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第16話.凍てつく刻と、黄金の覇道

 ここは、大聖堂の法王の間にある小部屋。

魔眼によりマリアの様子を見ていた法王は

何が起こったのか分からず、一人唸っていた。


 銀河最強の暗殺者ソウザが、どこかへ連れ去られた。

魔眼で見た映像を水晶でプレイバックしても、

映像には何も映っていない。


「ジュノー、あなたが行って皇女の命を奪ってきなさい」


 法王の傍らに立っていたジュノーが膝をつき、静かにうなずいた。



「なるほど、視線を感じると思えば、

こんなところから覗かれていたのですね。

サーヤ様にご迷惑をおかけする前に、私が排除致します」


「お前は……ドラゴンを倒したメイド!」


「なぜ、それをご存じなのでしょう?

あとでゆっくりと、お話を伺わなくてはなりません」



「飛んで火にいる……です。

ジュノー、戦いやすいようにしてあげます」


 突然、法王の間が紫色の空間に囲まれた。



「このメイドには四次元魔法を使いなさい」


「ははっ。仰せのままに」


 ジュノーと呼ばれた男が、懐から聖杯を出し呪文を唱えた。


「「 極大魔法、磁場増大 」」


 アカネの周りに磁場が集中し、空間が歪む。

頑丈な大聖堂の床はきしみ、悲鳴を上げはじめた。

ついには、アカネが片膝をついて動けなくなった。



 アカネはデータにない魔法を目の当たりにして混乱していた。

おそらく重力制御魔法なのだが、魔力の源が分からないのだ。

じわじわと見にかかる重力が増していく。


 徐々に押され始めるアカネ……。



「「 マジックキャンセラー! 」」


 3人のほか、誰もいるはずのない部屋で魔力が発動した。

結界の中に立っていたのはグリグリメガネのキャリーだ。



「キャリーさん?なぜこの結界に……?

しかも、あなたが敵だったとは!」


 ジュノーが驚き、少しだけアカネにかかる重力が軽減される。

その隙をついて、アカネが時間結晶を展開した。


 ジュノーとキャリーの時間が止まった。

この部屋で動いているのは、アカネだけだ。


「サーヤ様に連絡を取らねば!

その前にコイツらを四次元に飛ばさなければなりません」



 アタシはソウザをアカネのところへ引っ張っていったら

ブースの前で突然視界が変わり、空間転移の渦に巻き込まれた。


 気が付くと、知らない部屋に運ばれた。

目の前ではアカネが誰かと戦っている。

キャリーも敵の後ろに立っているようだ。


「アカネ!これどういうこと?」


 どんな時も冷静なアカネが息を切らしている。

アタシは尋常ではない状況であることを、一目で把握した。


 アカネは戦いの中で時間結晶を使ったようだ。

敵とキャリーが止まっている。


 しかし、アタシとアカネ以外動けないはずの世界で、

もう1人、法衣を来たオッサンが、こちらに向かって歩いてきている。



「さすがは、ドラゴンを倒しただけのことはあります。

しかもジュノーまでも戦闘不能にするとは驚きです」


「このおっさん、時間結晶を持っているのね」


「うるさい!雑魚は後で料理してあげますから黙っていなさい。

私が怖いのはこのメイドだけです」


 法衣のオッサンは、虫けらを見るような目でアタシを一瞥し、

アカネに呪文を飛ばした。



「「 四次元極大魔法・ディメンションフリーズ!! 」」



 次の瞬間、アタシの周りで動いていた僅かな時間が止まった。

時間結晶を持ち、時間影響をうけないはずのアカネが止まっている。


「もうこのものが動くことはない。

お前もこれからメイドのところへ送ってやる」


「アカネ、どうしたの?動いて!

アンタ、アタシのメイドでしょ」


 それでもアカネは動かない。

あの無敵なアカネが……、いつも無茶を可能にするアカネが……。



「よくも、アタシの相棒をやってくれたわね」


アタシは生まれて初めて、他人のために本格的にキレた。

これまで、自分ファーストで、自分のために怒ってきたが、

今日このときは、本気でキレた。


アタシの視界が赤く燃え、髪が逆立ち、耳がエルフのようにとがっていく。

全てのエーテルはアタシに集まっていく、同時に力がみなぎる。



「そ、その覇道エーテルは!」


法王の顔の表情が変わった。

ソウザの時と同じだ。


アタシの顔を見るなり、法王が力なく、ひざまずく。

ただし、ソウザと違うのは、法王の表情は恐怖ではなく、

懐かしい、慈しみを持った表情で涙を流していた。


「サ、サラ様……。

間違いない、貴方様はサラ様の生き写し。

あの狂犬とサラ様の御子に違いない」

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