7.【悲報】伝説の兵器を見つけた直後、帝国軍に完全包囲された件
小惑星に逃げ込んだ二日目の朝。
アタシたちはデッキで遅めの朝食をとっていた。
あの日以来、元気をなくしていたアカネも今朝は完全に復活していた。
……ただ、復活の仕方が斜め上すぎた。
なぜか完璧なメイド服に身を包み、アタシの背後で一分の隙もなく控えているのだ。
「サーヤ様。スクランブルエッグの焼き加減は、
心拍数から割り出した本日最適な『ふわとろ比率4.2対1』で仕上げておきました」
「あ、ありがと……(有能すぎて怖いわよ)」
ボクっ娘のユーリと違い、アカネは育ちの良いお坊ちゃまに見える。
そんな子がメイド服を着ているのは、女性のアタシから見ても
何やら背徳的というか、もやもやした熱を帯びてしまう。
「おい、二代目! 面白いことが分かったぞい! 」
アタシの不純な妄想を、格納庫からのロク爺の通信がぶち壊した。
昨夜、エリカと泥酔していたはずなのに、この爺さんは元気すぎる。
「ドッグの通信履歴を洗ったんじゃがな。
ここは250年前に消えた伝説の[タイガー海賊団]のアジトじゃったらしい。
奴らの専属科学者、マッドサイエンティストの『サトル・イワサキ』を覚えとるか? 」
<< ピューーっ! >>
「あの『全銀河指名手配』のイワサキ博士じゃねーか」
声の主は、いつの間にか起きてきたエリカだ。
赤髪をポニーテールに束ね、寝ぼけ眼ながらも立っているだけで絵になる。
「そうじゃ。奴らは逃げ出す際、あまりに急で『自慢の玩具』を置いていった形跡がある。
ユーリ、お前の出番じゃぞ」
「マジ!? ボク、絶対に見つける! 」
武器オタのユーリが椅子から飛び上がる。
その時、アタシの隣でコーヒーを淹れていたアカネが、静かに一歩前に出た。
「私も協力いたします。……サーヤ様、少しお耳を汚します」
アカネが食堂のコントロールパネルに指を触れた瞬間、
パネルのライトが狂ったように点滅した。その指先は、もはや残像すら見えない。
「――成功です。見取り図を展開します」
モニターに浮かび上がったのは、ドッグの見取り図。
「ここが一番深い。……いえ、ドッグの最下層に、次元の隙間に隠された『隔離部屋』があります」
「アカネ、アンタいつの間に……」
「キャリー様。貴方の『千里眼』の力を、
私に一瞬だけリンクさせていただけますか? 」
アカネがキャリーの手を握る。
その瞬間、キャリーが「あ……っ!」と短い声を漏らして目を見開いた。
「キャリー、何が見えたの!?」
「二代目、これ……すごいです。
脳内に直接、数百年前の映像が流し込まれてきて……!
確かにここに、イワサキ博士がいました。そして、最下層の金庫の中に……」
キャリーが息を呑み、震える声で続けた。
「金色と紫に輝く、二丁の銃。……あれが、全銀河を震え上がらせた最終兵器」
「ウルティマウェポン……」
アカネがポツリと呟いたその名に、デッキの空気が凍り付いた。
「アカネ、そのウルティマウェポンってまさか……」
「はい、サーヤ様。イワサキ博士が発明した
『マイクロ・ブラックホール』を連射する、論理破綻の最終兵器です。
一度引き金を引けば、射線上の小惑星帯ごと銀河の3分の1が消滅する。
帝国が最も恐れ、そして欲しがっている遺物です」
「……ちょっと待って。
そんなヤバい代物、オークションに出したらいくらになるの? 」
アタシの目が『金』の形に光る。
だが、アカネの返答は冷ややかだった。
「売る前に、人の手に渡ったら全生命体が消滅します。
……そして、残念なお知らせがもう一つ」
アカネが何か重要なことを言いかけた時、
エリカの横で千里眼を働かせていたキャリーが、突然上を向いたまま固まった。
瞳が激しく左右に動いている。
何かが近づいているらしい。
「……帝国軍、来ました。……いえ、もう『そこに』います」
「は!? 距離は!? 」
「逃げられません、二代目! ドッグの周囲一帯が、
帝国艦隊の『重力檻』で完全に封囲されました!
出口は……どこにもありません! 」
ドオォォォン……!
小惑星全体を揺らす激しい衝撃。包囲網からの威嚇射撃だ。
せっかく手に入れた伝説の武器を前に、アタシたちは袋のネズミ。
「……アカネ、アンタなら、これどうにかできる? 」
アタシの問いに、アカネはメイド服の裾を優雅に整え、不敵な笑みを浮かべた。
「はい。一つだけ、物理法則を無視した『脱出口』をご用意できます。
……ただし、サーヤ様。これからは少しばかり、
ハイカラな学園生活を楽しんでいただくことになりますが」
「……は? 学園? 何言ってんのよアンタ!」
最強の海賊、ついに伝説の禁じ手を発動! 行き先は――5,500年前の「魔法学園」!?
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