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第7話.バビロニアの誘惑――ガチャの加護があらんことを』

「街の往来で、何事ですか?」


 通りの騒動を耳にして、現場に現れるセレスの政務官ジル。

彼は帝国貴族の一等書記官。当地の治安と政治を補佐するために赴任している。


「私の名は、セシリア・リーズ。帝国のリーズ家のものです」


「ほう、伯爵家のお嬢様がこのような地でどうされたのでしょう?」


「政務官殿、この馬車をご覧になってください。

今年は不作で税が取れないからと言って、農民たちが奴隷のように

折に入れられているのです」


「はい、そのようですね」


「さらにこれから、税の代わりに魔力を吸い取られようとしているのです」


「セシリア嬢のおっしゃっていることは事実ですか?」


「はい。今年の村の税収は3割も減っています。

そのため帝国の法令により、魔力を納めさせるところです」



「セシリア嬢、これをご覧ください」


「これは昨年の帝国議会で決定した事項です」



『決議事項:2-35 

 納税ができないものは、魔力を持って税として納めること』



「ま、まさか、このようなことが」


「はい、これが事実なのです。

そして、これがその決議の署名です」


「確かに帝国の紋章が押されているわ」



 アタシはセシリアの横で書面を見てアカネにそっと耳打ちをした。


「(アカネも見て)」


「(おかしいですね。あの紋章……魔力式の周波数が

0.2ヘルツほどズレています。偽造品ですね)」


「(……やっぱり。帝国本国の紋章なら、

偽造防止の『魂の刻印』が入ってるはずだもんね)」


 そこに押されている紋章は、

先日、アタシが受け取った『海賊ライセンスはく奪』の通知で、

推されていたものと明らかに違っていた。


この場にいる者はその事実に気が付いていない。



「セシリア嬢、私も個人的に帝国の騎士道を誇りに思っています。

しかし、騎士とは帝国を守る者。帝国が決議したことには逆らえません」


「そ、その通りです」


「ですが、少しばかりの慈悲は許されるでしょう。

皆さんの鎖を解いて、折から出しなさい」


「おらたち、外に出ても、よろしいのですか?」


「構いません。ただし、法は法。

身体を壊さない程度に魔力は取らせていただきますよ」


 政務官たちに連れられて、農民たちは歩き出した。

ジルもまた、国と騎士道の板挟みに苦しんでいるのであった。



「こんな、こんなことが許されるなんて」


 肩を落とすセシリア。

セシリアを励ますために、マリが気を使って食事に誘った。

いつもなら、フガフガいいながらついてくるセシリアだが

さすがに今日は大人しい。


「あなた地球人ですね。残念ですがお断りします」


 みんながマリを見るなり、入店拒否をする。

アタシ、ユーリは帝国貴族出身、アカネはそのメイドなので

何も言われないが、マリは別だ。


「リーズ家の私がお願いしてもダメですか?」


「ここは、帝国貴族が多く集う店なので、

お客様からクレームが来てしまいます。お許しください」


 その日アタシたちは、客船に戻って食事をとることとした。

それ以来、セシリアは船が出発するまで部屋から出てこなかった。



◇ ◇ ◇


 次に船は、商業国家バビロニアに立ち寄った。

この星は、ルーンの勢力下にあり、ルーン正教の人間が多い。


 アタシは儲かりそうな珍品をさがすために市場へ出かけた。

ユーリとマリは、セシリアを元気づけるために、一緒に歌劇を見に行った。


歌劇『聖なる夜明け』の内容は、神を信じる若者が、悪代官を破り、

やがて、悪政を敷く王国を滅ぼし、自由をつかむという内容。


俳優は全員が女性。

男役を務める女性が、超イケメンで100%女性の観客たちをメロメロにしていた。


ユーリは飽きて、寝てしまった。

マリとセシリアがこれにハマった。


 その後、街を観光する3人。

セレスと違い、自由で平等な国を支えるルーン正教に

マリとセシリアは興味を抱き始める。


 実は、さっきの演劇は正教の宣伝の1つ。

イケメン男役は、劇中で常にチャームを観客に浴びせていた。

ユーリは魔力量が増大なので、チャームにかからない。

そのため2人は、すっかり正教の魅力に取りつかれた。


 一方、アタシはすっかり博打の魅力に取りつかれていた。

博士から手に入れた軍資金をトカゲレースで溶かし切り、

セシリアがくれたブローチに手をかけるアタシ。


「ぺし」それはいけません、アカネの叱り。

じゃあ、この服を売って、と脱ぎ始めたので、

アカネがアタシを抱えて、レース場から退散する。


ちょうど、そこで3人と出くわす。


服を半分脱いだ状態で、アカネに運ばれるアタシを見て、

大笑いをするユーリ。

顔をまっかにするマリ。

フガフガで倒れそうになるセシリア。


そんな姿を見たシスターが、アタシが病気で

運ばれていると勘違いして、教会へ引っ張っていく。

教会では、貧しい人の病気を治すために、

シスターたちが無料で治癒魔法を施し、食事も提供していた。


なんという違いだろう。

民のためは、国の繁栄につながる。

私はそう、教えられてきたのに。。。


教会には、そんな救いを求めて、

老若男女、貴族から農民まで、多くの人で賑わっている。


すばらしい!感動するマリとセシリア。


「ねぇ、アカネ、気が付いてる?」

「はい。サーヤ様」

「ボクも分かるよ、この建物自体が生体エネルギーを

吸い取る魔法陣になっているみたいだね」


教会の奥では、神父が優しい笑みを浮かべている。

その手元にはモニターが表示され、今日のエネルギー奉納量が

数値で刻まれていた。


帰り道、セシリアが列に並んでいる。

なにか?きいたら、お守りを買うのだという。

高いお守りを持つと、ルーン神の加護が強く得られるのだとか。


更に神様は24人いて、老若男女のいろんなタイプの神様がいる。

それぞれのブロマイドがお守りには入っている。

ちなみに、どの神様のブロマイドが入っているかは、

封を開けるまでは分からない。


セシリアの狙いは、ちびっ子の神様。

マリの狙いは、さっきの劇の男役に似た神様。


2人は、推しが出るまで、数万ギラを費やしていく。


なるほど!これは素晴らしいシステムだわ。

アタシも同じ仕組みで金儲けを作り出さなくては。

ルーンの神様、ありがとう。

コメントや評価、レビューよろしくお願いします。

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