚類と違ってウキ袋のない軟体動物たちは比重の違う液体を体にまぶし、

主にアンモニア(塩化アンモニウム=濃塩酸+アンモニア)で

体の中を海水と同じ密度にして海水と吊り合わせて浮いているのですが

素早い動きが出来ないと推測されています。


エサを取るのもキツイですから、なかなか巨大になれないのに加え、

存在すること自体が微妙に難しい生命体です。

実際にダイオウイカの生態は分かりませんのでピューピュー泳いでいるかもしれませんが。

(その後、素早い動きをすると言う科学者の調査発表がありました)


つまり存在自体が不思議なれっきとした怪物です。海は広くて深い…


イカの刺身やスルメイカの味をイメージする人が多いですが、

体内のアンモニアの影響が大きく無茶苦茶マズイそうです。


一方、海には巨大な軟体動物がいるのに、池や川、湖にはいません。

淡水では浸透圧というものが大きすぎて”バランスを保つ事”が難しいです。

簡単に説明すれば、真水がどんどん体の中に入ってきて細胞が壊れてしまうわけです。


もっと簡単に言えば「水ぶくれになっちまうぜ…」って感じ。(←解りやす過ぎるか……)


骨格もなく、体に体液を送る血管みたいなものも貧弱という巨大軟体動物の限界ですネ。

サケ類は海から川に入るのに約1ヶ月半も河口域で体を慣らします。エラも血管もフル稼働。


そもそも淡水のエリアに巨大なイカやタコ、クラゲ(←小さなモノはいます)が存在していれば、ドラクエをはじめとする異世界の環境に対する議論は別の展開になっていたでしょう。


血管様組織が最も発達しているのはタコね。軟体動物界のエリートです。

だから軟体動物なのにエイリアンみたいに賢く、八本の腕を自在に操れるのです。腕の付け根に八つの脳があるだなんてビックリですよ。


●専門機関の鑑定が違ったと言う恐るべき漂着死骸の事例


【タコ+クジラの鑑定だった謎の死骸!】


海岸にはたくさんの漂着死骸が存在します。

大きなモノはニュースになったりしますが、極めつけのものは

タコとクジラという異なった鑑定が出されたもの。

おおっと! スゴイッ。


挿絵(By みてみん)


1894年、フロリダのセント・オーガスタンの海岸に打ち上げられた

漂着死体はとても大きく、ほとんどが砂に埋まった状態のものでした。


挿絵(By みてみん)


一部を掘り出したところ、10m近いタコの足が出てきたそうです。

吸盤もあったそうです。


「なんて、巨大なタコなんだ!」


生存時は30mは有ったと推定。


鑑定は海軍海中調査研究所。


ただ、全体を掘り出せなかったので、肉塊の一部をサンプルとして保存する為

大学へ送りました。そして、そのサンプルをたんぱく質鑑定法で分析したところ、

鑑定結果がクジラでした!


鑑定はイェール大学の動物学教授アディスン・ヴェリル博士。


なんと! 二つの専門機関の鑑定が違っている!!

軟体動物のタコと哺乳類のクジラは、成分が全く異なる! なぜだぁ!


結局、正体は不明のままでした。

     ↓

10mもの足を持つ巨大なタコの存在は確認されていませんが、

このたんぱく質比較鑑定の結論(タコ+クジラ)は、一応説明がついています。


海中で格闘になったマッコウクジラと巨大タコがお互いに絡まったまま

死んでしまい、同時に海岸へ打ち上げられ砂に埋まったという推測です。

タコは世界中に250種類ほど居ると推定されていますが、軟体動物の宿命で

分類が難しいです。甲羅などの固い部分があると判別しやすいのですけどね!


今回のタコの大きさは、吸盤の大きさが約30cm。体長約30m。体重20トンと推測されていました。


デカイ!



<最大体長と、平均体長>


最大体長と平均体長は別物です。

書物に載っているものの体長は平均体長。


人間の最大体長(身長)でも以下の例があります。

ひとでも大きさに差が出ますよね。


1936年、2m75cmの身長を誇ったロバート・ウッドロウさん。

アメリカ・イリノイ州。22歳で亡くなられました。

成長ホルモン異常と思われます。

ホルモンの異常というのは、かなり厄介で全体のバランスを壊します。


22歳で亡くなったロバート・ウッドロウさんは、ホルモン異常から、

あらゆる合併症を起して亡くなられたという資料が残っています。


人間についてはコメントがしにくいですが、22歳はあまりにも早い…。

さて、次回の講義は何にしようかな。


シーラカンスか

発見者のラティマーさんの正確なスケッチ、絵のセンスが輝く!!!

挿絵(By みてみん) 挿絵(By みてみん)←怪しい笑いが挑戦的

NHK(日本放送協会)報道局科学文化部Oさん有難うございました。


漁船と同じぐらいデカいカジキとか

船員の竹本さんがドローンで撮影して送ってくれたもの。

挿絵(By みてみん)


日本最後のトキのキンちゃんとか

キンちゃんの羽。佐渡市役所の封筒だよ!

挿絵(By みてみん)


あのディズニーさんから画像の使用許可を貰った話とか


水族館のお姉さんとか(男性読者向けサービス)

挿絵(By みてみん)


知らないことが一杯でしょ?


・・・・・

・・・・・


 櫻井は講義を終えてから研究所の仕事も終了。待ち合わせである居酒屋に向かった。

 僕の講義が早乙女さんの何に刺さったのかは分からないけど、小説を書くのは面白いよと言われた。どうやら彼女は自分で作家の卵を発掘し、育てたいのだという。すでにご主人は作家の道を歩まれているそう。


「ふふ、先生、小説の事、好きになっちゃいました? 夜遅くまで付き合ってくれてありがとうございました。もし小説を書くのだったら、私に声を掛けて下さいね。それじゃ、おやすみなさーい」


「ああ、おやすみ。また大学でな」


(そうか、僕は異世界帰りだから、そういうのをネタにすればいいな。僕が元勇者アレスだなんて誰も信じやしないし、隠しているだけでもストレスを感じるし、小説でフィクションとして発散するのも良いかもしれないなぁ)


 居酒屋から帰宅して、早乙女さんにメッセージを送った。

 ただ櫻井は酔っていた。


「僕も(小説)大すきだよー! すごく君は積極的だったね。お兄さん参っちゃったよ。夜遅くまで付き合ってくれてありがとう。少し飲んだだけで僕は酔っぱらっちゃって、ごめんね。ふふーん、お詫びに今度『恐怖の味噌汁』って怖い話をしてあげるよ。楽しみに待っててね」


 まさか、このメッセージの冒頭が早乙女さんの旦那さんの目に留まり『NTRか!』とひと騒動あるとは全く思いもよらなかった。

 妻の(れん)がシャワーを浴びている間にスマホを見た俺はショックを受けていた。


「な、なんでだよ、恋。『僕も大すきだよー! すごく君は積極的だったね。お兄さん参っちゃったよ。夜遅くまで付き合ってくれてありがとう』だなんて


 一体誰からのメッセージなんだよ! 恋、どうして浮気なんか……俺がこんなに愛しているのに……ちくしょー。悔しすぎる……」


 NTR物を書きすぎて書けなくなった恋愛小説家。たった今も純愛物語の執筆に挑戦していた彼は、今夜も枕を涙で濡らすのであった。

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