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第13話.聖都品評会――海賊たちの潜入と略奪(ビジネス)

 「本日は、聖王国の第一皇女・マリア様がお成りになります! 」


大鐘楼の響きと共に、厳かな旋律が聖堂を揺らし、天からは清浄な花びらが降り注いだ。


ルーン聖王国の至宝、そして聖魔法学園理事――マリアが姿を現すと、

会場の空気は一変し、張り詰めた緊張感が彼女の気品をより一層際立たせる。



 聖魔法学園・品評会フェア

それは、王族や正教会の重鎮のみならず、

優秀な「駒」を狙う軍部や冒険者ギルド、そしてあわよくば

富を掠め取らんとする商人が蠢く、欲望の闘技場でもあった。



「マリア様、本日は法王こそ不在なれど、教皇マクベスが列席しております。

どうかご警戒を」


「望むところです。私を地球に送り込んだ張本人ですからね。

今日もネチネチと攻めてくることでしょう」


 第一皇女であるマリアが地球の魔法科学園へ留学したのは、

2つ理由があった。


 1つ目は、聖王国内で巻き起こる『国王派 VS 法王派』の渦中に

巻き込まれないため。

 もう1つは、法王派によりルーンの英知であるマリアを本国から

遠ざけるためでもあった。



一方、正教会の貴賓席。

マクベス教皇は、傍らに控える「新顔」の少女に目を細めた。


「その者は、見ない顔ですね」


「はい、先日、帝国の正教会支部から参ったものです。

とても淑やかな顔立ちをしておりますが、ホーリーナイト、

しかも聖騎士団長のダンを瞬殺する腕前でございます」



「な、なんと。その歳でか?まだ15,6歳であろう。

本当に聖騎士武闘会で何度も優勝したあのダンが負けたのか?」


「はい。瞬殺だったと聞いております」


「名は何というのじゃ?」


「キャサリンと申します」


「良い名ですね。あなたに神のご加護があることをお祈りしています」


「ありがたき幸せ」


そういうと少女はグリグリメガネを、くいっと持ち上げた。



「今日の品評会は二重、三重の罠を設けました。

王族の名を地に落とし、あわよくばマリア様のお命も……」


「これ、はしたない。我々は神にお仕えする身です。

せめて、主の元へお導きさせていただくと言いなさい」


「はっ、それでは早速準備にかかります」



 品評会の会場は、主会場と副会場に分かれている。

主会場では、大聖堂のスペースをいくつも区切り、

小さなブースに発表をする者たちが出展している。


ある者は聖魔法科学の研究発表を、

ある者はポーションなど薬品の発表を、

またある者は聖魔法を芸術として発表していた。


アタシ達、留学生トリオのブースは、芸術エリアに出展。

入口から近い所をうまく確保できた。


「ねぇ、本当にこの格好でビラを配るの?

ちょっとスカートが短くない?」


「いいのよ、これが『デフォ』なの。

羞恥心を捨てなさい、マリ。それが金貨に変わるんだから!」


そういうと、アタシもマリとおそろいのメイド服に着替えた。



「ムフフ、本当にルーンに来た甲斐があったわ。

伊集院さん、シェンカーさんと一緒に画像を取らせて下さい」


「だめです!うちのタレントの撮影は禁止です。

画像が欲しいなら、是非、お買い求めください」


「関係者もダメなの?ねぇシェンカーさん、

このメイド、いやマネージャーさん厳しすぎない?」



「いいわね。アカネ、アンタその役が似合ってるわね」


「ありがとうございます。サーヤ様。本日はお二人を、

ルーンで最も高価な『お宝』として売り込んでみせます」


 アカネが、今日はスイッチが入ったようにやる気に満ち溢れている。

マネージャーというよりもプロデューサーだ。



 副会場のセレモニーが終わったようだ。

ここから主会場にどっと客が流れ込んでくる。

どのブースも臨戦態勢になり、開場の時間を待った。


「それでは、今日の作戦を確認するわよ。

まず、アタシとマリは、入口でビラ配り」


「分かったわ。恥ずかしいけど頑張る」


(可愛い、そのけなげな姿がファンを生み出すのよ)



「セシリアとアルは、執事としてお茶の給仕ね!

聖魔法学園随一の美形コンビが給仕するカフェ……。

これこそがアタシの考える『愛の永久機関・無限課金システム』なんだから!」



「任せて、シェンカーさん!」

「やっぱりボクもやるのかい?」


「当り前じゃない。セシリアだってクラスのために

頑張っているのよ。アンタも頑張りなさいよ」


本当はセシリアは、クラスのためなんかじゃなくて、

マリとアタシのブロマイドを報酬でもらえるから

自分の欲望のために頑張っているのだ。


「アルくん、一緒に頑張りましょう」


「は、はい、リーズさん」


アルはセシリアに弱い。

セシリアさえ、支配できれば、このイケメンは使い放題よ。


プラチナクラスの他の女生徒も

このイケメンと働きたくて、自主的にカフェで働いてくれる。


これこそが、アタシの考える愛の永久機関、無限課金システム。



「それでは、皆さん……カウントダウンです!」


「「 3、2、1、開場でーーーす! 」」


<< パチパチパチパチ >>


会場から一斉に拍手が鳴り響き、品評会の幕が開いた。



さぁ、ルーンのお金持ちたちよ、かかってらっしゃい。

アタシが四次元海賊の恐ろしさをみせてあげるわ。

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