第8話.七狂星と禁断の秘宝「バニー・アーマー」
ルーン聖王国の王宮食堂。
そこには、かつての王族が愛用した華美な装飾を
あざ笑うかのような、張り詰めた沈黙が流れていた。
三十人のメイドに囲まれ、優雅にティータイムを楽しむ一人の女性
――四天王最強・火のレナード。
眼鏡の奥の瞳は常に理性的で、オフィスのお局様を思わせる
隙のない佇まいだが、彼女を怒らせることは「死」よりも残酷な結末を意味する。
「……やはり、三次元のスイーツは四次元にはない深みがありますわね」
レナードはスプーンを置き、冷徹な声で呟いた。
「ですが――このプリン、零点二度ほど温度が高いですわ」
その瞬間、召使たちの顔から血の気が引いた。
「も、申し訳ございません! つい……!」
「つい?」
レナードが震えるシェフに向かって、優しく息を吹きかける。
刹那、食堂は絶叫に包まれた。シェフの身体が内側から発火し、
灰すら残さず一瞬で消滅したのだ。
「今日の私の気分を、これ以上下げないでくださいませ」
そこへ、血相を変えた水のジャンが飛び込んできた。
「そんなに息を切らせて、アオイの残党にはてこずったのですか?」
「いや、そうじゃない。ザックの野郎がやられちまった」
「ふーん、それで?」
「俺とフォーンは、アオイの残党を掃討し、その帰り道で
奴らの本拠地を攻めたんだが、フォーンまでもが同じ奴にやられた」
「なるほど、強いのですね」
「とんでもねー奴だ。どうしてか分からねーが、
やつはザックとフォーンのスキルを使いやがる。それに……」
「それに?」
「そいつと一緒にアオイらしき女がいやがったんだ」
「なに、アオイですって?」
「本人はアオイではない、アカネだと名乗っていた
しかし、あのエーテルはアオイそのものだった」
「そちらの方が、由々しき問題ですね。
なるほど、対アオイに向けて四次元から呼んだのですが、
こんなに早く、活躍の場が訪れるとは、彼らも喜ぶでしょう」
「彼ら?」
「私達、4人と一緒に大王に刃を向けた3人です。
かつて、七狂星と呼ばれた私たちの連れよ」
「あいつら、大王につかまっていたんじゃないのか?」
「狂犬のお陰で、警備が手薄になったところを脱獄させたのよ」
「そいつはスゲーや、ザックとフォーンがいなくなったが、
その数十倍の戦力強化だ。アオイにも勝てるかもしれない」
ジャンの報告を聞き、レナードは僅かに眉を動かした。
エーテル質量がアオイと同等。それが事実なら、事態は「現場のミス」では済まない。
「さらに、この星系ごとデリート可能な巨大戦艦も回航させていますわ」
レナードは冷たく微笑んだ。
「明日、その不快な劇場ごと、終わらせてあげましょう」
◇
一方、嵐の前の静けさを取り戻した教会。
舞台裏では、マリアが「犠牲者が出なかった奇跡」に涙し、
セシリアは疲れ切ったマリを愛でながらウヒウヒと不審な笑みを漏らしていた。
「さて、軍資金も集まったことだし。
明日、本格的に王宮を略奪……いえ、奪還しに行くわよ!」
アタシは山積みの金貨(略奪品含む)を数えながら宣言した。
「そうか!その金で新しい武器とか買ってくれるんだよね!?」
トウマの甘い期待を、アタシは一秒で切り捨てる。
「なんで? これ、アタシの老後資金。全額貯金よ」
「サーヤ様、相変わらずの守銭奴ぶりで、安心しました。
皆さんには博士から預かった『最強装備』がありますから、ご安心を」
アカネが取り出した箱に、マリアやアルたちが目を輝かせる。
だが、博士の「マッド」さを知るアタシとトウマは、嫌な予感しかしなかった。
「……ねえアカネさん。これ、防具っていうか、ほぼ下着じゃない?」
箱から出てきたのは、目を疑うような代物だった。
「マリア様専用装備、**『聖兎の法衣』**です。
全身網タイツとヘッドギアにより、大気中のエーテルを最大効率で吸収します」
「……私、これで戦うんですの……?」
「マリ様専用、『潜水型神装(スクール水着)』。
そしてセシリア様専用、『慈愛の白衣』。
防御力は保証します。肌の露出面積と魔法障壁の強度は比例する
……というのが、博士の理論ですので」
「「「嘘だぁぁぁぁ!!」」」
悲鳴を上げる女子陣を無視し、アタシはニヤリと笑った。
「いいじゃない、博士。
……アカネ、これならフィギュアの売上、さらに三倍は跳ね上がるわね!」
「サーヤ様は、やはり天才(強欲)ですね」
「さあ! 作戦も決まったし、新装備での3D撮影(金稼ぎ)をするわよ! ソウザ、レフ板持って!」
絶望に沈むトウマと、恥じらいに顔を赤くするヒロインたち。
聖王国奪還作戦は、もはや誰も止められない「カオス」へと突入していた。
第8話、ご視聴ありがとうございます!
ついに真のボス(?)レナードが登場しました。プリンがぬるいだけで消滅させられるシェフ、不憫すぎます……。さらに四天王を超える「七狂星」まで参戦決定。物語の規模がどんどんインフレしていきます!
一方、サーヤ一行は博士からの「贈り物」で大変なことに。 マリアのバニー、マリのスク水、セシリアのナース……。 「博士、グッジョブ!」と思った方は、ぜひ【☆☆☆☆☆】で応援をお願いします! その評価が、次回のフィギュアのクオリティに直結します(笑)。




