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第8話.聖都ルーン上陸――甘い飴玉と四重の監視網

 いよいよルーン聖王国に向けてアタシ達の乗った豪華客船が航路を取った。


 マリとセシリアは、バビロニアのガチャで手に入れた

各々の推しのお守りを身に着けて満足そうな笑顔を見せていた。



『その推しが出るまでにいくら費やしたのか?』


 アタシは想像もしたくないが、本当の意味で笑いが止まらないのは、

ルーン正教の関係者だろう。


「サーヤには、この荒ぶる神、アレースをあげる」

「ユーリちゃんには、技術をつかさどるプレメテウス」

「アカネさんには、知恵の神、アテナを差し上げますね」


2人は余ったお守りをアタシやアカネ、ユーリにいくつか渡すと、

教会の前で子供たちに配って歩いていた。


その姿は布教活動をするルーン正教徒そのものだ。

おかげで2人はルーン正教の準会員までなっていた。



「皆様、長時間にわたる長旅、お疲れさまでした。

当船はまもなく惑星ルーンに到着いたします。

船が到着しましたらすみやかに入国審査をお願い致します」


 船内に到着を告げるアナウンスが流れた。


◇ ◇ ◇


 白亜の塔が天を突き、無数の鐘の音が空気を震わせる。

ここがルーン聖王国――神の慈愛と、底知れぬ欺瞞が同居する聖地だ。



 アタシ達は、専属メイドを入れると10人以上の団体だ。

こういった団体は審査に時間がかかるのだが、ルーン聖魔法学園との

交換留学生ということもあり、入国審査はスムーズに執り行われた。


「セシリア様、マリ様、お待ち申し上げておりました」


 入国ゲートをくぐると、人のよさそうな

白装束に身を包んだ老人たちがプラカードを掲げている。


「な、なに?あれ?マリ、旅行代理店でも呼んでいたの?」


「いいえ、どなたかしら?私にも分からないわ」


 プラカードを持った老婦人がニコニコしながら近づいてきた。


「驚かせてごめんなさい。わたしたち正教会のものですのよ。

実はバビロニア支部から、お二人が今日到着すると聞いたもので」


「あぁ、みなさんは教会の方でらしたか」


「バビロニアでは正教会のために、ご尽力いただき

本当にありがとうございました。

私達、おじいちゃん、おばあちゃんですが、

お手伝いできることがあれば、何でも言ってくださいね」


そういうと、アタシ達1人1人に飴をくれて、立ち去っていった。



「お、おじょうさまーーーー」


「次は何よ?ルーンって国は騒がしいわね」


「セシリアお嬢様、長旅、お疲れさまでした。

皆様をお迎えに参りました」



 次に現れたのは、リーズ家の紋章を胸に刻んだ老執事。

その背後には、豪奢を極めた馬車が控えている。


「じい、あなた、こちらに来ていたのですか?」


「はい、セレスから旦那様に連絡があり、

お嬢様にご不快な思いをさせてしまったことを謝罪されたようです。

それで旦那様がご心配になり、私に命令が下りました」


「あぁ、あのこと……」


 セシリアが急に元気をなくして肩を落とした。



「まぁまぁ、皆様もお疲れの事でしょう。

明日、学園寮にお入りになる前に、ぜひ今日は

リーズ家の別荘にお泊りください」


 執事がセシリアの雰囲気が変わったことを察知して、

アタシ達を馬車方へ誘導した。


「私達ホテルを取っておりますので……」


 マリが遠慮する口上をしかかった時、

アタシがそれを遮って前に出た。


「ありがとうございます。

ぜひ、そうさせてもらいますね、ほほほほ」


「何を、私達はメイドの分も含めて……」


「いいのいいの。たまにはメイドさんにも

羽根をのばさせてあげなさいよ。

ね、マリのメイドさんたちは、今日はホテルでゆっくり休んでね」


「あ、ありがとうございます」


「それもそうですね。ずっと旅の最中は私の面倒を

見てくださったんですものね。サーヤは本当に気がまわるのね」



「(アカネ、聞きなさい。アタシ達の部屋のキャンセル分は、

キャンセル料金をしっかり回収しておきなさいね)」


「(はい、かしこまりました)」



「相変わらず、二代目は抜け目がないな(笑)。

じゃ、ボクはここから別行動をするね」


「ユーリ、アンタはどこにいくの?」


「ルーンに着いたらやることがあるだろ?」


「そうか、博士の宝箱を探しに行くのね?」


「それは二代目の仕事だろ。

ボクはルーンにいる伝説の武器職人に会いに行くんだ」


「アタシの手伝いは?

四次元の家に帰るために博士の宝箱は必要なの」


「いやいや、それは二代目の財布につながる話だよね。

それに前の船長の方は、エリカとキャリーが向かってるしね。

じゃ、アカネ、二代目の事は任せたよ」


「はい、命に代えて」



「なに、あのデコボココンビ、ここに来てるの?」


「昨日、エリカ様から連絡が入りました。

地球からの直行便で、ルーンには1週間前に入ってたそうです」


「それじゃ、あのセシリアって人が来る前に消えるね」


そう言い残すと、ユーリはぴゅーっと、人込みに消えていった。



「あぁぁぁぁ、ユーリちゃーーーん」


ユーリがいないことに気が付き、宇宙港に、こだまするセシリアの声。

その声は瞬く間に雑踏の雑音に消されていった。



その雑音の中に怪しげな声も混ざっている。


「おい、例の集団がついたぞ」


「1人、小僧が集団から離れたが、本命は残ったままだ。

これからリーズ家の別荘に向かうようだ」


「要注意人物だ、くれぐれも目を離すな」

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